別途、それとも自分で? 携帯電話料金とおこづかいの関係を探る(2016年)(最新)

2016/07/12 05:25

このエントリーをはてなブックマークに追加
今や子供達の間でも生活必需品となりつつある携帯電話(従来型携帯電話とスマートフォンの双方合わせて、以下同)だが、さまざまな機能を利用するためには基本使用料やインターネットへのアクセス料など、毎月一定の使用料が必要になる。さらに有料、月極め利用料を徴収するアプリを使い、ゲーム内課金をすれば、当然それらへの支払い義務も生じる。定期収入がおこづかいに限られる場合が多く、高校生でもアルバイト経験率は2割強でしかない現状では、子供達は携帯電話にかかるさまざまな料金を、どのような形で手当てしているのだろうか。今回は金融広報中央委員会「知るぽると」が5年おきに実施している、小学生から高校生を対象にした金銭に係わる様々な問題を対象にした調査「子どものくらしとお金に関する調査」の調査公開結果をもとに、その実情を確認していく(【知るぽると:子どものくらしとお金に関する調査】)。



スポンサードリンク


今調査の調査要項は先行記事【中学生・高校生のおこづかい額(2016年)(最新)】を参考のこと。

冒頭でも触れている通り、携帯電話の利用にはそれなりの金額が毎月必要となるが、子供達の収入はおこづかいに限られており、どのような形で料金を工面するのかが気になるところ。【中学生・高校生のおこづかい額(2016年)(最新)】にもある通り、今調査対象母集団では小学生で7割強、中高生では8割強がおこづかいをもらっている。

↑ こづかいをもらってる人(定期的、必要の都度合わせて)(2016年)(再録)
↑ こづかいをもらってる人(定期的、必要の都度合わせて)(2016年)(再録)

おこづかいは元々子供自身のプライベートな使用目的のためのフリーハンドな予算を、保護者などが割り当てているようなもの。それでは子供専用の携帯電話で必要となる使用料は、子供のおこづかいから支払われているのだろうか。その結果が次のグラフ。おこづかいをもらっていない人はおこづかいから携帯電話使用料を割り当てることは不可能なので、当然除外してある。

↑ 自分のおこづかいで携帯電話(スマートフォン含む)の使用料を支払っているか(2015年、無回答を除いて再計算)(おこづかいをもらっている人限定)
↑ 自分のおこづかいで携帯電話(スマートフォン含む)の使用料を支払っているか(2015年、無回答を除いて再計算)(おこづかいをもらっている人限定)

中学生は94.2%が世帯負担(中には祖父母などが立て替えている事例も想定されるが、稀有な例であるため今回は除外して考察する)。多分に自己支払いは2.9%でしかない。高校生になるとアルバイトで自分のこづかいを底上げする人もいるためか、中学生よりは多少自己負担率が上昇するものの、それでも「よくある」「時々ある」まで合わせても1割に届かない。小学生は設問自身が無いが、ほぼ100%保護者が全面支払いと見てよいだろう。

つまり現状において、携帯電話を利用する小中高校生がいる世帯では、その使用料はほとんどが子供のこづかいとは無関係で、家計の負担となっていることが分かる。これを受けて子供のおこづかいが圧迫される、家計が厳しくなるとしても、当然の話ではある(携帯電話が無かった時代と比べ、それだけ出費が増えているのだから)。

↑ 自分のおこづかいで携帯電話(スマートフォン含む)の使用料を支払っているか(2015年、無回答を除いて再計算)(おこづかいをもらっている人限定)(男女別)
↑ 自分のおこづかいで携帯電話(スマートフォン含む)の使用料を支払っているか(2015年、無回答を除いて再計算)(おこづかいをもらっている人限定)(男女別)

男女別では中高生共に男子の方がわずかに自腹を切る割合が高い。とはいえ実質的には誤差の範囲で、ほとんど変わりは無い。多少の差が出ているのは、おこづかいの平均額が女子より男子の方が高いのが一因かもしれない(高校生の場合、男子は平均5361円、女子は4896円)。

最後は余談に近いが、回答者の地域別。

↑ 自分のおこづかいで携帯電話(スマートフォン含む)の使用料を支払っているか(2015年、無回答を除いて再計算)(おこづかいをもらっている人限定)(中学生、地域別)
↑ 自分のおこづかいで携帯電話(スマートフォン含む)の使用料を支払っているか(2015年、無回答を除いて再計算)(おこづかいをもらっている人限定)(中学生、地域別)

↑ 自分のおこづかいで携帯電話(スマートフォン含む)の使用料を支払っているか(2015年、無回答を除いて再計算)(おこづかいをもらっている人限定)(高校生、地域別)
↑ 自分のおこづかいで携帯電話(スマートフォン含む)の使用料を支払っているか(2015年、無回答を除いて再計算)(おこづかいをもらっている人限定)(高校生、地域別)

地域で大きな違いは無く、あえていえば中学生では関東、高校生では加えて近畿やその周辺で、やや自腹率が高い動きが出ている。とはいえこれも正直なところ誤差の範囲でしかない。中学生で9割強、高校生で約9割は、携帯電話の利用料金は家計負担となっている。



携帯電話が無かった時代は、その分他の娯楽に子供自身のリソースは割り当てられており、中には保護者が立て替えをしていた事例もあるだろう。しかし携帯電話では今件の調査結果の通り、ほぼ9割強の子供が料金を家計負担としており、おこづかいから支払うことをしていない。使用料が高額で、仮に相応の負担を求めるとおこづかいそのものが無くなってしまう可能性があるのが最大の原因だが、子供にとっては負担が減るとしても、支払いそのものが無くなるわけではなく、当然家計の負担は増える。

子供が複数になれば、当然携帯電話の使用料金もそれだけかさむ。料金相応、それ以上の便宜性を提供していることに違いは無いが、保護者にとっては頭の痛い話にも違いない。


■関連記事:
【電話料金と家計支出に占める割合を詳しく(2016年)(最新)】
【中高生の携帯電話料金事情(2016年)(最新)】
【じわりと増加する携帯電話代負担…電話料金と家計支出に占める割合(2015年)(最新)】



スポンサードリンク



このエントリーをはてなブックマークに追加
▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2025 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー|X(旧Twitter)|FacebookPage|Mail|RSS