18歳以上の就学していない・未婚の子供がいる夫婦世帯の現状(2016年)(最新)
2016/01/11 11:36
家族の有り方は多種多様だが、「親離れ」の言葉にもある通り、概して就学時期を終えて成人に達すると、親元を離れて一人暮らしをはじめ、独立した世帯で生活を営むようになる。核家族化の進行も、この「親離れ」によるところが大きい。一方、金銭的理由や就業上の便宜性、親のサポート、その他多様な理由で、就学を終えてもなお実家住まいを続ける人も少なくない。今回は総務省統計局が2015年12月16日に発表した【「2014年全国消費実態調査」】の二人以上の世帯の家計収支及び貯蓄・負債に関する結果の公開値を元に、そのような「非就学・未婚・18歳以上」の子供が居る夫婦世帯の現状を確認していくことにする。
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同居する子供の働き方別に見てみると
今調査の調査要目は先行する記事【普通乗用車より軽自動車が所有される時代…自動車の車種・世帯種類別普及率(2015年)(最新)】で確認のこと。
今回確認するのは、夫婦世帯のうち、その夫婦の子供が18歳以上で非就学(大学生などで実家通いでは無い)、未婚(今調査では死別・離別の区分が無いため、過去に結婚した経験がある人でも、現状が婚姻状態で無ければ未婚と見なす)の状態がいる世帯動向。世帯主の年齢区分はデータとして用意されていない。また、該当する世帯か否かのみが収録されているため、その世帯に該当者が複数存在する可能性もあることから、具体的な該当者人数の概算はできない。また各値は集計世帯数に労働力調査をもとに抽出率調整を行った、概算実数値を用いている。
まずは該当する子供の就業状態別世帯数。事実上の成人で非就学・未婚の子供がいる世帯において、その子供がどのような職についているかを示したもの。大よそは正規の職についているが、非正規の職にあるものも50万世帯強分は存在する。なお労務作業者とは主に肉体労働、職員とは主にデスクワークを業となすものである。
↑ 未婚で18歳以上、未就学の子供が居る夫婦世帯(2014年、万世帯)(該当する子供の就業状態別)
正規と非正規を足した世帯数は、労務作業者と職員とであまり変わりはない。一方で非正規率は労務作業者の方が多い。個人営業などを営む人で実家住まいをしている独身者は少数でしかなく、無職の人(性別の仕切り分けが無いので憶測でしかないが、いわゆる「花嫁修業」的なポジションの女性が多分にいるのだろうか)がいる世帯は40万世帯強。なお全世帯数では約253万世帯。
「無職」の立ち位置の人がいる世帯だが、該当者はいわゆるニート(NEET(Not in Employment, Education or Training))が近い。ただしニートは15歳から34歳の非労働力人口(状況をかんがみて求職活動をしていない人など)が定義だが、今件では単に職が無いだけであり、求職活動をしている可能性は多々ある。
独身で親と同居し、就業しているとなれば、何らかの形で親世帯に家賃や食費代わりの支払いを行う、求められることが多い。「家にお金を入れる」と表現されるものだ。その額を概算的に確認できるのが、該当世帯における「夫婦以外の世帯員の勤め先収入」。厳密には該当者以外に結婚済みの成人や、就学中だが就業もしている子供が世帯に存在し、その人もまた世帯に入金している可能性はゼロでは無いが、大よそ該当者によるものと見てよいだろう。
↑ 未婚で18歳以上、未就学の子供が居る夫婦世帯における、夫婦以外の世帯員の勤め先収入(2014年、円)(該当する子供の就業状態別)
労務作業者でも職員でも、やはり正規の方が非正規よりも親元に入金する額面は大きなものとなる。個人営業などはもっと稼いでいそうな気もするが、3万円にも届かない。見方を変えれば、相応の稼ぎを得られるようになれば親元から離れて独立できるものの、それが果たせないので同居していると考えることもできる。
年齢別ではどうだろう
該当公開値では世帯主の年齢階層別の仕切り分けは無いが、同居する子供の年齢階層による区分は確認できる。そこで上記の就業状態別のものと同様に、年齢階層別の世帯数と、同居人のものと考えられる世帯への入金額を算出した結果が次のグラフ。
↑ 未婚で18歳以上、未就学の子供が居る夫婦世帯(2014年、万世帯)(該当する子供の年齢階層別)
↑ 未婚で18歳以上、未就学の子供が居る夫婦世帯における、夫婦以外の世帯員の勤め先収入(2014年、円)(該当する子供の年齢階層別)
大よそ若年層が大半で、20代までが多分を占めている。手取りがまだ少なく自立が難しいうちは実家通いをして、結婚を機会に独立する人生設計をしている人が多いことがうかがえる。他方、40歳以上でも未婚・非就業で実家住まいの人がいる世帯は10万世帯以上存在する。
世帯に入れるお金の額だが、20代前半まではやや少なめで、20代後半がピーク。それ以降は漸減する。従来就業者においては、50代位までは年齢と共に手取りも増えていくものだが、家への入金では逆に30代前半以降は減退している。クロスデータが無いので確定はできないが、30代以上の該当者は、元々手取りが少ない非正規の職や個人営業、無職の状態である人が多いことが推測できる。
今件はあくまでも家族、世帯の一様式における状況の確認であり、さらにその内情・同居理由までは見極めることはかなわない。一方、その状態の特性上、公的な統計値には表れにくい(世帯主でも無く配偶者でも無く子供でも無い)人達の状況をかいま見れる、興味深い値には違いない。
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