従来型は小4がピーク、スマホは高2で9割近く…小中高校生の携帯電話所有状況(2016年)(最新)
2016/05/19 15:11
大人はもちろんだが子供達の間にも急速に浸透が進み、ライフスタイルを大きく変えた存在、携帯電話。中でも高機能で多種のデジタルアイテムとしても併用できるスマートフォンの存在は、多方面でメリット・デメリットを子供達に与えている。今回は少年教育振興機構が2016年5月2日に発表した「青少年の体験活動等に関する実態調査」報告書の結果をもとに、小中高校生における携帯電話(従来型携帯電話とスマートフォン)の所有実態を確認していくことにする(【「青少年の体験活動等に関する実態調査」(平成26年度調査)報告書】)。
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従来型携帯電話の所有率ピークは小学4年生で3割強
今調査の調査要項については先行記事【果物の皮を包丁でむいたり、ぞうきんを絞ったり……いまどきの子供事情を探る】を参考のこと。
次に示すのは回答者本人の専有端末として、従来型携帯電話(厳密には設問では「携帯電話(スマートフォンを除く)」と記載されており、回答者自身がPHSなどを携帯電話と認識していればそれも回答に含まれている可能性はあるが、誤差の範囲だろう)を所有している人の割合。保護者や兄弟姉妹との併用の場合は該当しない。また、購入を自分自身でしたか否かは問われていない。保護者に購入してもらい、自分用の端末として使っている場合も該当する。
↑ 自分用として従来型携帯電話を持っているか(2014年度)
小学1年では14.2%、およそ1/7。学年が上がるに連れて所有率は上昇し、小学4年がピークで27.6%。その後は少しずつ値は減り、高校2年では12.4%となり、小学1年より少なくなる。今件回答は多分に防犯用、保護者との連絡用として手渡された従来型携帯電話が回答に該当するものと思われる。小学5年以降になると、防犯の必要性も減り、またスマートフォンに取って代わられるため、所有率が減る次第ではある。
「防犯用として持たせている」推定を裏付けるのが、男女別の所有率動向。
↑ 自分用として従来型携帯電話を持っているか(2014年度)(男女別)
高校2年では逆転現象が起きているが、それ以外では一様に女子の方が所有率が高い。しかもピークとなる小学4年に向けて、男女差が大きなものとなっていく。小学4年生の女子は実に3人に1人が従来型携帯電話を所有している計算になる。女子への犯罪リスクを少しでも下げるため、連絡を密にするため、従来型携帯電話を持たせているのだろう。
ダイナミックな右肩上がりのスマホ所有率
続いてスマートフォンの所有率。高機能であるため、使いこなしができるか否か、さらには機能の誤利用やトラブルに巻き込まれるリスクも増加することから、ある程度歳を経ないと持たせてもらえないようだ。
↑ 自分用としてスマートフォンを持っているか(2014年度)
防犯用として渡されている感が多分にある従来型携帯電話の所有率ピークとなる小学4年でも大きな動きが無いことから、スマートフォンは防犯用アイテムとしての認識は、少なくとも保護者には無いようだ。小学6年でも1割強に留まるが、中学2年になると急増し、4割を超える。5人に2人はスマホ持ちの計算。そして高校2年ではほぼ9割。10人に9人までがスマートフォンを持っている。家族との兼用では無く、回答者本人の専用端末であることを合わせ考えると、過去にこの学年でこれほどまでに高率の保有率を示す本人専用デジタル機器は恐らく皆無であり、だからこそ今件は現在の子供達の状況の特異性を示しているともいえる。
↑ 自分用としてスマートフォンを持っているか(2014年度)(男女別)
男女別に見ると小学生ではほとんど差異は無いが、高学年でやや女子の方が高値を付け、中学2年で差異はピークとなる。そして高校2年では所有率そのものの天井感があり、男女でほぼ同率となる。スマートフォンは多分にソーシャルメディアとの相性が良いことから(リアルタイム性、マルチメディア性などがポイント)、そして男子より女子の方がソーシャルメディアへの利用性向が高いため、需要に応じて所有率も高いものとなっているのだろう。
先行する記事と合わせ、パソコン、タブレット型端末、従来型携帯電話、スマートフォンと、大よそのデジタル系機器の所有状況が把握できたので、それらを総括したグラフを作成しておく。
↑ 自分用として次の端末を持っているか(2014年度)
これらの端末でインターネットを利用しているか否かはまた別の話になるが、それぞれの学年でどの端末が生活に浸透しているか、多く利用されているかを把握するのには、非常に分かりやすい指標ではある。小学生は大よそ従来型携帯電話、そしてタブレット型端末。中学生でタブレット型端末ですらスマートフォンが追い抜き、高校生では圧倒的にスマートフォンがトップの座に就くことになる。
当然複数の端末を併用する事例も多々あるが、小中高校生のデジタル端末の実情が透けて見えてきそうなグラフには違いない。
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