オンライン化で広がる情報共有の輪、どこまで実感しているか各国の自覚度を探る
2016/01/26 11:35
インターネット普及によって生じた情報の価値の変化の一つに、多くの人が気軽に情報の共有化が可能となったことが挙げられる。かつては不特定多数への情報発信は限られた人によるもので、近所の口コミが好きな主婦や床屋の存在が随分と大きなものとして注目されたほど。しかし今ではインターネットに接続し、情報入力ができる技術があれば、誰もが不特定多数に情報発信を行い、共有化する機会を得ることができる。今回はアドビが2015年12月18日に発表した、消費者のコンテンツに関する意識調査「The State of Content : Rules of Engagement」の結果を元に、世界各国の消費者における、インターネットを用いたコンテンツの共有に関する想いと、技術進化に関する心境を確認していくことにする(【発表リリース:アドビ、消費者のコンテンツに関する意識調査の結果を発表】)。
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今調査の調査要項は先行記事【ネット上の情報元、「キレイ」と「シンプル」どちらを選ぶ?】を参照のこと。
冒頭の通り、インターネットを利用すれば多くの人が気軽に情報を他人に向けて発信し、共有活動を行うことができる。また他人が発信した情報を取得し、内容を知ることもできる。このような共有活動について、意識的に行っているか否か(「共有している」と意識せずに、無意識なものは除く。無意識ならば当然自覚はできないからだ)を聞いたところ、調査対象母集団の平均では2/3近くが行っていると答えた。
↑ オンライン上のコンテンツを共有するか(2015年9月)
日本は他国と比べて一段低い結果が出ている。これは先行記事で何度か触れているが、今調査対象母集団の他国と比べ日本では、インターネット上のものに限らず「情報」そのものから一歩引いた、醒めた形での姿勢を見せている雰囲気がある。能動的な動きを嫌い、受動的姿勢を好む、とでも表現すべきか。
それ以外ではアメリカ合衆国とフランスが高め、オーストラリアとイギリスが低め。特に高い値が出ている2国はそれぞれの国民的な行動性向(前向き、自己顕示欲が強い)を思い返すと、理解はできる気がする。
インターネットの技術そのものは前世紀から存在していたが、世間一般に普及したのはこの10年位の間となる。そこで、この10年で各種技術の進歩に伴い、人と人との間の交流・対話手法が変化したと実感しているか否かを聞いた結果が次のグラフ。大よそ2/3が肯定的意見を有している。
↑ この10年間の技術の進歩により人々の対話手法が変化した(同意率、2015年9月)
日本がアメリカ合衆国に次いで高い値、ドイツが他国と比べて一段低く半数割れを起こしているのが意外なところだが、多くの人が技術進歩により人と人とのつながりのかたちに変化が生じたことを実感している。
インターネットそのものは10年前も存在していたが、利用者数・率、表現能力、そして何よりも他人とのつながりを後押しする仕組みは大きな変化を遂げている。ソーシャルメディアが好例だが、それらの変化に伴い、化学反応を起こすかのようにインターネット上を流れる各種情報、いわゆるコンテンツも変化を示している。その変化内容に関して、どれほど評価をしているかを尋ねた結果が次のグラフ。いわばインターネット上のコンテンツ全般に関して、10年前と今現在それぞれにおいて、どの程度の質であると評価できるのかの指標である。もちろん高い方が高評価となる。
↑ 全体的に見て、10年前と今のコンテンツそれぞれをどの程度評価するか(100%が最高評価)(2015年9月)
インターネットに限らずあらゆる組織や集団において、専門家のみの集まる少数グループと比べ、参入ハードルが低くなった不特定多数のグループにおいては、平均値としての質は下がる傾向にある。インターネットにおいてもその傾向が否めないサービス、属性は多数見受けられるが、同時に技術の圧倒的進化に伴い、多様な情報の流通が相乗効果の上で加速化し、品質が向上していく。例えば画像や映像などの技術面からの切り口で見ても、その表現能力は段違いに違いない。
ただしやはり日本は他国と比べ、評価が低い値に留まっている。現状でも品質評価は49%と5割に届かず、他国と比べて20から30%ポイントも低い。これは単に情報に対して控えめになる姿勢に加え、他の意識調査でもたびたび指摘されている、自己評価を低くしてしまう日本特有の傾向が出てしまっているのだろう。
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