趣味や娯楽のインターネットはいつ使われているのだろうか(最新)

2021/06/15 04:11

先行記事【大いに増える趣味や娯楽のインターネット利用(最新)】において、NHK放送文化研究所が2021年5月21日に発表した2021年国民生活時間調査の報告書を基に、日々の趣味や娯楽に係わるインターネット利用状況を、行為者率と行為者の利用時間の観点から確認した。今回は切り口を変え、過去から現在における、平日と日曜における時間別の利用状況の推移を見ていくことにする。どの時間帯で趣味や娯楽のネット利用が行われているか、また昔と今とではどのような違いがあるのかを、つかみ取ることができよう(【発表リリース:「2020年 国民生活時間調査」結果概要】)。



今調査の調査要項は先行記事【大きく減ったテレビを見る人、しかし高齢者は相変わらずほとんどの人が見ている(最新)】を参照のこと。また今件精査を行う「趣味・娯楽・教養を目的としたインターネットの利用」などの定義づけは先行記事「大いに増える趣味や娯楽のインターネット利用(最新)」を参照のこと。仕事や学業に係わるネット利用、電子メールや知人・家族とのやりとり、またインターネットを用いた動画視聴は今件には該当しないことに注意が必要となる。つまり今件はあくまでも趣味や趣向、教養に限ったインターネットの利用動向であり、インターネット利用全体のものではない。

さて、取得可能な最古の値となる2005年から、最新の2020年分までの計4回分にわたり、老若男女を合わせた全体の、趣味・娯楽・教養を目的としたインターネットの行為者率の推移は次の通り。年齢階層別人口構成も微妙な変化が生じているため、各年の全体的な動向指標のようなものと見ればよい。


↑ 趣味・娯楽・教養のインターネット行為者率(平日)
まず平日。深夜から朝方にかけてはほとんどの人が寝ているためゼロに近づき、夜が明けるぐらいから少しずつ増加していく。朝食時間後、お昼前まで増加は続くが、お昼の時間帯は減少を示す。その後再び増加し、夕食時間帯にまた減少し(2020年は除く)、その後は急速に増加する。この動きから、「午前中は昼前まで空き時間などを見つけての利用」「昼以降も空き時間、帰宅時時に利用」「食事の際には利用を避ける」「夕食後はプライベート時間を用いての利用」といった利用スタイルが見えてくる。

また経年変化だが、一部逆転現象が起きている時間帯もあるものの、おおよそ2005年から順当に増加の動きを示している。特に午前中・昼前、そして夕食後の時間帯で大きな増加が見受けられる。とりわけ夕食後の行為者率は大きな増加を示しており、平日の自由時間における時間の費やし方の選択肢として、趣味・娯楽・教養のインターネットが確実に浸透している状況がつかみ取れる。

さらに直近の2020年では夕食時間帯における減少が確認できない。夕食時間が分散して傾向だった動きが見られなくなったか、あるいは夕食時にもスマートフォンなどを用いて利用しながら食事をするようになったのかもしれない。残念ながら「ながら行動」についてはテレビ視聴においてのみ調査されているので、インターネットの利用に関しては分からず、推測でしかないのだが。

続いて日曜。多くの人は学校や仕事もなく、プライベートな時間が平日よりも多く取れる一日における利用状況となる。縦軸の区分は平日と同じにしてある。


↑ 趣味・娯楽・教養のインターネット行為者率(日曜)
平日と比べて全体的に値そのものが大きく増えていることが分かる。日中も一定の人は趣味などでインターネットを利用しているようだ。また、昼食時間帯と夕食時間帯の減少タイミングは平日とほぼ同じだが、減少度合いは大きい(逆に言えば食事時間帯以外の値そのもの大きいのだが)。

一方で直近の2020年分では平日において見られなかった夕食時間帯の値の減少が、日曜では生じているのが分かる。やはり日曜の夕食は家族そろっての団らんとなることが多く、そのような場ではスマートフォンなどを用いたインターネットの利用ははばかられているのだろうか。


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