日本54.9%、米国87.0%…シニアの自動車運転、日本は多いのか否か、海外と比較してみる(最新)

2021/11/19 03:07

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2021-1031高齢化の進行と地域の過疎化に伴い、高齢者による自動車事故が社会的問題の一つとしてスポットライトを浴びるようになっている。生活の維持のためには行動範囲を広げる自動車などの移動手段は欠かせないが、心身の衰えに伴う判断ミス、走行中に不意の発症で運転不可能になる可能性は否定できず、そのリスクの体現化の一形態である交通事故が生じれば、本人だけでなく周囲の人まで被害を受けてしまう。今回は内閣府が2016年5月30日に発表した、高齢者の生活と意識に関する国際比較調査の最新版となる第8回調査結果から、日本だけでなく他国の状況も合わせ、高齢者が外出する時の利用手段の中から、自らの体力を消費することなく移動先を決められる移動手段として、バイクやスクーター、そして自分で運転する自動車を取り上げ、その利用実情を確認していくことにする(【内閣府:高齢者の生活と意識に関する国際比較調査一覧ページ】)。

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今調査の調査要項は先行記事【日本や諸外国の高齢者における結婚状況をグラフ化してみる(最新)】を参照のこと。

次に示すのは「ふだん、外出する時に何を利用するか」との複数回答の問いにおいて、選択肢として「徒歩」「自転車」「バイク・スクーター」「自分で運転する自動車」「家族などが運転する自動車」「バス・路面電車」「電車・地下鉄」「タクシー」「自分で操作する車椅子」「介助者が必要な車椅子」「その他」を用意した中で、冒頭にある通り「自らで移動経由や行先を細かく決められる」「移動の際に体力の消費を必要としない」「いつでも利用できる」の条件に合致した、「自分で運転する自動車」「バイク・スクーター」の回答率を抽出したもの。例えば日本では「自動車(自分で運転)」が54.9%とあるので、60歳以上の半数強は自分で運転する自動車を普段外出する際に利用していることになる。

なお今件ではシルバーカー、シニアカーと呼ばれている低速の電動式移動車両は、選択肢として用意されていない。「その他」が選ばれているものと考えられるが、法令上は歩行扱い。

↑ 外出する時の利用手段(60歳以上、複数回答、一部、国別)(2020年)
↑ 外出する時の利用手段(60歳以上、複数回答、一部、国別)(2020年)

どの国でもバイクやスクーターを利用する人はごく少数。運転時の安定性や運動能力の必要性などを考えると、自動車運転と比べて格段の難しさがあるため、バイクよりは難易度が低いスクーターでも利用する人はあまりいないのだろう。自分で運転する自動車ではアメリカ合衆国の87.0%がもっとも多く、次いでスウェーデンの72.6%、ドイツの67.7%が続く。日本の54.9%は実のところ今回調査国の中では一番低い。

これについて、各国の年齢階層別に見たのが次以降のグラフ。まずは「バイク・スクーター」。

↑ 外出する時の利用手段(60歳以上、複数回答、「バイク・スクーター」回答率、国別・年齢階層別)(2020年)
↑ 外出する時の利用手段(60歳以上、複数回答、「バイク・スクーター」回答率、国別・年齢階層別)(2020年)

全体値ではドイツと並び一番値が低かった日本だが、(海外と比べて、ではあるが)高齢でも少なからぬ人が利用しているのが分かる。70代後半に限れば、日本が一番高い値の4.3%を示している。ただし80歳以上ではゼロ。他方60代前半では他国が5%以上なのに対し、日本では2.1%どまり。

もっとも、一番値の高いスウェーデンですら1割足らずでしかないので、誤差の範囲と解釈すれば、それまでなのだが。

続いて自分で運転する自動車の回答値。

↑ 外出する時の利用手段(60歳以上、複数回答、「自動車(自分で運転)」回答率、国別・年齢階層別)(2020年)
↑ 外出する時の利用手段(60歳以上、複数回答、「自動車(自分で運転)」回答率、国別・年齢階層別)(2020年)

自分で運転する自動車の割合は、当然ながらおおよそどの国でも年を取るに連れて減少する。年を取ると心身ともに衰え、自動車の運転に耐えられなくなる(・耐えられないと周囲が判断して止めさせる)からだ。

他方、各年齢階層の値を見ると、日本は60代前半の値が低く、年齢が上になるに連れて値が落ちる度合いも大きい。80歳以上では20.6%しかいない。一方で、アメリカ合衆国は60代前半で9割近くの人が用い、7割超の値は80歳以上まで維持されている。同国において自動車は高齢者にとっても生活必需品となっている実態が容易に理解できよう。


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