小中高校生はいつテレビを見ているのだろうか(最新)

2021/06/16 04:07

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2021-0607NHK放送文化研究所が2021年5月21日に発表した2020年国民生活時間調査の報告書やその付随データでは、多様な属性に区分された人々のライフスタイルが確認できる。今回はその公開値を基に、小中高校生におけるテレビの視聴動向を平日と日曜に関して見ていくことにする。若者のテレビ離れが叫ばれはじめて久しいが、それでもなお多くの児童・生徒にとってテレビはもっとも身近な友達であり、コミュニケーションの素材となる情報を安価に提供してくれる存在に違いない。その視聴動向の確認は、児童・生徒らの日常生活の実態を知ることに、大いに役立つものと考えられる(【発表リリース:「2020年 国民生活時間調査」結果概要】)。


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今調査の調査要項は先行記事【大きく減ったテレビを見る人、しかし高齢者は相変わらずほとんどの人が見ている(最新)】で記載済みなのでそちらを確認のこと。

早速だが次に示すのは、小学生・中学生・高校生における、平日のリアルタイムによるテレビ(視聴)行為者率の動向。「行為者」とは指定された行動を実際にした人のこと、「行為者率」は指定された時間に該当行動を15分以上した人が、属性対象人数に対しどれほどいたのか、その割合。例えば該当属性の人数が500人で、特定時間帯のテレビ行為者率が10%ならば、その時間帯には500×10%=50人の人がテレビを見ていたと回答したことになる。

またテレビ視聴の行為はテレビ器材(据置型テレビだけでなく、ワンセグによる視聴も含む。録画視聴や購入・レンタルソフトの視聴は除く)を用い、放送されている番組を見ること、実質的に回答者が「テレビを見ている」と自認できる行動を意味する。昨今ではレコーダーに録画してテレビを視聴するスタイルも一般的になっているが、それに関しては【録画番組やDVDなどの利用動向】を参照のこと。

なお縦軸は次に示す日曜のグラフと区分を統一している。

↑ テレビ行為者率(平日、学校種類別)(2020年)
↑ テレビ行為者率(平日、学校種類別)(2020年)

昼夜を問わず一番テレビをよく見ているのは小学生。特に夕食時間帯では中高生と比べて約2倍の多さを示している。日中はほとんどテレビは見ていないが、これは当然学校に通っているため。昼食時間帯にいくぶん値が出ているが、たまたま休みだった人や何らかの事情で自宅にいる人、あるいは回答ミスの類もあるかもしれない。

夜間のピークは小中学生でほぼ同じ、夕食時間帯かその直後。小学生の方がテレビを見ている人は多いが、就寝時間が早いため、行為者率が下がるタイミングも一番先となる。他方、中学生はしばらくテレビの視聴を続けるようで、22時過ぎまでは横ばい、その後に行為者率は失速していく。

高校生は上昇タイミングが遅いが、夕食時間帯よりはむしろ食事をし終えた後の方が行為者率は高くなる。ピークは20時-20時半。また、22時-22時半にも高い値を示す。夕食も終わり、翌日の準備なども終えた後の、プライベートタイムにゆっくりとテレビを楽しんでいる感はある。

続いて日曜の動向。

↑ テレビ行為者率(日曜、学校種類別)(2020年)
↑ テレビ行為者率(日曜、学校種類別)(2020年)

日曜は平日とは大きく傾向が異なる。朝食のみに跳ね上がることは無く、遅めの朝食を取った後はそのままテレビ視聴を継続する形に移行する。特に小学生は午前10時ごろまで大きく増加し、その後はお昼時間帯までやや下がる。詳しくは機会を改めて精査するが、いわゆる「ニチアサ」の番組を視聴しているものと考えられる。

夕方から夕食時間帯にかけていずれの属性も行為者率は増加する。そして小学生は夕食時間帯以降も値は増え続け、ピークの20時45分には30%を超える高い値を示す。ほぼ3人に1人がテレビを見ている計算になる。ただし翌日は学校に通わねばならないことに加え、元々就寝時間が早いこともあり、行為者率が下がるのも比較的早い。このあたりの動向は先行記事【高齢者は夕食前からずっと見ている…男女別・年齢階層別で異なる平日夜間のテレビ視聴スタイル(最新)】で記した通りで、実際には小学生、そして中学生が多分に早寝をしていたことになる。他方中学生よりも高校生の方が就寝時間が遅いにもかかわらず行為者率の落ち込み方が早いのは、テレビではなく、スマートフォンによるインターネットの利用などにシフトしているからだろう。



本文中でも触れているが昨今ではテレビ視聴のスタイルとして、好きな番組を録画しておき時間の空いた時に再生して見るケースも少なからずあるため、純粋なテレビ番組の視聴の観点ではもう少し上乗せされることになる(つまり録画済みの再生だろうとリアルタイムだろうと、テレビ番組の視聴には違いないという考え方)。

テレビは今なお子供達には欠かせない存在に違いない。他方、少しずつ距離をおきつつあるのもまた事実。その動きが進むにつれ、テレビ視聴のスタイルにはどのような変化が生じるだろうか。5年後の調査でも今件同様に詳細値が公開され、比較可能な状態になることを期待したい。


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