ユーモアと本物志向が企業ブランドを支える構造は世界共通

2016/01/16 12:30

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今や生活必需品的な存在のインフラとしてのインターネットと、そのインターネット上で動くサービスのソーシャルメディアの普及は、企業活動にも大きな変化をもたらすことになった。企業と消費者との意思疎通におけるハードルをより低く、距離を身近なものとしたからだ。今やソーシャルメディア上でアカウントを持ち、各種情報発信、さらにはユニークな対応で企業ブランドイメージを底上げする施策は、ごく普通に行われるようになっている。今回はアドビが2015年12月18日に発表した、消費者のコンテンツに関する意識調査「The State of Content : Rules of Engagement」の結果を元に、世界各国における企業の対消費者姿勢や事業姿勢に対する、消費者側の考え方について確認していくことにする(【発表リリース:アドビ、消費者のコンテンツに関する意識調査の結果を発表】)。



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今調査の調査要項は先行記事【ネット上の情報元、「キレイ」と「シンプル」どちらを選ぶ?】を参照のこと。

次に示すのは企業における対消費者や事業内容に関する消費者サイドとしての考え方について、同意するか否かを尋ね、同意率を示したもの。インターネット経由での調査であることに加え、同時に行われた他の調査項目ではインターネット関連の内容が質問されていることもあり、多分にインターネットに関する話であると、回答者自身も認識していると見て良い。

↑ 企業姿勢への考え方(2015年9月)
↑ 企業姿勢への考え方(2015年9月)

「企業はお客との意思疎通のためのルートを作り、それを通じて積極的に対話をすべき」とは、電話相談窓口だけでなく、郵送による受付、インターネット経由(電子メールアドレスの公開、メールフォームの設置、Facebookページの開設や公式ブログ、ツイッター公式アカウントの設置とコメント許諾(内容公開か否かは別))などを意味する。単に電話番号を記載しているから、住所を書いたからそれでOKではなく、多数のルートを作り、そこを通じて対話を積極化することが求められている。

この積極化においては、手紙や電話など個々の事例では1対1のやり取りしか可視化されないが、例えばFacebookページでコメントを受け付けて対応したり、ツイッター上で応答を行えば、不特定多数にその様子が知られることになり、「積極的な対話姿勢」をアピールできることになる。今件項目では各国で差異はあまりなく、大よそ6割から7割が支持をしている。

「企業(の対応、コンテンツ)が面白ければ親近感を覚える」は約7割。もちろんケースバイケースで、例えば厳粛さを売りとしている企業で年中そのような対応をされても困るのだが、常にユーモアを忘れずに対応することが、企業には求められている。特にインターネット上では情報の過度化に伴いお気軽感が好まれる傾向が強いことから、この需要も確かなものとなる。フランスとドイツでやや低めの動きがあるものの、世界での認識はあまり変わらない。ただし資料によると「企業が提供するコンテンツは面白い」と認識している人は、世界全体平均で14%しかいないのも事実。

「企業は本物志向を貫き、独自性の高いもの、優れているものに集中すべき」との意見は2/3強。日本は他国と異なり唯一5割すら切っているのが気になるが、大よそ高い値を示している。

「本物志向が望ましい」と似たような意見が「企業の提供するコンテンツを確認するなら、洗練された、厳選されたものを選ぶ」。要はインターネット上で企業動向を見極め、利用していくのなら、雑多なものでは無く、専門的で厳選されたものを選んで読み進めるとある。

当たりさわりの無い内容しかない企業サイトよりも、その企業が持つ技術や商品の歴史、専門的な内容を有するものを選びたいとする考えで、思い返してみればこの方向性を持つ企業サイトを複数イメージすることができる。例えばある調味料が主力商品の企業なら、その調味料そのものの歴史に始まり、世界各国での使われ方、その調味料を用いた多種多様な料理レシピの紹介など、多様な切り口で主役たる商品の姿形を知ってもらおうとする姿勢である。



今件はインターネットに絡んだ話に限定されているわけではないが、冒頭の通りインターネットの普及でよりスピード感のある、桁違いに量の多い交流が行われるようになったことから、今まで以上に重要視される視点に違いない。

ほんの数年前までは「確かに指摘の通りだが、まだまだパソコンでインターネットへのアクセスは少数派」「携帯電話を用いたネット利用者は属性が偏っているので一般的では無い」と言われていた。しかし今やインターネット利用者はもちろん、そして携帯電話、とりわけスマートフォン利用者は多数派となりつつある。これまで消費者との対話をあまり考慮していなかった企業はもちろん、相応に行っていると自覚している企業でも、あらためて対話の仕方、見せ方を考え直す必要があるのかもしれない。


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