趣味や娯楽の情報取得と、災害時の情報収集。一番よく使われるメディアの違いを探る(2016年)(最新)
2016/08/28 11:49
趣味趣向を堪能するのにはより多くの情報があった方が良い。インターネットの普及により、その情報収集は容易となり、同じ趣味を持つ人の意見を取得できる機会は蛇口をひねって水を飲むより簡単になった。他方、災害などの突発的な事案が発生した時の情報収集もまた、インターネットによって大きな様変わりを見せつつある。今回は総務省が2016年8月17日に公式ウェブ上で公開した、2016年版の【情報通信白書】に関して、各種グラフなどの詳細値が確認できるHTML版を元に、ある意味正反対な二局面における、メディアの頼られ方の違いを確認していく。
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趣味や娯楽の情報収集はネット
今項目に係わる調査要項は先行記事【世界各国の完全自動走行車に対する認識と利用意向(2016年)(最新)】を参照のこと。なお今件はインターネットに深い関係を有する…というよりはそのものの選択肢があるため、インターネットへのアクセス機会率が低い高齢者、そして一部国家においては、その対象全体との間にぶれが生じている、インターネットに有利に数字が動いている可能性がある。
次に示すのは諸外国における、趣味や娯楽の情報を収集する時に、どのようなメディアを一番使うかとの問いへの回答。「一番」の回答であり、これ以外のメディアをまったく使わないわけではない。
↑ 趣味・娯楽に関する情報を得るために最も利用するメディアの各国比較(2016年)
どの国も大勢を占めるのはインターネット、次いでテレビの順となっている。テレビへの傾注度が異様なまでに高い日本ではテレビの値が高い、アメリカ合衆国やイギリスでは雑誌が高め、新聞はアメリカ合衆国で他国と比べると高い値が出ているなど、それぞれの国の特性が現れる結果が出ている。アメリカ合衆国でインターネットの値が日本より低いのは意外だが、これはテレビ以外に新聞や雑誌などの値がそれなりに高値を付けているため。
日本でテレビの値が高いのは、多分に年上の人達のテレビへの傾注度が高いことによるもの。
↑ 趣味・娯楽に関する情報を得るために最も利用するメディアの各国比較(2016年)(日本)
もっとも、30代でもテレビを一番使う人は3割に近く、各年齢階層中一番の値を示しており、意外感を覚える。40代でのインターネット回答率が73.0%と一番高いのは、仕事中の息抜きにおいても使う機会が多々あるからだろうか。他方、全体値でも諸国中一番低かった書籍の値だが、これは年齢によるばらつきは無く、どの年齢階層でも低いままに留まっている。
災害時にもっとも使われるメディアは
趣味趣向とは方向性がまったく別の、災害時にもっとも使うメディア。こちらは国による大きな違いがでている。
↑ 災害が身の回りで起きる場合に災害の情報を収集するために最も利用するメディアの各国比較(2016年)
アメリカ合衆国では新聞やラジオの回答率もそれなりに高いためやや圧迫されているが、大よそインターネットとの回答率が5割台に達し、テレビを抜いてトップに。ところが日本ではインターネットの回答率が3割程度でしかなく、テレビが6割近くを示し、圧倒的な回答率となっている。情報の正確性はメディアレベルでは無く発信元によるところが大きいのは以前の記事でも解説した通りで、テレビ放送の内容にも多分に真偽性を疑われるものがあったのは事実だが、先の震災時における「情報はまずテレビ」との印象が強いのだろう(その一方でラジオが低めなのは気になるが)。また、元々テレビへの信奉度が高いのも一因に違いない。
「災害時にはまずテレビ」はとりわけ年上の方が強い傾向を示す。
↑ 災害が身の回りで起きる場合に災害の情報を収集するために最も利用するメディアの各国比較(2016年)(日本)
20代でもテレビの方が回答率は高いが、インターネットがほぼ肩を並べている。ところが年上になるに連れてテレビが増え、インターネットが減っていく。ラジオや新聞など他のメディアの回答率はどの年齢階層でも変わらず、単純にテレビが増えインターネットが増えていく図式は興味深い。
震災前の調査データが無いので比較はできず、震災が日本人における「災害時にどのメディアを使うか」の意識にどこまで影響を与えたかに関する確認はできないものの、特に中堅層以降においては少なからぬ変化が生じていることをうかがわせる値ではある。あるいは単に、元から、「災害時にはまずテレビ」が刷り込まれており、インターネットへの傾注度が低い年上の人ほど、その刷り込みの影響が強く出ているだけなのかもしれないが。
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