ブロードバンドにタブレット型端末にソーシャルメディア…米国シニアのネット利用実情

2017/06/20 05:12

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若年層と比べて高齢層は新しい技術へのアプローチを忌避する傾向が強いのは、古今東西を問わずの話。自らの長い経験に引きずられ過去の蓄積を失いたくないため、固定観念にとらわれがちなため、そして心身上の衰えによるものなど、理由は多様に及ぶが、この傾向は否定できるものではない。それではインターネット技術の先進国たるアメリカ合衆国において、高齢者界隈でネット界隈のサービスや端末はどの程度浸透しているのだろうか。同国の民間調査会社Pew Research Centerが2017年5月17日に発表した報告書【Tech Adoption Climbs Among Older Adults)】から確認していく。



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今調査の調査要綱は先行記事の【スマホは4割強が所有…米国シニアの携帯電話利用実情】を参照のこと。

次に示すのは調査対象母集団における、インターネットの利用状況。質問票では単純にインターネットを使っているか否かが問われており、環境などは設定されていない。パソコン以外にスマートフォンなどのモバイル端末による利用認識も該当する。自宅内でブロードバンド環境を有し、それを使っているか否かも尋ねた結果も併記する。

↑ インターネット利用状況(アメリカ合衆国、2016年秋、65歳以上)
↑ インターネット利用状況(アメリカ合衆国、2016年秋、65歳以上)

65歳以上でインターネットを使っている人は2/3。自宅でブロードバンド環境を用いてアクセスしている人はほぼ半分。双方とも歳を重ねるに連れて値は落ちていくが、80歳以上でもインターネットへのアクセスは4割強、ブロードバンドアクセスは3割近くに達しているのは留意すべき値に違いない。

学歴別と世帯年収別ではそれぞれ高学歴、高年収の方が高い値を計上している。他の調査からも大よそ想像ができる通り、学歴と年収との間には少なくとも相関関係が確認されており、因果関係も多分に想起できることから、この結果が出るのも当然かもしれない。インターネットを利用できる、さらには自宅にブロードバンド環境を用意するのにはそれなりの費用がかかり、それをねん出できるのは相応の資金力が求められるからだ。

また低学歴≒低年収ではインターネット利用率と自宅でのブロードバンド利用率との差異が大きい。インターネットにアクセスできるだけの用意はできても、よりコストが必要となるブロードバンド環境の整備までには手が出せない人が多い実情がうかがえる。

続いてインターネットを利用する端末の中でも、パソコンやスマートフォンと比べてサブ的な利用スタイルが多いタブレット型端末と電子書籍リーダーの所有率。

↑ タブレット系機器所有率(アメリカ合衆国、2016年秋、65歳以上)
↑ タブレット系機器所有率(アメリカ合衆国、2016年秋、65歳以上)

タブレット型端末は3割超え、電子書籍リーダーは2割足らず。表示文字の拡大も可能なことから、高齢者の間でも電子書籍リーダーは便利であるとの話はよく見聞きするのだが、タブレット型端末でも代用できることから、電子書籍リーダーの所有率は今一つ。

年齢階層別では歳が若い人ほど所有率が高め。60代後半に限ればタブレット型端末は4割以上の人が所有している。学歴や年収別でも大よそ上になるほど所有率が上がっていくが、特にタブレット型端末の属性別による格差が大きい。世帯年収別では4倍ほどもの差が出ている。高学歴・高年収の人は65歳以上でも過半数がタブレット型端末持ちなのが現状ではある。

最後はソーシャルメディア利用率。質問票ではTwitterやFacebook、LinkedInのようなといった表記がなされており、具体的にどのサービスを利用しているか否かまでは問われていない。また利用頻度も特に設定されておらず、回答者が「利用している」との判断をしているか否かで答えてもらっている。

↑ ソーシャルメディア利用率(アメリカ合衆国、2016年秋、65歳以上)
↑ ソーシャルメディア利用率(アメリカ合衆国、2016年秋、65歳以上)

65歳以上全体では1/3、これが若い層になると5割近くにまで高い値となる。もっとも80歳以上でも17%がソーシャルメディアを利用していると答えている。

学歴別・世帯年収別でもインターネットそのものの利用率やタブレット系端末の利用率と同じく、高学歴・高年収ほど高い値が出ている。単純にソーシャルメディアを利用できる環境が整備されているのが主要因だと考えられるが、それに加えてソーシャルメディアの利用の有用性を認識できるセンスが備わっているか、必要性を感じる生活を過ごしているかもまた、学歴や年収と関係してくるのだろう。


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