図書カードや電子マネー、テレホンカード…中高生の金券などの利用性向を探る(2016年)(最新)
2016/07/13 12:00
物やサービスの価値を指標化し、容易に交換、蓄積ができる仕組みが「お金」。その「お金」を直接紙幣や貨幣ではなく、他の形に変えてさらに使いやすくしたり、それに類するサービスを展開することで、人は多種多様な価値の蓄積や利用を行い、やり取りの便宜性を享受している。それでは子供達はこれらの仕組みをどこまで利用しているのだろうか。今回は金融広報中央委員会「知るぽると」が5年おきに実施している、小学生から高校生を対象にした金銭に係わる様々な問題を対象にした調査「子どものくらしとお金に関する調査」の調査公開結果をもとに、その実情を確認していくことにする(【知るぽると:子どものくらしとお金に関する調査】)。
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今調査の調査要項は先行記事【中学生・高校生のおこづかい額(2016年)(最新)】を参考のこと。
冒頭でも説明の通り、現在の日常生活においては現金による直接のやり取り以外に、さまざまなカードやポイント制度など、金融商品、ポイントカードによる価値の交換ができる仕組みが用意されている。大人でも財布の中に多数のグループ企業のポイントカードや、クレジットカードを納めているはずだ。今回は調査項目が用意されている中高生を対象に、各仕組みの利用実情を確認する。
設問は単に「次のものを、使っていますか」とし、それぞれのサービス名を挙げているのみ。利用頻度や金額までは問われていない。日常生活の中でそれなりに利用し、回答時に「利用している」と認識できる程度の頻度と見れば良い。例えばお財布の中に特定店舗向けの優待カードが収められていても、その店舗にはほとんど足を運ばず、利用経験も無いに等しい場合、この設問では「使っている」との回答はされないだろう。
なお今値は元々の公開値では「無回答」も別途用意されているが、それを除外して再計算を行い、使っている・使っていないの二択による結果を算出し、そのうち使っている人の値をグラフに起こしている。
↑ 金券などの利用性向(2015年、無回答者除いて再計算)
挙げられた金券などの中でもっとも利用率が高いのは図書カード。中学生では73.8%、高校生でも64.5%に達する。本人自身がカードを買って利用する事例は想定しがたく、入学祝い・進学祝いなどで親戚などからプレゼントとしてもらい、それを使うケースが多いものと考えられる。利用先がある程度特定されるため、贈呈する側も都合が良いのだろう。
次いで多いのはポイント。冒頭で説明した、店舗単位での利用実績に応じて付加される、値引きや特別なプレゼントに転換できるポイント全般を指す。最近では大手コンビニやスーパーだけでなく、中小の店舗でもポイント制度を取り入れており、利用機会は少なくない。
第3位は中学生ではプリペイドカード、高校生では電子マネー。電子マネーは多分にスマートフォンやインターネット通販で利用することになるため、それらのサービスをより多く利用する機会のある高校生の方が値は高い。購入性向により、利用する金融商品も変わってくる次第。また似たような選択肢で「ネットの仮想コイン」があるが、この言葉には少々驚きを覚える人もいるかもしれない。これは多分に例のビットコインではなく、ゲームアプリに使われる多様なコインと見れば良い。
興味深いのは「テレホンカード」。最近では公衆電話の数もめっきり減り、存在自身を知らない人も増え、当然それに使うテレホンカードを見たことがない人も増えている。スマートフォンがあれば(電波状態にもよるが)公衆電話以上の機動力で通話ができるので、必要性を感じない人も多いはず。
もっとも、中学生ではまだ防犯目的で持っている・持たされている人も多いためか、値は1/3近くと多め。また高校生でも2割は(頻度はともかく)利用していると回答。高校生ではほぼ全員が自分専用のスマートフォン(約95%)を所有しているとの結果が出ているだけに、この結果は多分に意外ではある。
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