「罰として携帯電話はしばらく取り上げます」米国では2/3近くが事例あり
2016/02/10 13:21


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今調査の調査要項は先行記事の【6割は「子供の閲覧履歴を確認」…米国のデジタル子育て事情】を参考のこと。
冒頭の通り、過度の集中利用などでリスクを覚えた保護者が、子供に携帯電話(多分にスマートフォン)やインターネットの利用を一時的に禁止したり、利用制限をかけることは大いにあり得る。テレビや漫画の制限と同じであると考えると理解はしやすい。また、子供達にとって魅力的な対象であることから、直接関わり合いの無い事柄と結びつけたペナルティの仕方として使われることも考えられる。例えば「試験の成績が悪かったのでしばらくスマホは取り上げ」「自分の部屋を片付けできるまでインターネットにはアクセスさせません」のようなもの。
次に示すのは調査対象母集団において、インターネットや携帯電話を対象にしたペナルティをしたことがあるか否かについて、保護者に尋ねた結果。している場合の頻度までは確認していない。

↑ 子供にしたことがある人(米国、2015年2月、13-17歳の子供を持つ親)
携帯電話を取り上げたりインターネットへのアクセスを禁止した経験がある人は65%、インターネットへのアクセスの回数や時間の制限をしたことがある人は55%に達している。効果の実情はともあれ、多くの保護者が罰として課すだけの価値はあると考えていることになる(無論直接的に「使い過ぎなので取り上げた」事例も多々あるだろう)。
双方とも子供の年齢が低い方ほど実施率は高い。「制限」よりも「取り上げ」の方が、差異があまり生じていないのは、子供が成長するに従い携帯電話の保有率が上がるため、インターネットのアクセスの制限をしても、子供自身の携帯電話でこっそり利用してしまう可能性があるからだと考えられる。
これを子供では無く保護者側の年齢で仕切り分けしたのが次の結果。

↑ 子供にしたことがある人(米国、2015年2月、13-17歳の子供を持つ親)(親の年齢別)
双方の罰とも、より年上の保護者の方が実行率は低い。これは一つ前のグラフにある通り、子供の年齢が上の方が、実行率が低いのが原因の一つ。「親が歳をとっている」=「子供も歳が上」の場合が多い次第である。無論、年上の保護者の方がITリテラシーが低く、ペナルティを実行できない可能性もあるが、単なる禁止や制限ならば口頭で注意すれば良いまでの話で、フィルタリングの実施などと違い、デジタル技術のハードルはさほど気にしなくても良い。
やや余談になるが。子供のインターネット利用に係わる保護者の介入・監視手段の一つとして、子供が利用しているサービスのパスワードを取得しておく手がある。アクセス権限を共有することで、各サービスで何をしているかを確実に把握でき、場合によっては内容の削除を実行できる。次に示すのは、子供が利用している各サービスのパスワードを知っているか否か。
なお質問では「保護者がパスワードを知っているか否か、子供が認識しているか」までは尋ねていない。つまり子供があらかじめ保護者とサービスの利用を共用している状態なのか、保護者がこっそり子供の利用状況をのぞき見できる状態なのかまでは分からない。

↑ 自分の子供の使っているツールのパスワードを知っている(米国、2015年2月、13-17歳の子供を持つ親)
半数近い保護者は電子メールのパスワードを知っており、4割強は携帯電話(多分にスマートフォンだろう)を自由に利用でき、1/3強は少なくとも1つのソーシャルメディアアカウントをのぞき見できる。これらの値は調査対象母集団比であるため(例えば「電子メールは48%」は、電子メールを利用する子供がいる保護者のうち48%では無く、調査対象母集団全体の48%である)、子供の利用率を加味する必要があることを考えると、随分と高い割合で「保護者が子供のインターネット利用をのぞき見できる」状態だと見て良いだろう。
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