自分の人生の中でリアルタイムに体感した「自国に関わるスゴイ出来事」を米国の人に聞いてみた

2017/01/17 10:17

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文献をはじめとした各種記録で自分がまだ生まれていない時代、自分が直に認識できない場所の出来事を知ることはできる。しかし人は得てして、自分が生きているその時に生じた事件にこそ強い衝撃を覚え、記憶に残していく。そして現時点で年齢=これまで生きてきた時間が違えば、当然経験した出来事の内容、量は異なり、それぞれへのウェイトも異なるものとなる。アメリカ合衆国におけるその違いを、同国の民間調査会社PewResearchCenterが2016年12月15日に発表した調査報告書【Americans Name the 10 Most Significant Historic Events of Their Lifetimes】から確認していくことにする。



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今調査は2016年6月16日から7月4日にかけて、アメリカ合衆国内に住む18歳以上に対し、RDD方式によって選ばれた電話番号とABS方式で選択された住所を掛け合わせた調査パネルを対象に対話形式で行われたもので、有効回答数は2025人。国勢調査を基にした複数の指標によってウェイトバックが行われている。

冒頭で説明した通り、人はそれぞれ生きてきた期間における環境の違いなどを受け、印象深い事件、出来事は大いに違ってくる。生まれていない時代の事件を覚えているはずは無いし、よほど強い印象の事件で無ければ、数十年前に起きた事は忘れてしまうか、覚えていてもさほど重要ではないものとの認識をしてしまうもの。

そこで調査対象母集団(アメリカ合衆国の成人)に対し、自分が生きている間に起きた自国周りの事件(自国内では無く、自国と深い関係にあるものでも良い)に関して、強い衝撃を受けたものを複数回答で尋ねた結果が次のグラフ。2001年9月11日に発生した、21世紀におけるアメリカ合衆国だけでなく、世界の様相を大きく変化させた「9.11.(アメリカ同時多発テロ事件)」がトップについた。

↑ 自分が生きている間に起きた自国の事件の中で強い衝撃を受けたものを挙げて下さい(2016年夏、米国、上位陣)
↑ 自分が生きている間に起きた自国の事件の中で強い衝撃を受けたものを挙げて下さい(2016年夏、米国、上位陣)

第2位の「オバマ大統領の選出」と比べ2倍近い値を示していることからも分かる通り、アメリカ合衆国の大人全体にとって、今なお「9.11.」は強い衝撃を受けた事件であり続けていることが改めて確認できる。また「オバマ大統領の選出」もそれに続く「技術革新」の2倍近い値を計上しており、「9.11.」ほどでは無いものの、同国民に大きな印象を与えた出来事であることが分かる。実績に関する評価は分かれるところだが、インパクトのある大統領だったことに違いは無い。

続いて「技術革新」「JFK暗殺」「ベトナム戦争」などが続く。人によっては歴史的事実でしかなく、過去の話として語り伝えられているものも少なくない。また「自分がリアルタイムで認識した出来事」として、第二次世界大戦・太平洋戦争はすでに少数の人の認識であることもうかがえる(10%未満)。

続いて年齢階層別。アメリカ合衆国独自の年齢階層別の仕切り分け別にしたものだが、当然その世代が生まれていない時代の出来事は含まれていない。例えばミレニアル世代はベトナム戦争のことを知っていても、自分が生きている間にリアルタイムに見聞きしたことはありえないので、当然上位陣には入っていない。

↑ 自分が生きている間に起きた自国の事件の中で強い衝撃を受けたものを挙げて下さい(2016年夏、米国、上位陣)(ミレニアル世代、1981-1998年生まれ)
↑ 自分が生きている間に起きた自国の事件の中で強い衝撃を受けたものを挙げて下さい(2016年夏、米国、上位陣)(ミレニアル世代、1981-1998年生まれ)

↑ 自分が生きている間に起きた自国の事件の中で強い衝撃を受けたものを挙げて下さい(2016年夏、米国、上位陣)(X世代、1965-1980年生まれ)
↑ 自分が生きている間に起きた自国の事件の中で強い衝撃を受けたものを挙げて下さい(2016年夏、米国、上位陣)(X世代、1965-1980年生まれ)

↑ 自分が生きている間に起きた自国の事件の中で強い衝撃を受けたものを挙げて下さい(2016年夏、米国、上位陣)(ベビーブーム世代、1946-1964年生まれ)
↑ 自分が生きている間に起きた自国の事件の中で強い衝撃を受けたものを挙げて下さい(2016年夏、米国、上位陣)(ベビーブーム世代、1946-1964年生まれ)

↑ 自分が生きている間に起きた自国の事件の中で強い衝撃を受けたものを挙げて下さい(2016年夏、米国、上位陣)(サイレント世代、1928-1945年生まれ)
↑ 自分が生きている間に起きた自国の事件の中で強い衝撃を受けたものを挙げて下さい(2016年夏、米国、上位陣)(サイレント世代、1928-1945年生まれ)

若い世代ほど、比較的新しい事件が上位についている。これは出来事を認識できる期間を思い返せば当然の話ではある。また若い世代、特にミレニアル世代では、他世代と比べると自国内で生じた事件・災害への強い印象のものが多く、それより上の世代との社会に対する認識の違い、断絶感の一因を覚えさせる。

「9.11.」や「オバマ大統領の選出」は世代を超えて強い衝撃を与えており、特に「9.11.」はずば抜けた値を計上しているのが分かる。他方、「オバマ大統領の選出」はベビーブーム世代では「JFK暗殺」「ベトナム戦争」、サイレント世代では加えて「第二次世界大戦」「月面着陸」に続くポジションに留まっていることからも分かる通り、これまでの長い経験の積み重ねにより、一つ一つの出来事の印象が薄まる可能性があることも把握できる。すでに半分以上書き記されている寄せ書き帖に新たなメッセージを書き込む場合と、真っ白な状態のものに書き込む場合では、どちらがより目立つかを考えれば、理解はできる。

最後は男女別。

↑ 自分が生きている間に起きた自国の事件の中で強い衝撃を受けたものを挙げて下さい(2016年夏、米国、上位陣)(男性)
↑ 自分が生きている間に起きた自国の事件の中で強い衝撃を受けたものを挙げて下さい(2016年夏、米国、上位陣)(男性)

↑ 自分が生きている間に起きた自国の事件の中で強い衝撃を受けたものを挙げて下さい(2016年夏、米国、上位陣)(女性)
↑ 自分が生きている間に起きた自国の事件の中で強い衝撃を受けたものを挙げて下さい(2016年夏、米国、上位陣)(女性)

実のところ、男女の差異はあまりない。あえて言えば自分に身近な出来事に関して性別で差異が生じている(「技術革新」「男性同士の結婚」)、戦争周りは男性の方が強い印象を覚えている場合が多いぐらいだろうか。「男性同士の結婚」は男性では上位に入っておらず、むしろ女性の方が強い衝撃を受けたとの意見が多々見受けられる結果が出ているのは、これもまた強い衝撃を受ける実態には違いあるまい。


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