観ているのは8割強、そのうちネット接続できるテレビメインが1/3強…子供たちのネット動画視聴動向を探る(最新)
2023/11/29 02:38
インターネット回線の高速化と動画再生技術の飛躍的な進歩、スマートフォンの普及に伴い、かつて双方向性のテレビ電話的なものとして未来技術の一つに挙げられた、機動力が高く利用者が自在に操作できる、利用ハードルの低い動画視聴エンターテインメントが、スマートフォンと動画配信・共有サイトによって現実のものとなりつつある。それに伴い、保護者が環境を提供することにより、幼少時の子供たちも動画を楽しむ機会が増えている。今回は総務省情報通信政策研究所が2023年6月23日に発表した「令和4年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」などの調査結果を基に、その実情を確認していくことにする(【情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査】)。
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次以降に示すのは、調査対象母集団の回答者のうち、自分の子供がいて、しかもその子供が12歳以下(2016年調査分までは2-12歳)である人に限った調査結果。該当する子供が複数いる場合は、一番年下の子供(2017年調査分までは一番年上)について答えてもらっている。あくまでも保護者の目から見た動向で、子供の利用実態とは多少のずれが生じている可能性はある。また、調査対象の条件が頻繁に変わっているため、厳密には連続性はない。
最初に示すのは、該当する子供がインターネット動画を観ているか否か。頻度や機種などは一切問われておらず、「観ているか否か」との問いから判断できる状態を示している。
↑ インターネット動画を観ているか(2016年までは2-12歳対象・2017年以降は12歳以下対象、保護者回答、複数該当者存在時には2017年までは一番年上に対して・2018年以降は一番年下に対して、択一回答)
直近年において観ている人は80.9%。12歳以下の子供の8割強がインターネットの動画を観ている実情に驚きを覚える人もいるだろう。
ではインターネット動画を観ている子供は、普段はどの機種を使って観ているのか。なおグラフ中の「従来型携帯」とは従来型携帯電話(ガラケー)を意味する。また、ネット接続できるテレビとネット接続できるゲーム機は2017年から個別の調査対象項目として挙げられており、それまでは「その他の機器」に含まれていた。
↑ 普段はどの機器で一番よくインターネット動画を視聴しているか(2016年までは2-12歳対象・2017年以降は12歳以下対象、保護者回答、複数該当者存在時には2017年までは一番年上に対して・2018年以降は一番年下に対して、択一回答、該当者がインターネット動画を観ている人限定)
ネット接続できるテレビがもっとも多く34.0%。昨今ではテレビはインターネットに接続できるのが当たり前となっているが、その機能を使ってテレビの画面でインターネット動画を見ている子供が多数いるのが現状となる。あるいはテレビ放送の視聴だけでなく、子供の動画視聴の道具としても、テレビはもっとも多用されているとの表現がよいだろうか。
次いでスマートフォン27.1%、タブレット型端末26.4パーセント。
テレビ同様に元々は別の目的で子供に多用されているゲーム機を動画視聴用としてもっとも用いているのは7.6%。パソコンや従来型携帯電話よりも多い。
今調査項目部分は2015年分調査から新たに導入された項目で、経年変化などの動向は計8年分しか確認ができない。しかも子供と動画を取り巻く環境が目まぐるしく変わるせいか、設問の設定がたびたび変わり、連続性が期待できない状態でしかデータを得られない。しかし見方を変えれば急速に変化するインターネットの世界の中で、子供による動画視聴に関して、世間が大いに注目していることの表れでもある(2015年分調査当時は、ゼロ歳児に保護者がインターネット動画を観せる状況は想像もできなかったのだろう)。
昨今では幼少時向けの動画の配信も増えている。同時に、保護者にとって視聴してほしくない類の動画を子供が観てしまい、色々と不安や心配に駆られるとの話も多々見聞きする。過去には無かった環境における子育ての一様式であるだけに、今後の動向が大いに気になるところだ。
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