ネット上の情報、情報源で大きく異なる「信頼できる」

2016/01/19 12:46

このエントリーをはてなブックマークに追加
今や紙媒体や電波媒体でも信頼性の再定義が問われつつあるが、インターネットは従来の媒体と比べて情報発信のハードルが極めて低く、多様な情報が界隈を行き来することもあり、情報の信頼性がしばしば論議される。結局のところ従来媒体のような「●×だから信頼性が高い」「□▲なのであまりウソの可能性が高い」のような情報真偽性の判断の上での仕切り分けはインターネット上でも同様に、情報の発信元で精査するケースが多くなっている。今回はアドビが2015年12月18日に発表した、消費者のコンテンツに関する意識調査「The State of Content : Rules of Engagement」の結果を元に、世界各国の消費者における、インターネット上の情報に関する信頼性と、情報発信元との関係について見ていくことにする(【発表リリース:アドビ、消費者のコンテンツに関する意識調査の結果を発表】)。



スポンサードリンク


今調査の調査要項は先行記事【ネット上の情報元、「キレイ」と「シンプル」どちらを選ぶ?】を参照のこと。

次に示すのは、報告書ではインターネットと明記はされていないものの、事実上インターネット上に記載されている情報に関して、どのような発信元の情報をより一層信じるかに係わる問いの結果。例えばイギリスでは84%の人が、著名な人がオススメした内容よりも、一般の人がオススメしたものの方を信頼すると考えていることになる。

 (インターネット上の)情報に関する信頼について(2015年9月)
↑ (インターネット上の)情報に関する信頼について(2015年9月)

「著名人より一般人」「ニュースキャスターより現場」、いずれも権威があると認識されているものに対して、その権威が発する情報への強い疑いが表れている。同一軸上に両者による情報があった場合、権威が無い、見方を変えればしがらみのない情報の方が信頼できるとするものだ。一般人や現場の声は以前においては取得することは困難で、せいぜい自分の周辺にいる人からの直の口コミ、あるいは権威ある存在からの間接的な伝聞(例えば新聞報道における「目撃者の話」「以前から知っていた人の感想」など)ぐらいしかなかったが、今ではインターネット経由で取得方法さえ身に付ければ、誰もが大よそ確認できる。

興味深いのは今件設問でも他国と比べ、日本の値が一段低いこと。つまり日本は他国と比べ、権威あるもの、従来から独占的に情報を提供してきた側の情報を信頼していることになる。日本は他国と比べて権威主義であるとは良く言われているが、その一端を知ることができる結果といえる。

それではどのような情報源なら信頼に値するのか。該当発信元の発するコンテンツを信頼できるか否かと尋ね、強度の強い信頼と弱い信頼を合わせた「強弱はともあれ信頼できる仕切り分けに収められる」と回答した人の結果が次のグラフ。

↑ 信頼できる情報発信元(「できる」「ややできる」の合計、2015年9月)
↑ 信頼できる情報発信元(「できる」「ややできる」の合計、2015年9月)

「YouTubeの有名人」は原文では「YouTube celebrity」。当人が直接画面に出てくるユーチューバーだけでなく、YouTubeを用いて情報発信を積極的に行う個人を意味する。他の情報信頼の是非に係わる調査同様、やはり対象者を直接知っている「友達や家族」への信頼性は高く、全体では63%。「YouTubeの有名人」は24%でしかない。しかし見方を変えれば、1/4の人が「YouTubeで有名な人の語りは信頼できる」と認識していることになる。

原文では「company」とあることから「企業」と訳したが、法人的な情報発信元、例えば出版社発行の雑誌などと考えた方が良いかもしれない、に関しては、実商品を購入したと考えられる企業の方が信頼性は高い。単にプレスリリースだけを読み解いての評価と、実機体験レポートや試食評価のようなものとでは、後者の方が信頼できるとするものだ。もちろん実物を取得した上での精査情報でも、正しいことが書かれている担保としては弱いのだが(食品関連の「やらせ」は良くある話)、判断の上では「より確からしい」となる。

国別では大よそアメリカ合衆国において、それぞれの場合で信頼度が他国よりも高い。イギリスではリアルに対するこだわりが強いようで、実商品を買っていない企業やYouTube有名人に係わる値が低めに出ている。

そして日本ではいずれにおいても、他国より大きく値を落としているのが特徴的。先行する記事でも何度か触れているが、日本は今回取り上げた他国と比べ、情報に関して、特にネット上の情報には醒めた目で接している感はある。どのみちどこかでやらせが行われている、ステルスマーケティングによるものかもしれない的な、色眼鏡を通して世の中を見ている、達観している雰囲気を覚えることができる。「友達や家族」ですら信頼できる情報源としては4割程度しか同意が無い点で、その可能性は十分有り得るといえよう。


■関連記事:
【世界各国の「新聞・雑誌」や「テレビ」への信頼度(2010-2014年)(最新)】
【新聞一番テレビが二番…メディアへの信頼度、テレビと新聞の高さ継続(2015年)(最新)】
【「情報源として欠かせない」「情報が信頼できる」新聞やテレビ、インターネットに対する想いは?(2015年)(最新)】



スポンサードリンク



このエントリーをはてなブックマークに追加
▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2024 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー|Twitter|FacebookPage|Mail|RSS