結局は配信元の信頼度の問題…「インターネットの信頼度」の中身を探る(2016年)(最新)

2016/08/29 05:23

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メディアに関する信頼度、利用度の調査では、テレビや新聞のような業界単位である程度まとまりができている従来型のメディアと、電気や水道のようなインフラ的なものをも意味するインターネットが同列に扱われ、概してインターネットは信頼性に欠けるとの結果が出てしまう。それではインターネット(を介して伝えられる情報、コンテンツ)は押し並べて信頼性が無いものなのだろうか。今回は総務省が2016年8月17日に公式ウェブ上で公開した、2016年版の【情報通信白書】に関して、各種グラフなどの詳細値が確認できるHTML版を元に、その実情を確認していく。



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今項目に係わる調査要項は先行記事【世界各国の完全自動走行車に対する認識と利用意向(2016年)(最新)】を参照のこと。今件該当部分はインターネットに深い関係を有する、むしろそのものの選択肢があることから、インターネットへのアクセス機会率が低い高齢者、そして一部国家においては、その対象全体との間にぶれが生じている、具体的にはインターネットに有利に数字が動いている可能性がある。その点を留意した上で見ていく必要がある。

次に示すのは主要メディア、インターネットに関しては全体像では無く、インターネットというインフラを用いて情報を提供するサービスの種類別の、信頼度の動向。この信頼度は回答者にそれぞれのメディアに関して、「非常に信頼できる」「ある程度信頼できる」「半々くらい」「あまり信頼できない」「信頼できない」「そもそもその情報源を使わない」のいずれか一つを選択してもらい、そのうち「非常に信頼できる」「ある程度信頼できる」の2選択肢を加算して算出したもの。つまりそれぞれのメディアを半々を超えて信頼している人の割合を表している。

↑ 主なメディアの信頼度(2016年、複数回答、インターネットは細部分類)
↑ 主なメディアの信頼度(2016年、複数回答、インターネットは細部分類)

多少の差異はあるがテレビや新聞が大きな信頼を寄せられているのはどの国でも変わらない。注目すべきはインターネットを用いている各メディアのうち、ニュースサイトの回答率。日本や韓国はやや低めだが、それでも4割超を計上。アメリカ合衆国やドイツでは新聞と同等、イギリスでは新聞以上の信頼が寄せられている。他方、ソーシャルメディアや動画配信・共有サイト、ブログその他のサイトは押し並べて低め。特に日本は他国と比べて極端に低い値に留まっている。元々メディア全体に対する信頼度が低い日本ではあるが、とりわけインターネット内のこれらのメディアに対する信頼度は底状態にある。

インターネットを用いたメディアの中でもニュースサイトが高めの信頼度を集めている件、そしてそれらのメディアの信頼度が低いことについて白書側では

ニュースサイトは、放送局や新聞社から記事を収集したり配信を受けたりすることが多く、テレビや新聞の信頼度が高いことの影響を受け信頼度が高くなっている一方、ソーシャルメディア、動画配信・動画共有サイト、ブログ等その他のサイトは発信者がさまざまであるため信頼度が低くなっていると考えられる。

と説明している。また総括的な説明として同じように

私たちがインターネットへの信頼性について考える際、大きくは伝送路としての安全性の問題と情報の内容の問題とに分けられると考えられるが、後者に関して、平均的には利用者は情報の発信元に応じて信頼性を判断している傾向がうかがえる。

と言及している。

要はメディアをインフラとしての対象と見るか、そのインフラを用いた業界・配信元まで見て考えるかである。先行記事でも言及しているが、メディアとしてテレビや新聞を指す場合は、寡占的な業界までをも包括しているが、インターネットにはその類の集合体は存在しない。例えば、単に新聞とインターネットが選択肢として与えられて信頼度の検証が求められるのなら、インターネット側にニュースサイトも動画配信サイトもソーシャルメディアもブログもすべて含まれるのであれば、新聞もまた大手五大紙や著名地方紙だけでなく、地元の広報紙的な新聞、各種団体が発行している機関紙、さらには学級新聞やサークル紙的なものまで含めねばならない。

日本に限るが年齢階層別にその動向を見ると、歳が上になるほど配信元の信頼性に大きく頼る傾向があることが分かる。

↑ 主なメディアの信頼度(2016年、複数回答、インターネットは細部分類)(日本)
↑ 主なメディアの信頼度(2016年、複数回答、インターネットは細部分類)(日本)

インターネット経由の情報でも、「放送局や新聞社から記事を収集したり配信を受けたりすることが多」いニュースサイトならば、信頼がそれなりにあるだろうとの認識から、元々テレビや新聞への心服度の高い高齢者の方が、値は高くなる。ところがソーシャルメディアや動画配信・共有サイト、ブログなどは歳が上になるほど信頼度は低くなってしまう。従来型のメディアへの傾注度、心服度が、そのままインターネットにも反映されているとも読み取れよう。

一方で、インターネット、さらには情報配信そのものの先進国でもあるアメリカ合衆国では、大きく異なる動きを示している。

↑ 主なメディアの信頼度(2016年、複数回答、インターネットは細部分類)(米国)
↑ 主なメディアの信頼度(2016年、複数回答、インターネットは細部分類)(米国)

アメリカ合衆国では30代がどの年齢階層よりも押し並べて高い信頼を各メディアに寄せているが、それを除くと大よそ若年層の方が信頼度は高く、歳を経るに連れて落ちていく。これはテレビや新聞などの従来型メディアに対しても変わらない。そして各年齢階層において、ニュースサイトが新聞に近い信頼性が得られているのも注目に値する。また20代から30代限定だが、ニュースサイト以外のインターネットを用いたメディアでも、非常に高い信頼度が得られている。

恐らくはそれぞれのカテゴリ内の各コンテンツに関して、どれが信頼できるか否かの仕切り分けの技術を有している、いわゆるメディアリテラシーを必要なレベルで持つ人が多く、信頼のおけるものとできないものを区分し、できるものだけを頼りにする選り分けを成しているのだろう。


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