テレビ視聴動向いまむかし、現在と10年前を比べると(最新)
2021/06/13 04:21


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今調査の調査要項は先行記事【大きく減ったテレビを観る人、高齢者は相変わらず高視聴率だが…(2016年)(最新)】で記載済みなのでそちらを確認のこと。なお「行為者率」とはその仕切り内時間に該当行為を15分以上連続して行った人の割合、グラフ中の時間帯の区切りに関する表記は「直前区分からその時間まで」を意味する。今件では30分区切りでの精査なので、例えば「19時00分」なら「18時30分-19時00分」である。
【高齢者は夕食前からずっと見ている…男女別・年齢階層別で異なる平日夜間のテレビ視聴スタイル(最新)】で解説の通り、平日夜間のテレビ(番組視聴)平均行為者率は、高齢者が早めの時間帯で高い値を示すが就寝も早いため、夜間になると中年層と値が入れ替わる動きを示している。

↑ 夜間のテレビの平均行為者率(平日、男性、年齢階層別)(2020年)(再録)

↑ 夜間のテレビの平均行為者率(平日、女性、年齢階層別)(2020年)(再録)
「国民生活時間調査」は5年ごとに調査が実施されている。直近分は2020年分だが、その10年前となる2010年分も各種データを取得することができる。そこで2010年分に関して同じ状況を確認し、同一の縦軸の区分でグラフを作成する。10年前の平日夜間における、テレビの視聴実情を知ることができる。

↑ 夜間のテレビの平均行為者率(平日、男性、年齢階層別)(2010年)

↑ 夜間のテレビの平均行為者率(平日、女性、年齢階層別)(2010年)
10年前といえばスマートフォンは普及し始めたばかりで、多くは従来型携帯電話を利用していた時代。平日夜間の娯楽はテレビが絶対王政の長的な存在で、若年層における値が直近2020年と比べると随分と高かったのが分かる。
とはいえ両年のグラフを見比べるのは少々難儀する。そこで2010年から2020年の各属性の値を比較し、その推移を同様にグラフとして書き起こしたのが次の図。マイナス値が大きいほど、10年間でテレビ離れが進んだことを意味する。

↑ 夜間のテレビの平均行為者率(平日、男性、2010年との差、年齢階層別、ppt)(2020年)

↑ 夜間のテレビの平均行為者率(平日、女性、2010年との差、年齢階層別、ppt)(2020年)
男女で縦軸の区分を統一しているが、プラスが10%までなのに対しマイナスが30%まで存在していることからも分かる通り、全般的にはテレビの平均行為者率は減少の動きを示している。そして男性だが、おおよそ10代と30-50代は早い時間帯から、20代と60代以降は食事後で大きく減っている。元々この時間帯のテレビ行為者率が高く、削られうる値が大きいのも一因だが、リラックスのためのツールとしてのテレビの存在が、そのポジションを削られてしまっていることがうかがえる。高齢層でも値こそマイナス10%内外と低めだが食事の時間と思われる時間帯を中心に減少しており、プラスを示しているのは食事前と就寝前の時間帯のみ(高齢者の食事後の時間に関しては、元々昔から就寝時間が早くテレビをあまり見ていないので平均行為者率が低いことから、減少しにくいという理由もある)。
女性も傾向としてはさほど変わりはないが、10代の減少幅が男性よりも大きいことや、高齢層でも減少の動きにあることが確認できる。60代が食事後でもほぼ減少したままなのは注目に値する。
今回確認したのはわずか10年の間の変化ではあるが、それでも平日夜間における「テレビ離れ」の実情が確認できたのは興味深い。
一部には録画再生の番組を見るスタイルにシフトした可能性はあるが、少なくともリアルタイムでのテレビ番組の視聴は、平日夜間の時間帯において「何より一番」から「数ある選択肢の一つ」へと、その立ち位置を変えつつあるに違いない。
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