日本の対米感情と世界の一員としての意識の実情を探る
2017/01/12 05:20


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高い値を維持する対米好感度
今調査の調査要綱は先行記事【日本の取るべき対外姿勢は「他国を手助け」が6割、「国内優先で個々の国の努力に任せる」は1/3】を参考のこと。
最大の友好国であるアメリカ合衆国に、今の日本人はいかなる感情を抱いているのか。いくつかの質問を投げかけた結果が次のグラフ。

↑ 日本の対米感(2016年春)
好印象を抱いている人は72%。後述するが否定的な意見を持つ人は23%でしかない。そして力と影響力は絶大だとの認識を持つ人は61%である一方、10年前と比べると世界のリーダーとしての影響力は減っているとの認識も過半数に達している。大よそ首を縦に振りそうな話ではある。
このうち好感度的なものについて、経年変化を確認したのが次のグラフ。

↑ 日本の対米感情(回答時点)
ほぼ毎年行われている内閣府の世論調査の結果と大きな違いは無い。2011年春に好感意見が急増しているのは、震災における米軍の大規模な救助活動が影響したものとみて間違いはない。他方、2008年春の減退ぶりは、2007年夏以降に体現化した金融危機の火元との認識によるところか、あるいは大統領選挙の選挙戦における対日批判辺りの影響だろうか。
諸国と異なる日本の対外意識
先行する記事でも一部言及しているが、日本の対外感は諸外国と比べると大きな違いを見せるところが少なくない。いくつかの項目に関して回答者の自国がどのような対応をすべきか、いかなる状況なのかを質問し、同意を示した人の割合をグラフ化したのが次の図。なお中国では国防費に関わる質問の回答は無い。またEUとはEU諸国(10か国)それぞれの平均値である。

↑ 諸国・地域の対外感覚(2016年春)
他国への助力に関する積極姿勢は日本が一番高い値を示して、世界経済への注力も他国同様、むしろ高い水準にある。一方で軍事的方面での積極性は低く、自国の影響力の増加実情にも否定的。他国の動きと合わせ見ると、方向性の微妙な軸の違いが受け止められる。
アメリカ合衆国はいずれも中庸だが、10年前と比べて影響力が拡大したとの意見は少数派。他方中国やインドでは軍事力方面の意見にも同意派が多く、影響力の増加にも自信を持っている。ただし他国への取り組みには消極的で、むしろ自国の勢力拡大に従事したい意向が透けて見えてくる。
あくまでもこれらの意見は、それぞれの国の大人による集約であり、その国自身の対外的戦略、外交方針とは直結しない。しかしながら国民の意図は少なからず政策に反映され、時として理由づけにされることもあるため、十分以上の注意を払うべきものであることは言うまでもない。
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