10年単位での睡眠の変化(最新)
2021/06/15 04:13
NHK放送文化研究所が2021年5月21日に発表した2020年国民生活時間調査の報告書では、人々の日常生活の有様、そして変化を多様な点から知ることができる多彩なデータが収録されている。今回はその中から、人々の平均的な睡眠状況の移り変わりを見ていくことにする(【発表リリース:「2020年 国民生活時間調査」結果概要】)。
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今調査の調査要項は先行記事【大きく減ったテレビを見る人、しかし高齢者は相変わらずほとんどの人が見ている(最新)】を参照のこと。
「国民生活時間調査」は現時点で1995年以降5年おきのデータを取得可能となっている。そこで直近の2020年、そして10年前の2010年と20年前の2000年について、各年の全体における睡眠行為者率(各時点で寝ている人の割合)の推移を抽出し、人の睡眠がいかなる状況なのかとともに、10年単位で変化が生じているのかを精査していく。先行記事【平日と休日の食事時間帯】などでも言及の通り、報告書では「平日では早起き化とともに朝食が早まる傾向がある」との示唆がされており、それを睡眠そのものの動向で確認できる次第ではある。
↑ 睡眠行為者率(平日、調査年別)
↑ 睡眠行為者率(土曜、調査年別)
↑ 睡眠行為者率(日曜、調査年別)
日中の睡眠行為者率が極めて低い、つまりほとんどの人が起きているのは当たり前の結果ではあるが、同時に深夜ゼロ時の時点でも2割前後の人がまだ起きている、午前3時前後になってようやくほとんどの人が床につく実情が確認できる(100%にならないのは、深夜就業の人や勉強をしている人、そして誤回答によるものと思われる)。
また、平日と比べて土曜・日曜は起きる時間が遅いこと、寝る時間が微妙にずれていることなども確認できる。この曜日の違いを分かりやすいように、直近の2020年分に関して重ねたのが次のグラフ。
↑ 睡眠行為者率(曜日別)(2020年)
↑ 睡眠行為者率(19時以降、曜日別)(2020年)
回答者全員が週休2日制ではないこと、その翌日が休みか否かの違いからか、平日よりも土曜・日曜が遅起きなのには違いないが、土曜よりも日曜の方が起きる時間が遅く、寝る時間は早くなっている。一番遅くまで起きているのは日曜ではなく、土曜ですらなく、平日となっているのは興味深い。
他方、経年変化だが、10年程度の時間の流れで睡眠動向が大きな変化は生じておらず、3本のグラフはほぼ重なる形となっており、変化を見出しにくい。かろうじて朝方において早起きになっているかな、というのが分かる程度。そこで最古データの2000年分を基準として、10年後の2010年、20年後で直近の2020年はどれほど変化したのか、睡眠行為者率の差異の%ポイント(ppt)を計算したのが次のグラフ。マイナス幅が大きいほど睡眠行為者が減っている、つまり起きている人が多い、プラス幅が大きいほど睡眠行為者が増えている、つまり寝ている人が多いことになる。
↑ 睡眠行為者率(平日、2000年からの変移、調査年別、ppt)
↑ 睡眠行為者率(土曜、2000年からの変移、調査年別、ppt)
↑ 睡眠行為者率(日曜、2000年からの変移、調査年別、ppt)
まず平日だが、朝の早起き化が進んでいることは間違いない。他方夜の就寝動向では2010年で22時半以降にマイナス化が生じている=夜更かし化が生じているものの、2020年ではおおよそ早寝化の動きが起きているのが確認できる。
土曜・日曜は値のぶれがやや大きく、傾向を見出すことは難しいが、いくぶん強引に見れば、土曜は起床時間が二分化(早起き化した人と遅く起きる人に分かれる)し、夜は早寝する傾向が増えているものの、日をまたいで起きている人は増えていると読める。他方日曜は早起き化の傾向にあると読めるだろうか。
あくまでも今件は10年単位の動向で、傾向だった動きかを判断するのには調査回数の不足は否めない。また2020年分に限れば新型コロナウイルスの流行で社会様式が大きく変化しており、それが起床時間や就寝時間を変えてしまった可能性は否定できない。とはいえ、調査対象母集団全体≒国民全体における睡眠スタイルに、少しずつ変化が生じている雰囲気は把握できよう。
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