受けた時と送った後、ソーシャルメディアやメールでのやり取りの義務感の実態(最新)

2018/11/02 05:21

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2018-1021昔は電子メール疲れ、そしてmixi疲れからFacebook疲れ、LINE疲れと、主に話題に上る対象となるサービスの名前は変わりゆくものの、インターネットを用いたコミュニケーションにおいて、これまでのツールと同じような対応が行われていると錯覚することによる、気疲れが問題視されている。メッセージを送る側は相手が目の前にいて24時間フル対応するものと思い込み、すぐに返事が来ないと不安になり、あるいは怒りを覚えるようになる。逆に受信を確認すると、すぐに返事をしなければならないといった強迫観念を覚えてしまう。今回は国立青少年教育振興機構が2018年8月22日に発表した「青少年の体験活動等に関する実態調査」報告書の結果をもとに、小中高校生におけるインターネットを利用したコミュニケーションサービスにおける、やり取り上の義務感について確認していくことにする(【「青少年の体験活動等に関する実態調査」(平成28年度調査)報告書】)。



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「メッセージが来たらすぐに返事しなきゃ」高校2年生は約2割が感じる


今調査の調査要項については先行記事【果物の皮を包丁でむいたり、ぞうきんを絞ったり…いまどきの子供事情を探る】を参考のこと。

次に示すのはメールやSNS(ソーシャルメディア)経由でメッセージの類が来たら、すぐに返信をしなければならないと思うか否か。パソコンも携帯電話も利用せず、インターネットサービスそのものを使っていない、あるいは使っていても電子メールやソーシャルメディアを利用していない人は受信することは無いので、当然「まったく無い」となる。つまりその類のサービスの利用をしているか否かも、多分に回答には影響する。

↑ メールやSNSのメッセージが来たらすぐに返信しなければいけないと思う(2016年度)
↑ メールやSNSのメッセージが来たらすぐに返信しなければいけないと思う(2016年度)

「ほとんど無い」、表現を変えればまったく無いわけでは無い人まで合わせると、年上になるほど割合は増加していく。ただし高頻度で思うケースに遭遇する、切迫感を覚えている人(赤系統色の回答項目、設問への肯定派)は中学2年生がピークで、高校生になると逆に減る。携帯電話の所有率など利用機会は増えるものの、精神的にも成長してある程度の割り切り感を会得したり、即時返答があまり意味の無いものであることを経験則から学んだのだろう。

これを男女別に区分したのが次のグラフ。

↑ メールやSNSのメッセージが来たらすぐに返信しなければいけないと思う(男女別)(2016年度)
↑ メールやSNSのメッセージが来たらすぐに返信しなければいけないと思う(男女別)(2016年度)

小学生は概して男子よりも女子の方が「返事はすぐに」との考えが強い。しかし中学生になるとほぼ同率、そして高校生になると男女間の立ち位置は逆転し、むしろ男子の方が回答率は高くなる。ソーシャルメディアの利用率は女子の方が高いことから、同じような利用スタイルならば女子の方が高くなるのが道理なのだが、結果は逆。女子の方が割り切りを早く覚えているのかもしれない。

「メッセージ送ったのに返事がすぐこないと不安」は高校生で2割近く


メッセージの受信があれば、当然送信する側もいる。次に示すのは電子メールやソーシャルメディア経由でメッセージを送った後に、相手から返事がすぐに来ないと不安が生じるか否かについて。相手への端末、アカウントへの着信が原則ほぼリアルタイムであることから、まるで目の前に相手がいるかのような、対面での会話のような反応を示す、すぐに相手がそれを読み解き、必ず返事をするものと錯覚してしまうことから生じる不安ではある。もしかしたら相手は自分を無視しているのではないかとすら思いこんでしまう。

↑ メールやSNSのメッセージを送った相手からすぐに返信が無いと不安になる(2016年度)
↑ メールやSNSのメッセージを送った相手からすぐに返信が無いと不安になる(2016年度)

赤系統色の動向に関して、上記の「すぐに返信しなければ」と大した違いは無い。ただし今件ではピークは中学2年生ではなくて高校2年生。高校2年では16.6%の人が「すぐに返事が無いと不安」とそれなり以上に感じていることになる。

男女別に見たのが次のグラフ。

↑ メールやSNSのメッセージを送った相手からすぐに返信が無いと不安になる(男女別)(2016年度)
↑ メールやSNSのメッセージを送った相手からすぐに返信が無いと不安になる(男女別)(2016年度)

男女別では中学2年生までは赤系統色(肯定派)は女子の方が多く、高校2年生では男子が多くなる。「すぐに返信しなければいけないと思う」と同じパターン。また、男子の中学2年生から高校2年生の上昇度合いが大きいことが、全体におけるピークを中学2年生ではなく高校2年生にしてしまっているようだ。



電子メールもソーシャルメディアも相手に送ったところで、相手が即時に読み、さらにすぐに返事を返してくれるわけでは無い。メッセージのやりとりである以上、送り手はすぐに受け手になりうるわけで、理屈の上では相手の事情は痛いほどわかるはずなのだが、それでも精神的にある程度成熟し、さらに利用経験を重ねないと、その常識、暗黙の了解の部分を理解し、割り切ることは難しい。大人ですらその理屈が理解できない人が多数いるのだから、仕方が無い。

「返事はすぐにしなければ」「すぐに返事が無いと不安」双方とも、ソーシャルメディアなどインターネット上のコミュニケーションにおいて、陥りやすい誤解から生じる心理上の負担に違いない。インターネットの利用に関する啓蒙の中で、コミュニケーションの際には焦る必要は無く、不安を覚える必要も無いことも教え説くべきではないだろうか。


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