年齢で大きな違いを見せる「よく聴く音楽のジャンル」(最新)
2020/04/23 05:18
音楽を聴くことは趣味の一つであり、当然自分が好きな曲、アーティストの作品に積極的に耳を傾けるようにするもの。相性的に合わないタイプの曲ならばスイッチを切り、その場を離れ、購入しない選択肢を選ぶ。それでは音楽の好き嫌いの傾向は、年齢によって違いがあるのだろうか。日本レコード協会が2020年4月に発表した最新調査の結果「音楽メディアユーザー実態調査 2019年版(公表版)」をもとに、その実状を確認していく(【発表リリース:2019年度「音楽メディアユーザー実態調査」報告書公表】)。
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皆に好かれる和のポップスなど、好き嫌いが分れるアニメやジャズ
調査対象母集団の要項は今調査に関して先行記事【年齢階層別の「音楽との付き合い方」】を参照のこと。
次に示すのは属性別に回答者を区分した上で、普段どのようなジャンルの音楽を聴くかについて尋ねた結果。複数回答だが、同時に普段から能動的には音楽を聴かない、つまり今件設問では回答をしないであろう人も含めた結果であることに注意。
↑ 普段よく聴く音楽のジャンル(複数回答)(2019年)
幅広い層に聴かれているのは日本のポップスやロック、ダンスミュージック。60代でも4割台が聞いている。学生・生徒でも7割台。該当項目のグラフの面積が層の厚みを体現している。他方、海外のポップスやロック、ダンスミュージックは日本のものと比べると半分ぐらいでしかない。日本の曲はともかく、海外の曲は受け入れられにくいようだ。
アニメや声優、ゲームやネット、ボカロ系の音楽は学生・生徒がよく聴取している。中国製では過半数を示し、中学生や高校生では海外のポップスなどを上回る値となっている。もっともアニメなどは20代社会人までが聴取の対象としての認識で、30代以降は急激に値が減少。アイドル系の音楽も近い動きで、30代以降は大きく落ちる。
アニメや声優などと反する動きを示すのはクラシックやジャズ、そして演歌・歌謡曲など。特に演歌・歌謡曲は50代以降で急激に値を伸ばしていく。
期待市場を類推する
よい機会でもあるので、調査結果の値を基に、ある試算を行うことにする。それぞれの属性の値と回答者数と、各属性の「有料聴取層」(調査時点までの半年間に音楽を聴くために対価を支払った経験がある人。つまり音楽への対価支払いが十分に期待できる人)の比率を掛け合わせ、調査対象母集団数全体に対する比率を算出。各ジャンルにおいてそれぞれの属性がどれほど(対価が発生する)お客様となり得るかを指数化した。
例えば日本のポップスやロック、ダンスミュージックでは、中学生が0.007、20代が0.055となっているので、市場規模の上では20代は中学生の8倍ほどの「お客様」の数が見込める計算となる。その年齢階層の人数が多くても、その層で有料聴取層の比率が低ければ、対価が発生する人の数はあまり期待できないことになる。合わせ、すべての年齢階層を足して、それぞれのジャンルの購入期待値も算出した。
↑ 普段よく聴く音楽のジャンルから推計した購入期待値(属性別)(2019年)
↑ 普段よく聴く音楽のジャンルから推計した購入期待値(2019年)
日本のポップスやロック、ダンスミュージックの購入期待値は断トツで0.268。海外物はその半分程度でしかない。アニメや声優などはそれにおよばないが、かなり健闘している。アイドルミュージックやクラシックなどと比べれば多分に高い値であるのも事実。
年齢階層別に見ると、全体値で高い値を示す日本のポップスやロック、ダンスミュージックは20代から40代までが主に支えていることなど、それぞれのジャンルの市場の(売上的)後押しが、どのような年齢階層から強い影響を受けているのかが分かる。
もちろんこの期待値は人数ベースのもの。「有料聴取層」における一人一人の購入性向までは考慮していないので、小さからぬぶれが生じていることは否めない。例えばアニメや声優のファンで有料聴取層に該当する人は、年に何曲も楽曲を購入していることは容易に想像できる。
それでもなお、概算的な市場把握、購入層の実情を大まかな形で把握するのには、役立つ値に違いない。
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