電車内や会話中のケータイやスマホの利用、不愉快に思う? 当然の行為!?
2016/10/06 10:52
携帯電話(従来型携帯電話とスマートフォンの双方)、特にスマホの普及に伴い、他人とのコミュニケーションはリアルタイムなものを求められる風潮が強まっている。いつどこにいても通話やソーシャルメディアでの読み書きをする、せざるを得なくなるライフスタイルを、医療従事者などの特殊事情を持つ人に限らず多くの人が求められるのは、これまでの人間社会では想定しえなかった状況に違いない。このような昨今の状況の中、公共交通機関の中や他人との対話中の携帯電話の利用に関して、マナー的にどのような印象を人々はいだいているのだろうか。今回は文化庁が2016年9月21日に発表した調査結果の概要【平成27年度「国語に関する世論調査」の結果について】の内容をもとに、いくつかの視点から確認していくことにする。
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電車やバスの中での携帯電話の通話は!?
今調査の調査要綱は先行記事【配達の人に対する感謝の意、どんな言葉をあなたはかけるか】を参照のこと。
次に示すのは電車やバスといった不特定多数が狭い空間内で存在することになる公共交通機関内における、携帯電話を用いた通話についていかなる感想を抱くか。昨今では携帯電話を用いた意思疎通はインターネットの各種サービスによるのものが多分で、通話の利用機会は減りつつあるが、なお電車内でも通話を行う人は少なくない。
↑ 電車やバスの中での通話についてどう感じるか
「仕方がない」も合わせ否定的な意見は9割以上。電車内における携帯電話を用いた通話に関する過去の記事でも言及しているが、電話を用いた通話を狭い空間内で行うことにより「音が耳に入る」だけでなく「携帯電話利用者の語りのみが聴こえてくるため、中途半端な会話として耳に入るため、ノイズ感が増す」のも不愉快さを増す理由となる。まるで独り言を語り続けているようにも認識でき、携帯型音楽プレイヤーから漏れ伝わる音楽以上のネガティブな印象を抱いてしまう。さらには他人のプライバシーの一部を突然見せられている感も覚え、それもまた不快感につながるのだろう。
12年前の調査結果と合わせても、否定感は変わらず、むしろ直近ではさらに否定的な意見が強まっている。肯定派は各種合わせても1割にも満たない。
回答者の年齢階層別に見ても、大きな変化は無い。
↑ 電車やバスの中での通話についてどう感じるか(2015年度、年齢階層別)
50代から60代で一部イレギュラーが生じているが、大よそ歳を経るにつれて不愉快感が強まる傾向がある。ただし9割以上が愉快でないとの印象を持つことに変わりはない。上記の通り、昨今では以前と比べてあまり見かけなくなった車内での携帯電話の通話利用だが、良い目で見られているわけではない。
対面会話中の携帯電話操作は?!
割り込み行為との表現をすれば公共交通機関内での携帯電話の通話と類似しているが、よりダイレクトな行為として昨今では問題視されることが多いのが、他人との対面による会話中における携帯電話(とりわけスマホ)の画面閲覧、さらには操作行為。今件項目は直近分においてのみ調査結果が公開されている。
↑ 対面で話をしている最中の画面閲覧や携帯電話操作についてどう感じるか
携帯電話の普及前から、対面による会話中に時計、特に腕時計を見る行為はマナーとして望ましくないとの話はあった。会話に退屈している、興味関心が無い、さらにはより優先順位が高い物事が待っているなどを相手にアピールしていることになるとの意思表示を意味する、少なくとも相手がそのように認識しかねないからだ。
瞬時の、時間確認の閲覧だけならまだしも、少なからぬ時間を表示されている内容の確認に費やし、さらには操作まで行う。それを対面で会話をしている最中にされた場合、多くの人は不愉快さを覚えると回答している。何の問題もなく当然の行為だとする人は1.4%、何とも思わない人は2.7%でしかない。ケースバイケースの人もいるであろうが、今件はあくまでも一般的な状況における自分の心境を答えてもらっているので、このような結果となるのも当然だろう。
ただし、携帯電話の利用とコミュニケーションとの関係においては、多分に世代間ギャップがあるようで、年齢階層別に反応を確認すると、明確な差異が生じている。
↑ 対面で話をしている最中の画面閲覧や携帯電話操作についてどう感じるか(2015年度、年齢階層別)
不愉快感を覚える意見が多数派、過半数超えであることに変わりはない。しかし容認派の意見は明らかに若年層ほど多く、また強い不愉快感を持つとの意見は歳を重ねるにつれて強くなっている。年上ほど、会話中の携帯閲覧・操作には反発心が強いようだ。
携帯電話そのものは民間ベースで普及しはじめてからまだ十年単位しか経過しておらず、ましてやインターネットを利用できる従来型携帯電話の高機能版の展開は10年ほど、スマートフォンに限れば普及率が大きく飛躍したのはこの数年。それ以前は類似の機器は存在しておらず、せいぜいSF内での話にとどまっていた。それらの端末が社会環境に急速に溶け込んでいるのは事実だが、それに伴うマナーやライフスタイル内における正しい使い分けの構築は、まだ試行錯誤の段階にある感は否めない。
どのような形で折り合いをつけ、人々の生活の中に溶け込んでいくのか。その過程で常識はいかなる変化を見せていくのか。今件のような調査項目は、それを知るうえで極めて有意義であり、経年調査を願いたいものだ。
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