テレビや新聞が減り、パソコンが増えたかと思えば減り、携帯電話が急速に伸びる…生活に必要な情報を何から得ているか
2016/10/05 11:59
他に誰もおらず外部との情報も遮断された無人島における生活ならば、あるいは他からの情報の取得は必要としないかもしれないが、人は集団生活を営む以上、さまざまなツールを用いて他者が発信した情報を得て、自分の意思決定や行動の材料としていく。天気予報を見て雨が降りそうなら傘を用意し、ベランダの洗濯物を取り込んでおいてから外出するのが良い例だ。今回は文化庁が2016年9月21日に発表した調査結果の概要【平成27年度「国語に関する世論調査」の結果について】の内容をもとに、いくつかの視点から生活に必要な情報源の状況を確認していく。
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今調査の調査要綱は先行記事【配達の人に対する感謝の意、どんな言葉をあなたはかけるか】を参照のこと。
次に示すのは「毎日の生活に必要な情報を何から得ているか、利用することの多いもの」を複数回答で三つまで選んでもらって回答した結果。時代の変遷と共に新規登場するツールもあるため、回答年度によっては選択肢が存在しておらず、ゼロの値を示すものもある。またパソコンは2001年度時点は「インターネット」、2008年度では「パソコン(インターネット)」と表記されている。携帯電話は「スマートフォンを含む」との表記が2015年度においてなされている。
↑ 毎日の生活に必要な情報を何から得ているか(複数回答)
論理的には選択できる数が有限で、選択肢が増えれば、回答率は分散するため、2001年度と比べて2008年度、そして2015年度は同じ選択肢でも回答率が減退するのは当然となる。他方、選択されるのは「利用することの多いもの」のため、重要度・必要度に変わりがなければ、選択肢がいくら増えようと該当選択肢の回答率が下がることは無い。
その観点で結果を見ると、14年間の間にテレビや新聞、ラジオ、ちらし・ビラ、雑誌、本や辞典のウェイトは減退し、携帯電話が急激な伸びを示していることが分かる(2001年度時点では選択肢として取り上げられることすらなかった)。特に新聞や雑誌といった、紙媒体の減り方が著しい。
他方、興味深い動きを示しているのがパソコン。厳密にはパソコンを使ったアプリケーションによるものもあるが、多分にインターネットの窓口としての情報ツールとなる。2001年度時点でもインターネットの人口普及率は5割ほどの値を示しているから、12.6%はそれなりに高い値には違いないが、2008年度では大きく飛躍して29.8%とほぼ3割に。ところが直近の2015年度ではわずかに減退している。もちろん、パソコンによるインターネットでの情報取得をしていないわけではないが、優先順位としては携帯電話が上になった人が多分に出た結果だといえよう。
直近分限定となるが、年齢階層別の回答率を上位陣に関して確認したのが次のグラフ。各年齢階層で、どのような情報ツールを重視しているのかが分かる。
↑ 毎日の生活に必要な情報を何から得ているか(複数回答)(2015年度、年齢階層別)(一部)
10代は携帯電話(多分にスマホ)とテレビがほぼ同率。新聞とパソコンが続く。20代も二巨頭状態に変わりは無いが、業務で使う関係もあり、パソコンの値がグンと伸びる。30代以降は新聞が大きく値を上乗せし、40代以降はさらにテレビも値を底上げし、代わりに携帯電話とパソコンが減っていく。
50代以降になると新聞とテレビでほぼツートップ。その他のツールは少数派となり、さらに値を落とす形になる。メディア利用状況に関わる他の多数の調査同様の動きを示しており、再確認の意味としても重要には違いない。また60代以降ではラジオも大きく伸び、60代の時点でパソコンに迫る勢いを示し、70歳以降ではパソコンや携帯電話を抜くポジションについているのが印象的。
「毎日の生活に必要な情報」の取得元として使う。これは該当ツールの利用頻度が極めて高いことを意味する。当然、そのツールにおける言葉の使い方、表現方法がその人の「当たり前」のものとして認識されることになる。情報の質、信ぴょう性だけでなく、言い回しの観点でも、昔と今、そして年齢階層別の違いが表れるのも不思議ではあるまい。
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