諸国で大いに異なるソーシャルメディアの利用状況、その実態を探る(2016年)(最新)
2016/08/29 11:22
インターネット技術の進歩とスマートフォンの普及浸透はさまざまなサービスの可能性を切り開き、日常生活にも大きな影響を与えている。その一つが、ソーシャルメディアの普及浸透の加速化。ほんの数年前までは利用している人が少数派でしかなかったソーシャルメディアも、今や利用がごく当たり前の話となり、主要な連絡手段として活用している人も多数に及んでいる。今回は総務省が2016年8月17日に公式ウェブ上で公開した、2016年版の【情報通信白書】に関して、各種グラフなどの詳細値が確認できるHTML版を元に、その実情を確認していく。
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圧倒的なFacebook、YouTubeが続く
今項目に係わる調査要項は先行記事【世界各国の完全自動走行車に対する認識と利用意向(2016年)(最新)】を参照のこと。今件該当部分はインターネットを用いたサービスに関する利用状況を尋ねていることから、インターネットへのアクセス機会率が低い高齢者、そして一部国家においては、その対象全体との間にぶれが生じている、具体的にはインターネットに有利に数字が動いている可能性がある(インターネットを利用していない人は回答に加われない)。その点を留意した上で見ていく必要がある。
次に示すのは複数回答形式による、主要ソーシャルメディアの利用状況。単純に「利用しているか否か」を尋ねており、頻度は問われていない。アカウントを有していてもほこりをかぶったような状態では、回答者は「利用している」との認識は無いと考えるのが道理であり、今件回答率がそのままアカウントの所有率につながるわけでは無い。また、LINEなどのチャット系サービスは、ソーシャルメディアと分類されることもあるが、今回は別途仕切り分けし、別の機会に解説する。
↑ ソーシャルメディアの利用状況(2016年、複数回答)
国ごとに利用状況の違いが多分にあるが、大よそFacebookとYouTubeが主力の利用対象となっているのが分かる。次いでTwitter、Google+と続き、その他のサービス利用者は少数派。今件はインターネット経由の調査であることを思い返せば、それぞれの国全体の利用率はもう少し下がるわけで、今グラフ上の少数派のサービスの利用者率は、全体においてほんのわずかでしかないことが分かる。例えば日本で街中に居る人に「Tumbler使ってますか」と尋ねても、肯定の意見は1%も満たないだろう。
インターネットサービスの普及が盛んなアメリカ合衆国では、大よそ他の国よりも利用率が高く、値が飛びぬけているのが特徴。特にLinkedInやPinterestでは目立った伸び方をしている。他方InstagramやGoogle+、Twitterでは韓国も競っており、YouTubeはむしろ対象国中最大の普及率を見せている。
日本はといえば、Twitterでやや他国並みの値を計上しているが、他は押し並べて低め。元々誤差の範囲でしかない値だが、USTREAMで唯一トップの値を示している程度。他方、中国は日本同様、あるいは日本以下の低い値だが、これは別の機会に紹介するチャット系サービスのうち、自国発のもの(例えば微博(Weibo))に傾注しているためと、多分に中国国内では上記サービスは接続が不可能、あるいは困難であるのが理由。
日米の年齢階層別動向
続いて日本とアメリカ合衆国における、年齢階層別の利用状況を確認していく。まずは日本。なおグラフデザイン的に多少違和感を覚えるところがあるが、比較がしやすいように縦軸はすべて上限を100%で統一している。
↑ ソーシャルメディアの利用状況(2016年、複数回答)(日本)
日本のツイッター利用者の動向は色々と話題に登るが、少なくとも今調査の限りでは若年層ほど利用者が多く、歳が上になるにつれて減る傾向があると出ている。20代では過半数が利用していることになる。またFacebookも似たような状況だが、Twitterよりも年上になるに連れて下がる度合いが低く、30代以上はFacebook利用者の方が多くなる。
YouTubeも利用状況はFacebookとさほど変わらない。動画をアップロードするのではなく、視聴も利用に含まれるから、ハードルは低いのだろう。他方、写真投稿型として一時期大いに注目されたInstagramやPinterestは、少なくとも日本では少数派に留まっているようだ。それでもInstagramは20代では1/4近くが利用している。
↑ ソーシャルメディアの利用状況(2016年、複数回答)(アメリカ合衆国)
棒の長さが大きく違うことからも分かる通り、アメリカ合衆国では日本と比べ、各種ソーシャルメディアの普及が多分に進んでいる。Facebookは60代でも6割超えを示し、もはや情報インフラ状態。Twitterですらも30代までで6割を超え、日本以上の利用状況にある。ビジネス上で多用されるLinkedInは年齢階層を問わず一定率の人に使われているのも興味深い。
他方、同じ写真系サービスでも、Instagramは若年層に大いに受け入れられ、Pinterestは高齢者にもそれなりに使われている。サービス自身の特性、色合い、雰囲気が利用年齢階層の差に出ている。
今件はあくまでも回答者が「利用している」との認識に合致した値であり、アカウントを持っているものの数か月に一度しかアクセスをしていなくとも「利用している」と判断すれば、回答に該当していることに注意する必要がある。つまり、少なくともアカウント率は今件値以上に違いないが(アカウントを所有していても「使っていない」と判断する人もいる)、そのサービスの利用度合いを表すとまでは言い切れない。また、サービスの機能、スタイルにより、アクセス頻度も多分に変わってくるだろう。
他方、それぞれのサービスの利用状況をある程度反映していることにも違いは無い。
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