格安スマートフォンの短所、利用しない理由とは(2016年)(最新)
2016/08/27 10:36
日本でも最近話題に登り利用する人が増えてきた「格安スマートフォン」、いわゆる格安スマホ。仮想移動体通信事業者(MVNO)によって提供されるSIMカードを白ロム端末やSIMロックフリー端末に用いてスマートフォンとして使用する端末だが、長短所を兼ね備えているため、スマートフォンを利用したい人の間でも選択の判断は大いに分かれている。それでは利用しない人、短所を有していると思っている人は、具体的にどの点に不満を持っているのだろうか。総務省が2016年8月17日に公式ウェブ上で公開した、2016年版の【情報通信白書】に関して、各種グラフなどの詳細値が確認できるHTML版を元に、その実情を確認していく。
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今項目に係わる調査要項は先行記事【世界各国の完全自動走行車に対する認識と利用意向(2016年)(最新)】を参照のこと。なお今件ではインターネットに浅からぬ関係を有する機器である格安スマホに関する調査項目だが、調査自身がインターネット経由で行われているため、元々インターネットの普及において偏りのある国の回答率は、その国全体との間にいくぶんのぶれが生じている可能性を念頭におく必要がある。
さて、調査対象国における格安スマホの利用率は次の通り。設問では格安スマホのことを「「月々の通信料金を通常のスマートフォン(自社でネットワーク回線を設置する事業者が提供するスマートフォン)よりも低く設定している反面、高速通信の利用可能の範囲等に制限のあるスマートフォン」と説明している。
中国がやや高めの値を示しているが、これは直上の調査事情を考慮すると、ある程度差し引いて考えねばなるまい。一方で、今調査の調査対象となる範ちゅうでは、3割以上の人が格安スマホを用いているのも事実ではある。
↑ いわゆる「格安スマホ」を利用している(2016年、複数回答)
日本は大よそ1割強。他国もさほど変わらず、アメリカ合衆国が2割強でやや多め。
他方、この値以外の人は格安スマホは用いていない。利用を希望している人、していない人など状況は多数に及ぶが、それらの人が利用していない理由、そして利用している人でも短所だと思っている点を、複数回答で尋ねた結果が次のグラフ。
↑ いわゆる格安スマートフォンのデメリット・利用しない理由(2016年、複数回答、調査対象母集団全体)
国により携帯電話料金の負担度合、携帯電話の料金形態、格安スマホの普及状況と提供スタイルなどに違いがあるため、一概に比較するのはやや難があるが、大よそ「通信品質に不安」「格安スマホにすると普通のスマホよりもかえって高くつく」といったコストパフォーマンス的な問題、設定の難しさ、そしてサービスそのものや該当事業者の認知度の低さが、格安スマホを使う上でのハードルとなっていることが分かる。
日本に限って他国との違いを見ると、品質やサポートへの不安が大きい一方で、サービスや事業者への認知度は(相対的ではあるが)低めの値が出ており、少なくとも周知の観点では他国と比べて進んでいると認識できる。ブランドイメージの差異もさほど気にならないようだ。
ちなみに日本のみを抽出して再構築したのが次のグラフ。
↑ いわゆる格安スマートフォンのデメリット・利用しない理由(2016年、複数回答、調査対象母集団全体)(日本)
他国と比べて周知は進んでいるとの話だが、それでもデメリットとしては通信品質やコスト高に続き、短所・利用しない理由の第3位に位置している。コストや品質は格安スマホに限らず商品においては常に改善が求められる話ではあるが、啓蒙・周知やサポートの充実は、今後の格安スマホの伸張において、重視しなければならない点に違いない。もっとも、それらの充足で、さらにコストが上乗せされてしまうと、「格安」スマホでは無くなるとの問題も生じ得るのだが。
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