ニュースはどの媒体で見ているのか、その各国事情(最新)

2025/06/11 02:32

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2025-0519日々生じるさまざまな出来事の内容を迅速に取得し正しい判断を下すために、人々は多様な手段を用いてニュースを確認する。インターネットの普及に伴い、ニュースの取得確認のスタイルも大きな変化を遂げている。今回は新聞通信調査会が2025年2月15日に発表した、諸外国へのメディアに関する世論調査「諸外国における対日メディア世論調査」の内容を基に、諸国におけるニュース取得の利用媒体の違いを見ていくことにする(【発表リリース:諸外国における対日メディア世論調査】)。

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諸国はテレビ経由が最多だがタイでは断トツで…


今調査における調査要項は先行記事【諸外国における新聞の信頼度、そして今後も役割を維持できるか否か】を参照のこと。

次に示すのは各国の人達がニュースを取得する際に、どのような媒体を用いているかを複数回答で尋ねた結果。インターネット経由調査ではないので媒体によるバイアスは生じない。ニュースを取得する意気込みなどにも左右されるが、各国の情報取得の方法論、実情を推し量るよい指標となる。

↑ ニュース取得の利用媒体(複数回答)(2024年度)
↑ ニュース取得の利用媒体(複数回答)(2024年度)

多くの国でテレビが高い値を示しており、今でも情報取得の普遍的なツールとしてテレビが有効であることを改めて認識させる結果となっている。イギリス、フランス、インドではトップの値。一方、アメリカ合衆国と韓国ではわずかな差ではあるがテレビを抜いてインターネットのニュースサイトがトップに。またタイやロシアではテレビやインターネットのニュースサイトすら超える形でSNS(ソーシャルメディア)がトップにあり、これらの国ではインターネットによる情報取得が当たり前となりつつある状況がうかがい知れる。他方、イギリスやフランスでは、テレビの次に新聞がついているのが興味深いところ。

インターネットサービスに着目すると、インターネットのニュースサイトとSNSを見比べた場合、アメリカ合衆国や韓国ではインターネットのニュースサイトの値の方が高く、SNSはそれと比べると低め。昨今のフェイクニュース問題が影響しているのかもしれない。他方イギリスやタイ、ロシアやインドではインターネットのニュースサイトよりもSNSの方が高い値となっている。タイではテレビの値すら抜き、媒体内では最大の値を示している。タイのインターネットへの傾注度の高さが見て取れる。

新聞やラジオ、雑誌などは低め、特に韓国やタイ、ロシア、インドでは低さが目立つ形。しかしフランスでは新聞やラジオも6割近くの値を示しており、テレビに次ぐ値となっている。フランスではニュース取得の意欲は他国よりも高く、多方面で取得する傾向があるようだ。イギリスでも新聞の値は高く、テレビに次ぐものとなっているのも印象的。

テレビとインターネットのニュースサイトの詳細を


報告書ではそれぞれの媒体に関して属性別の値も公開している。そこでテレビとインターネットのニュースサイトに限るが、その内情を見ていく。

まずはテレビ。

↑ ニュース取得の利用媒体(複数回答、テレビ、属性別)(2024年度)
↑ ニュース取得の利用媒体(複数回答、テレビ、属性別)(2024年度)

フランスやタイでは各属性の値が高く、どの属性も少なくとも4割以上、20代を除けば5割以上の値を示している。そしてインドの値も高く、一番少ない10代ですら5割を超えている。各属性の合計値を計算するとタイが最大、次いでインド、フランスの順。

男女別では男性よりも女性、年齢階層別では中年層以降が高めに出るのは多くの国に共通する傾向で、テレビの実情を推し量れるよい資料となる値の動きを示している。70歳以上ではインドの値が64.0%といくぶん低めだが、他国では7割以上となっている。

続いてインターネットのニュースサイト。

↑ ニュース取得の利用媒体(複数回答、インターネットのニュースサイト、属性別)(2024年度)
↑ ニュース取得の利用媒体(複数回答、インターネットのニュースサイト、属性別)(2024年度)

インターネットのニュースサイトではテレビとおおよそ逆の傾向が出ているのは注目に値する。男女別では男性が、年齢階層別では若年層が高い値を示す傾向がある。一部の国で10代において低めの値が出るのは、利用機会が得られていない、興味がわいていないからだろうか(テレビは多分に受動的に取得する機会があるが、ネットニュースでは原則的に能動的でないと取得は不可能)。逆にフランスやタイのように、年齢階層別では10代が突出して高い値を示す国があるのは興味深い。

50代や60代から値が小さくなるのは、現役世代が仕事場で利用するケースが多いからだろうか。その仮説で考えると、アメリカ合衆国で60代でも6割台と現役世代とほぼ同じ、70歳以上でも6割近くを示しているのは興味深い。

イギリスでは年齢階層別で70歳以上をのぞいてほぼ同じ値が出ている、インドでは他国と比べてどの属性でも極めて低い値にとどまっている(その分、SNSの利用が進んでいる)など、興味をそそられる動きが複数確認できる。それぞれの国のインターネットそのものの利用事情に加え、ニュース事情も影響しているのだろう。


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