スマホのみが増えても「自宅にパソコン無いと不便」の思いも増加中の米国ネット事情
2016/01/27 12:21
先行記事【米国でもゆるやかに進むパソコン離れとスマホ依存】において、アメリカ合衆国でもゆるやかな動きながら、自宅におけるパソコンを用いたブロードバンドアクセスの利用率が減り、それを補いインターネット利用率全体を底上げする形でスマートフォンのみの利用率が増加していることを、同国の民間調査会社Pew Research Centerが2015年12月21日に発表した調査結果【Home Broadband 2015】から確認した。今回はそのような状況において、自宅内にパソコンを用いたブロードバンド環境についてどのような心境を抱いているか、その実態を確認していくことにする。
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今調査の調査要項は先行記事「米国でもゆるやかに進むパソコン離れとスマホ依存」を参照のこと。その記事にある通り、アメリカ合衆国では自宅内のブロードバンド環境(≒パソコンによるインターネット接続環境)の普及率が少しばかりではあるが減り、それを補うどころかインターネット普及率全体をけん引する形で、スマートフォンのみによるインターネット利用者が増加している。直近の2015年では手持ちの環境としてのインターネット接続環境が、スマートフォンのみの人は13%に達している。
↑ スマートフォンを所有し自宅にブロードバンドサービスが無い人(米国、2015年)(再録)
それでは自宅にブロードバンド環境が無い≒パソコンによるインターネットアクセスができないことに、不便を覚えていないのだろうか。いくつかの具体例を挙げて調査対象母集団全体に、その心境を尋ねた結果が次のグラフ。
↑ 自宅にブロードバンド環境が無いと不便を感じるか(2015年、米国、各内容を望む際に)
就職活動や各種技術習得の際に、パソコンが無いと不便だと感じる人は7割超え。強く感じる人だけでも半数を超える。政府が提供する各種サービスの利用や情報取得、生活の質の向上が得られるかもしれない情報の取得でも大よそ同率。健康に係わる情報ではやや値は落ちるがそれでも6割強。通常のニュースや情報の取得でも6割強、強い度合いの不便さも1/3超えの人が感じている。「自宅にパソコンによるブロードバンド環境が無くても、特に不便さは感じない」との意見はそれぞれのパターンで2割から3割程度しか同意者が居ない。
昨今ではアメリカ合衆国でも、パソコン経由の利用者だけでは無くスマートフォン向けも用意されるサービスは増えているが、それでも便宜性では多くの場合、パソコン向けの方が上となる。インターネットで提供されるサービスが増えるに連れ、スマートフォンで代替できる場合があっても、自宅のブロードバンド環境の非整備による不便さを覚える人は増加する。この2年間で「パソコンが無いと不便だ」と強く感じる人は、各ケースにおいて大きな増加を示している。
↑ 自宅にブロードバンド環境が無いと不便を感じるか(米国、各状況下で)(強く感じる人)
実情を思い返すに、単にインターネットによる提供サービスが増えただけでなく、スマートフォンで利用したが操作性や画面表示能力、処理スピードなどの観点で、パソコンと比べた上での使い勝手の悪さを実体験し、「使えなくは無いが、パソコンの方が一層使いやすそう」との認識を示した人も、多分に「不便さを強く感じる人」に加わったのだろう。
「自宅にパソコンなし、スマホだけのネット環境」の人は特に若年層で増加中だが、その若年層では「自宅にパソコンを用いたブロードバンド環境が無いと不便だ」と強く感じる人は全体平均よりも高い値を示している、つまりより強い不満を覚えている。
↑ 自宅にブロードバンド環境が無いと不便を感じるか(2015年、米国、各状況下で)(強く感じる人)
詳しくは別の機会で解説するが、「パソコンによる自宅ブロードバンド環境が無く、スマートフォンのみのインターネット環境を所有している人」、いわゆる「スマホのみ」な人も多分に、「できればパソコンでブロードバンド環境を用いてインターネットへアクセスしたい、できれば便利だ」との認識はある。しかしそれが出来ないのが現状となっている。スマートフォンの利用に慣れてパソコンの利用をするまでには至らず、「不便だけどその不便さは、わざわざパソコンを利用するまでのものでは無く、スマートフォンで我慢できる」人もいるが、多分に「インターネットにアクセスする廉価な手法としてスマートフォンを利用しているが、やはりパソコンの方が便利。だがコスト高で手が出せない」人がおり、その人たちの不満が増加していることになる。
無論スマートフォンにはスマートフォンなりの長所、メリットがあることに変わりはないが、出来ないこと、困難なことがあるのも事実。そしてインターネットの便宜性を知ってしまった以上、より便利なものにあこがれを抱くのも、人間の本質によるもの。今後も「スマホのみ」の人の増加と共に、この不便さを感じる人、不満を覚える人は増えることだろう。
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