最多利用機能はメール送受信、続くはカメラ…従来型携帯電話・スマートフォンで用いられている機能の実態(2017年)(最新)
2017/01/02 05:21
ここ数年の間にインターネットの使われ方はもちろんだが、社会様式の多方面で影響を与え、変化をもたらしている携帯電話。その中身も従来型携帯電話からスマートフォンへと目まぐるしくその主役の座が変わり、社会への影響力も桁違いに大きなものとなっている。その携帯電話(従来型携帯電話とスマートフォンの双方)ではいかなる機能が用いられているのか。今回は2016年7月26日付で博報堂DYメディアパートナーズのメディア環境研究所が発表した、同所が定点観測を行っている「メディア定点調査」に関わる公開資料をもとに、携帯電話がどのような使われ方をしているのかを見ていくことにする(【発表リリース:メディア生活フォーラム2016 「Changing Media Values モバイルシフトで変わるメディア価値」プレゼンテーションレポート公開】)。
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最多利用機能は「メール送受信」、次いで「カメラ」
今調査の調査要項や注意事項は先行記事【メディア接触時間推移(2016年)】で説明済み。詳しくはそちらを参考のこと。
次に示すのは全体に占める、携帯電話でいかなる機能を用いているか、その実情を確認したもの。対携帯電話利用者ではなく、回答者全体比であることに注意。また、頻度や利用場所は問われていない。項目は男性10代の回答率上位陣に合わせ抽出している。なお携帯電話においては欠かせない機能の一つ、「音声通話」は回答選択肢には入っていない。
↑ 従来型携帯・スマホ利用機能ランキング(全体比、2016年、自宅内外を問わず、東京、一部)
昨今においてはスマートフォンの普及率は極めて高いものとなっており、今調査に限っても所有率は70.7%。単純利用のみまで合わせればもう少し底上げされるはず。また、スマートフォンの利用性向が低めな高齢層でも、従来型携帯電話を利用している人は少なくないため、今件項目のように双方を合わせた上での動向調査ならば、調査対象母集団全体に近しい、つまり「端末を所有・利用していないので回答できる利用機能は無い」人の割合はごく少数になるものと考えられる。
実際、トップを見せる「メール送受信」は85.9%。9割近い値を計上している。また先行する記事で解説しているパソコン、タブレット型端末ではいずれもトップ利用機能は「検索」だったが、携帯電話ではメールのやり取りが最多利用機能となっているのが興味深い。機動力の高い端末の特性を活かした機能の活用に違いない。また、スマートフォンだけでなく従来型携帯電話でも十二分に使えるのも、高回答率となった一因だろう。
機動力を活かした機能活用は2位の「カメラ」も同様。「検索」はその次の3位に留まっている……が、それで3/4を超える。
そこから一段階下がる形で続くのが「ニュース」「SNS(今調査ではLINEも含む)」「無料動画閲覧」。スマートフォンなどの小さな画面でも、動画配信を楽しんでいる人は意外に多い。また、「ゲーム」や「ショッピング」なども3割を超えている。
メール送受信とカメラは性別・年齢をこえて
これを性別・年齢階層別に仕切り分けしたのが次のグラフ。項目序列はやはり男性10代の上位に合わせてある。
↑ 従来型携帯・スマホ利用機能ランキング(各属性全体比、2016年、自宅内外を問わず、東京、一部)(男性)
↑ 従来型携帯・スマホ利用機能ランキング(各属性全体比、2016年、自宅内外を問わず、東京、一部)(女性)
グラフ軸は男女で統一してあるが、ぱっと見で男女の棒の面積はさほど変わらないように見える。実際各項目の回答率をすべて足すと、パソコンやタブレット型端末では男性の方が多かったが、今件ではむしろ女性の方が多い(約7%プラス)。女性は男性以上にスマートフォンを多機能にわたり利用している実情がうかがえる。
具体的な傾向としては男性10代でこそ「検索」がトップだが、20代以降は「メール送受信」「カメラ」が上回るようになる。10代ではパソコンをプライベート用に使える機会が無いケースがあるため、携帯電話で代用することから「検索」の利用率がトップとなっているのだろう。20代以降は機動性を活かしたデジタル情報端末として「カメラ」「メール送受信」の方が上回っていく。さらにメールやカメラは従来型携帯電話でも容易に利用できることから、歳を経ても利用率はさほど下がらない。
60代の回答者は少なからずがスマートフォンではなく、従来型携帯電話の利用ケースだと考えられる。「検索」「カメラ」「メール送受信」が抜きんでている、「ニュース」がかろうじてそれに続くが半分以下の値に留まっているのが印象的であると共に、同年齢層が必要と考えている機能が透けて見えてくる。
他方女性は男性と比べると、より一層マルチメディア・コミュニケーション端末として携帯電話を考えていることがうかがえる。「検索」の回答率は低めで、「カメラ」「メール送受信」の値は高い。また「SNS」や「ショッピング」の値も高めで、50代ぐらいまでさほど変化なく高い値を維持し続けるのも印象的。
携帯電話、特にスマートフォンは高機動性情報端末と表現できるように、情報の受け渡しに長けた端末である一方、表示面積や使い手側の表現の反映などが限定されることから、パソコンと比べて受け身となりやすい。サービスを享受する分には問題が無いが、創作においては制限が多々あるため、スマートフォンだけでインターネットに応対していると、作り手の立場に回った時に思考・作業経験が無く、デジタルデバイド的なものが生じてしまうとの指摘もある。
しかしながら携帯電話は、サービスを受ける分には十分な機能を有していることに違いは無い。利用料金やバッテリー維持時間などの問題など解決しなければならない問題とも向き合いながら、今後もさらに普及していくに違いない。
やや余談になるが。成人とは立ち位置が多分に異なる10代において、どのような機能を用いているかを男女別に仕切り直した結果が次のグラフ。
↑ 従来型携帯・スマホ利用機能ランキング(各属性全体比、2016年、自宅内外を問わず、東京、一部)(10代)
「検索」は男性でトップだが女性では2位。女性は「カメラ」がトップ。「ゲーム」「音楽視聴」は男性が、「カメラ」以外では「メール送受信」「まとめサイト」「電子コミック閲読」「ショッピング」では女性が、それぞれ異性よりも大きな差をつけている。10代の男女それぞれが、携帯電話に何を求めているかが透けて見えてくるようである。
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