携帯電話、パソコン、テレビ…子供達の自分専用の所有率動向を探る(2016年)(最新)
2016/08/22 05:20
好奇心旺盛で多感な子供達にとって、大量の情報を取得できるツールは、知識欲を充足してくれる頼りがいのある相棒となる。昔はテレビ、そして今は加えて携帯電話(従来型携帯電話、スマートフォンの双方)が相当するのだろう。今回は金融広報中央委員会「知るぽると」が5年おきに実施している、小学生から高校生を対象にした金銭に係わるさまざまな問題を対象にした調査「子どものくらしとお金に関する調査」の調査公開結果をもとに、小中高生のテレビや携帯電話などの所有状況の現状と、過去の状況確認をしていくことにする(【知るぽると:子どものくらしとお金に関する調査】)。
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直近ではスマホは中学生5割、高校生はほぼ全員
今調査の調査要項は先行記事【中学生・高校生のおこづかい額(2016年)(最新)】を参考のこと。
まず最初に示すのは、直近の調査結果となる2015年分の、携帯電話、パソコン(回答者区分によってはタブレット型端末も合わせて設問文に掲載されている)、テレビ、自分の部屋に関する所有率。家族から借りて利用していたり、家族と共有のものは含まれない。自分の部屋ならば兄弟と共有の場合は該当しない。テレビの場合は居間で自分専用のテレビを持つ事は想定しにくいので、多分に自分の部屋に設置されていることが想像される。なお自分の部屋に関しては、小学生は設問が用意されていないので回答値は存在しない。
↑ 自分専用の持ち物(2015年、複数回答)(無回答除いて再計算)
小学生は従来型携帯電話の所有率が高いが、それでも3割程度。中高生になると値は減少し、代わりにスマートフォンの所有率がグンと上がる。中学生では5割、高校生では9割5分が自分のスマホを持っている。
子供のパソコン離れなどと最近語られているパソコンだが、「自分専用の」としては小学生は1割足らずだが中高生では3割程度。タブレット型端末も含まれているのが気になるが、タブレット型端末は多分に家族共有での利用となるので、さほど含まれてはいないと見てよいだろう。
テレビは小学生で1割前後、中高生でも2割前後とさほど多くない。他方、自分の部屋は中高生に限るが7割強と、ほぼ3/4に届いている。
経年変化で専有状況をたどる
続いて経年変化。「子どものくらしとお金に関する調査」では今回発表分も合わせ、都合3回・5年おきに調査が行われている。過去の調査では項目が省略されている部分もあるため、ある程度の経年値の抽出が可能なパソコン(+タブレット型端末)、従来型携帯電話、テレビについて、その動向を確認していく。なお空欄の部分は該当項目の調査が無かったことを意味する。また2010年以前は実質的にタブレット型端末は無くパソコンのみと見て良い。スマートフォンは2015年にはじめて登場した項目で、それ以前は回答そのものが無いので比較は不可能。もちろんそれぞれの回答値は無回答者を除いた再計算を施している。
まずはパソコン。
↑ 自分専用の持ち物(パソコン・タブレット型端末、複数回答)
2005年時には小学生の対象項目調査が無かったのは残念だが、2010年と2015年を比べると、明らかに減退している。他方、中高生はタブレット型端末が含まれるのも一因ではあるが、大きな上昇を示している。今件はあくまでも「自分専用」であり、家族との共有は除外されているが、パソコンを家族の監視の下で、あるいは共有として使うのは色々と使いにくい実情を思い起こせば、実質的なパソコン利用率は、自分専用の端末がある場合に限るとした方が良いかもしれない。
ともあれ、少なくとも所有率に限れば、中高生では「パソコン離れ」は起きていないことになる。ただし使用頻度に関する言及は無いので、どれほどの時間を費やしているかはまた別の問題ではある。
続いて従来型携帯電話。2010年分まではスマートフォンの項目が無かったので、項目では単に携帯電話と記載されている。
↑ 自分専用の持ち物(従来型携帯電話、複数回答)
小学生は2005年時点では回答項目が無かったので空白だが、2010年から2015年にかけては押し並べて上昇。防犯意識の高まりが反映されている。他方、中高生では2005年から2010年にかけては多少の上昇を示しているものの、2015年には大きな減退が起きている。これは上記グラフにある通り、スマートフォンが代替しているため。中高生の間で携帯電話離れが起きているわけではなく、従来型携帯電話離れ・スマートフォンへの密接化が生じている次第である。
最後はテレビ。自宅にテレビがあるか否かでは無く、自分専用のテレビの有る無しを問われていることに注意。専用のテレビが無くとも家族共有のテレビを居間などで閲覧することは可能である。
↑ 自分専用の持ち物(テレビ、複数回答)
こちらも小学生は2010年以降の設問となっているが、小中高いずれも現在に近づくに連れて所有率は減っていく。自室のあるなしの問いは2015年からなので経年変化をたどれず「自室所有率が減ったのでそれに合わせてテレビの所有率も減った」との仮説の是非を検証することはできないが、中高生の2005年から2010年における大きな減少ぶりは、自室所有率の変化があったとしても、それだけでは説明がし難い。やはり子供達の間で、自前のテレビ離れが生じていると見て良いだろう。
携帯電話の項目を見れば分かる通り、5年単位の調査では調査の回の合間に大きな技術進歩や普及機器の変化が生じ、経年変化をたどるのが難しくなってしまう。次回の調査は2020年に実施されるはずだが、その時には従来型携帯電話の選択肢が無くなっているかもしれないし、スマートフォンに続く新たな携帯型情報端末が選択肢に加わっている可能性は否定できない。
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