「この曲いいよね」と他人にススメて自分も良い気持ち…情報共有の快感はいかなる内容でもたらされるか

2016/01/26 05:18

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インターネットの普及でハードルが下がり、容易に不特定多数に向けて行えるようになった情報の共有。不利益、危機的状態に係わるネガティブな情報の共有は、生命に係わる事柄であることから本能が作用して容易に浸透するが、その一方で心地よさを覚える、気分を高揚させる内容、何らかの便益を得られる可能性があるおすすめ情報もまた、ポジティブな心境を共有したいとする人の本質にマッチし、拡散しやすい。そして好意的情報の共有は気持ちの一体感をもたらし、伝えた人にも快楽、優越感を与えることになる。今回はアドビが2015年12月18日に発表した、消費者のコンテンツに関する意識調査「The State of Content : Rules of Engagement」の結果を元に、世界各国の消費者における、インターネット上の情報に係わる「シェアすることで気持ち良さを覚える情報の種類」について見ていくことにする(【発表リリース:アドビ、消費者のコンテンツに関する意識調査の結果を発表】)。



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今調査の調査要項は先行記事【ネット上の情報元、「キレイ」と「シンプル」どちらを選ぶ?】を参照のこと。

冒頭で触れた通り、プラス思考的な・オススメとなる情報の共有は、伝えた側にも良い気分をもたらすことになる。そのようなタイプの情報共有は、いかなる種類の情報で生じやすいかを尋ねたところ、もっとも多くの人が同意を示したのは「自分が聴いた音楽に関する事柄」だった。4割近い人が「自分が良いと思った曲を他人にオススメした際に、自分も満足感を覚える」と答えている。

↑ どのような情報の共有で心地よさを覚えるか(2015年9月)
↑ どのような情報の共有で心地よさを覚えるか(2015年9月)

ネット上の曲の共有はタイトルだけでなく、例えばサンプルが聴けるサイトやYouTubeのプロモーション動画へのリンクなどで、すぐに推奨ができる。また音楽視聴は基本的に一人で行うものだが、それが良いものであった場合、他人にも聴いてもらいたいとの共有動機が生じるのも容易に理解できる。以前は対面した時の雑談で話を持ち出したり、電話で薦める程度だったが(曲を薦めるためだけにわざわざ他人と会うことは滅多にない)、インターネット上の情報共有ならば、容易にそれができる。

次いで多いのは「自分が観たビデオ」。ビデオと訳したが原文は「Videos」とあるので、むしろ動画とした方が良いかもしれない。動画もまた音楽同様に容易に他人にシェアできるのが、インターネット時代の良いところ。漫画本の貸し借りのような「他人へのオススメ」が容易に、それこそボタンを数回クリックするだけでできてしまう。

以下「ゲーム」「買った物」など、自分が実体験して良いと思った物事の共有事項が続く。商品やサービスの情報共有でも1/4近くの人が心地よさを覚える。レポートに記載はないが、自分が「これは良いよ」とオススメして、それに同意をしてくれる人が現れたり、さらにその言葉を見聞きして購入して「本当に良かった」と反応があれば、大いなる快楽を得られるに違いない。

この反応に関して国別の回答動向を見たのが次のグラフ。

↑ どのような情報の共有で心地よさを覚えるか(国別、2015年9月)
↑ どのような情報の共有で心地よさを覚えるか(国別、2015年9月)

アメリカ合衆国とフランスでは特に情報共有に対する心地よさを覚える人が多い。他方、低めの値を示すドイツでもゲームや検索エンジンで調べたものには強い快感を得ている。

ところが日本ではどの項目でも押し並べて回答率が低い。唯一「検索エンジンで調べたもの」がオーストラリアやドイツと横並びになる程度。これは日本で情報共有に対する関心が低いからでは無く、インターネット上のものも含めた情報全般に関して、共有も信ぴょう性も合わせ、一歩引いたような、醒めた視線で見ているところがあるのが要因と思われる。表現は雑だが、ノリが悪いとでも表すべきか。

あるいは醒めているのではなく、情報に対して受動的な姿勢が多分にあるのが、日本における情報への姿勢に表れているのかもしれない。


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