電子雑誌に書籍にコミック、主要端末による利用性向(2016年)(最新)

2017/01/04 05:18

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インターネットの普及と利用端末、特にスマートフォンの浸透に伴い、ネットを使った紙媒体の電子化が進んでいる。本は情報を紙に印刷して第三者にその情報を提供するものであるから、紙が電子(インターネット)を介しても情報を提供できれば、本と何ら変わりはないとする考え方も容認されつつある。石板や木版が紙に変わり、それが電子媒体へと変化したまでの話でしかないとするものだ。今回は2016年7月26日付で博報堂DYメディアパートナーズのメディア環境研究所が発表した、同所が定点観測を行っている「メディア定点調査」に関わる公開資料をもとに、電子媒体で提供されている雑誌・書籍・コミックに関して、どの程度利用されているのかを確認していく(【発表リリース:メディア生活フォーラム2016 「Changing Media Values モバイルシフトで変わるメディア価値」プレゼンテーションレポート公開】)。



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今調査の調査要項や注意事項は先行記事【メディア接触時間推移(2016年)】で説明済み。詳しくはそちらを参考のこと。

次に示すのは電子媒体で提供される本の各様式に関して、どの程度の人が利用しているのかを示したもの。主要機種としてパソコン、タブレット型端末、従来型携帯電話・スマートフォン(合わせて「携帯電話」)別に記してある。なお各値はそれぞれの機種の利用者に占める割合では無く、調査対象母集団の各属性別総数比率であることに注意。例えば10代男性のパソコンにおける電子雑誌の値は5.4%と出ているが、これは「10代男性でパソコン利用者のうち5.4%が電子雑誌を利用している」ではなく「10代男性全体のうち5.4%が、パソコンで電子雑誌を利用している」と読む。

なお電子雑誌に限らず今件の各媒体では利用頻度や有料・無料の別は問われていない。回答者が単純に「利用している・いない」を問われて答えた結果である。

↑ 機種別利用機能動向(各属性全体比、2016年、自宅内外を問わず、東京、一部)(電子雑誌)
↑ 機種別利用機能動向(各属性全体比、2016年、自宅内外を問わず、東京、一部)(電子雑誌)

電子雑誌の利用性向はパソコンで2.2%、タブレット型端末で3.3%、携帯電話で4.0%。持ち運びの機会が多く、すき間時間を埋めるために読まれることが多い雑誌としては、携帯電話で一番多用されているのも納得がいく。

男女別では男性の方が多いが、高い回答率は10代と30代。それぞれ通学・通勤時に利用しているのだろうか。女性は30代と50代でやや伸びがあるが、それでも男性よりは少なめ。女性向け雑誌はまだ電子媒体ではあまり受け入れられていないようだ(そもそも出版数自身が少ないのも一因かもしれない)。

続いて電子書籍。

↑ 機種別利用機能動向(各属性全体比、2016年、自宅内外を問わず、東京、一部)(電子書籍)
↑ 機種別利用機能動向(各属性全体比、2016年、自宅内外を問わず、東京、一部)(電子書籍)

パソコン2.8%、タブレット型端末5.8%、携帯電話で6.8%。雑誌同様書籍でも、パソコン以上にタブレット型端末による利用者が多い。個々の端末利用率はパソコンの方が上なので、タブレット型端末利用者は多分に電子雑誌や書籍を利用していることが容易に想像できる。

男女別では男性の方が利用性向は高く、特に若年層では15%内外まで携帯電話での利用がなされている。また、男性30代は突出しているが、タブレット型端末では男女ともに年齢による差異があまり出ていないのも特徴的。世帯単位での所有が成されているのも一因だろう。

最後は電子コミック。特段説明は無いが、紙媒体のコミックの電子化以外に、電子版のみで、あるいは電子版が先行する形で展開される漫画の類も含めて回答していると考えられる。ランニングコストの低い電子版を先行展開し、人気が出た作品は紙媒体化する、「雑誌掲載から単行本へ」の流れが「電子媒体掲載から単行本へ」とシフトした、今流行りのスタイルにおける電子媒体掲載版のコミックも含む、とするものだ。

↑ 機種別利用機能動向(各属性全体比、2016年、自宅内外を問わず、東京、一部)(電子コミック)
↑ 機種別利用機能動向(各属性全体比、2016年、自宅内外を問わず、東京、一部)(電子コミック)

元々コミックに対する需要の違いもあるが、年齢階層別の差異が大きなものとなっている。また、スマートフォンなどによる携帯電話による若年層利用率が突出しており、男性10代では32.1%、女性10代にいたっては40.7%を計上している。「未成年の女性全体の4割は、スマホなどで電子コミックを利用している」との実情は、少々驚きを覚えざるを得ない。

他方、パソコンやタブレット型端末はあまり利用されていないようだが、携帯電話の値に合わせるために、縦軸の仕切りが他のグラフとは大きく異なるのためのが小さく見える理由。若年層ではそれなりに高率で使われている。しかし壮齢層以降ではほとんど使われていないため、全体値も低い値にとどめられてしまっている。



今件はあくまでも利用しているか否かであり、利用頻度、有料無料の違いまでは問われていない。とはいえ、電子書籍などがどの端末でどの程度利用されているかを推し量るのには、十分以上に役立つ結果には違いない。


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