米国では高齢層ほど「最近のセキュリティは以前よりヤバい」と感じている

2017/02/03 15:05

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情報技術の進歩発展とインフラとしての社会への浸透に伴い、それを安全に用いるための各種セキュリティ対策も進められて、導入されていく。最終的にはそれを扱う個々の判断によるところが大きい点まで合わせ、自動車の普及進展や高性能化と、安全対策の進歩と同じような構造ではある。今回はアメリカ合衆国の民間調査会社PewResearchCenterが2017年1月26日に発表した、同国におけるデジタル界隈のセキュリティへの認識の実情に関わる調査報告書【Americans and Cybersecurity】の内容をもとに、今現在と以前の情報セキュリティに関し、同国の人達がどのような所感を抱いているかについて見ていくことにする。



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今調査の調査要綱は先行記事【4割は自分のクレカで不正請求の経験アリ…米国のセキュリティ経験実情】を参照のこと。その記事でも解説したが、少なくとも調査対象母集団においては4割を超える人がクレジットカードの不正請求を受けたことがあるなど、情報セキュリティに関わるトラブルを2/3近くの人が経験している。

↑ これまでに次のような事象を経験したことがあるか(2016年春、アメリカ合衆国)(再録)
↑ これまでに次のような事象を経験したことがあるか(2016年春、アメリカ合衆国)(再録)

それでは多くの人が情報に関わるセキュリティ上のトラブルを経験している昨今は、5年前と比べて劣化しているとの認識されているのだろうか、それとも強化していると思われているのだろうか。例えばゲームで見かけるような「安全度50」といった形で具体的な指標にて比較することは困難なため、回答者のイメージとして答えてもらったのが次のグラフ。全体では5割近い人が「5年前と比べて情報セキュリティのレベルは落ちている、悪意による被害を受けやすくなっている」と考えている。

↑ 一般的に考えて個人情報に関わるセキュリティは5年前と比べて強化されているか劣化しているか(2016年春、アメリカ合衆国)
↑ 一般的に考えて個人情報に関わるセキュリティは5年前と比べて強化されているか劣化しているか(2016年春、アメリカ合衆国)

セキュリティは改善している、良くなっていると思っている人は2割にも満たない。各方面は最大の努力でセキュリティの強化を目指しているが、インターネットに関わる各方面の技術の高度化と普遍化に伴い、後手後手に回っているのが現状というところか。

一方興味深いことに、40代までと50代以降では認識に大きなギャップが生じている。40代までは「強化されている」との回答が1/4近くで「同じぐらい」は1/3。悪化しているとの意見は4割。見方を変えれば6割近くは「昔と比べて同じ位以上」と判断している。ところが50代以降になると急激に「劣化している」との意見が増え、「強化されている」との意見は1割に留まってしまう。

あるいは回答者自身があらかじめ用意されている施策に気が付かず、または利用を怠り、結果としてトラブルに巻き込まれてしまうケースが多く、それを「自分が悪いのではなくセキュリティが劣化しているのが悪い」と判断しているのかもしれない。よくある「自分のトラブルは相手の、世の中のせいだ」とするものである。

報告書では属性別の傾向に関して、いくつかの事例を挙げて傾向を説明している。それによると年齢階層別以外の仕切り分け、例えば性別や人種、世帯年収、学歴などによる差異は事実上認められないとしている。一方で上記に挙げた「情報に関わるトラブル」を経験した人はそうでない人に比べて「劣化している」との認識が強く、未経験の人は40%に留まっているのに対し、経験をしている人は52%に達しているとのことである。

ただし「7つのいずれか1つ以上の情報トラブルの経験者」そのものの年齢階層別の動向を確認すると、18-29歳は55%、30-64歳は72%、65歳以上は50%となっている。つまり情報に関わるサービスを多用する年齢階層ほど、トラブルにも遭遇しやすいと見た方が納得のいく解釈となる。結果として、50-64歳はともかく、65歳以上で「セキュリティは昔と比べると劣化している」との意見が多いのは、自分がトラブルに遭遇するケースが多いからではなく、「自分が理解しがたい界隈で怖いことが起きている」といった認識なのかもしれない。


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