定期預貯金は約2/3、株などは21%…二人以上世帯で働いている人達の貯蓄動向を探る(2016年)(最新)

2016/01/08 05:17

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お金は物品やサービスなど多様な価値を一つの基準にまとめて数量化し、さらに保存できる道具であり、そのまま手元に置く他に、様々な形で専用の機関に預け入れ、財として積み増していくことができる。これを蓄財や貯蓄と呼び、人々は将来や不意の出費に対応するための、頼りになる存在として育てていくことになる。今回は総務省統計局が2015年12月16日に発表した【「2014年全国消費実態調査」】のうち、二人以上の世帯の家計収支及び貯蓄・負債に関する結果の公開値を元に、二人以上世帯の中でも少なくとも世帯主が勤労者である世帯における、貯蓄動向の詳細を確認していくことにする。



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一番人気は普通預金…ほぼすべての世帯は貯蓄をしている


今調査の調査要目は先行する記事【普通乗用車より軽自動車が所有される時代…自動車の車種・世帯種類別普及率(2015年)(最新)】で確認のこと。今回対象となる属性は、二人以上世帯のうち世帯主が勤労者である、具体的には会社、官公庁、学校、工場、商店などに勤めている人。無職はもちろんだが、会社役員など、個人営業の人、自由業者も該当しない。また、配偶者も勤労者の可能性は多分にある。

グラフ中に登場する貯蓄内容のうち「生命保険など」は養老保険をはじめとした積立型の保険を意味し、掛け捨ての保険は該当しない。「有価証券」は株式が主なものとなるが、他に投資信託、各種公社債も該当する。

まずは貯蓄、具体的には通貨性預貯金(普通預貯金)、定期性預貯金、生命保険など、有価証券、その他(金投資口座や共済組合など。内包されている要素が雑多になりすぎるので、今件では細部は取り扱わない)すべてを合わせた貯蓄スタイルに関して、いずれか一つでも行っている人の割合。ただしタンス預金は該当しない。また見方を変えれば今値に該当していない人は、一切の貯蓄を有していないことになる(タンス預金のみをしている人もありうるが……)。

↑ 貯蓄保有率(2014年、二人以上・勤労者世帯、世帯主年齢階層別)
↑ 貯蓄保有率(2014年、二人以上・勤労者世帯、世帯主年齢階層別)

30歳未満でややへこみがあるが、大よそ9割強が貯蓄を有している。30歳未満の貯蓄率が低いのは、やはり金銭面での余裕が無いのが主要因だろう。

これを主要区分別に、保有状況を精査したのが次のグラフ。

↑ 貯蓄保有率(2014年、二人以上・勤労者世帯)(世帯主年齢階層別)
↑ 貯蓄保有率(2014年、二人以上・勤労者世帯)(世帯主年齢階層別)

普通預貯金はどの属性も保有率が高く8割強。それ以外では世帯主の年齢階層による差がはっきりと出ており、定期性預貯金と有価証券は押し並べて年上の世帯の方が保有率は高い。また生命保険などは50代がピークで、それ以降は値が下がる。これは該当者が高齢になるに連れて、満期の後の再保険ができなかったり、不利な条件となるために解約して他の貯蓄タイプに切り替えるからだろう。

有価証券の高齢者世帯における比率の高さは、当サイトの別記事として月次で報告している野村証券の【「ノムラ個人投資家サーベイ」】でも、回答者の多くが中堅から高齢者で占められていることを思い返せば、容易に理解納得のできる話ではある。また、投資の類は余剰資金で行うべきとの原則にも当てはまる。もっとも見方を変えれば、それだけ若年層の二人以上世帯において、金銭的余裕に乏しいことを示唆するとも解釈できる。

保有世帯の平均額を算出する


以上は各貯蓄の種類別・世帯における保有割合。1円でも1億円でも該当する種類の貯蓄を所有していれば所有世帯としてカウントされる。一方、公開値では保有していない世帯も含めた平均額が計上されている。そこで保有世帯率と平均額から、「保有者の」平均保有額を概算で算出したのが次のグラフ。貯蓄全体の平均額は1249万円となっている。

なお今件グラフは各貯蓄種類毎に保有世帯の平均額を算出したもの。それぞれの世帯主年齢階層別の各種類の額を合算したものと、その世帯の貯蓄現在高は、当然一致しない。

↑ 概算の保有世帯による現在貯蓄保有高(各資産種類単位)(2014年、二人以上・勤労者世帯)(世帯主年齢階層別、万円)
↑ 概算の保有世帯による現在貯蓄保有高(各資産種類単位)(2014年、二人以上・勤労者世帯)(世帯主年齢階層別、万円)

30代未満世帯の貯蓄の低さ、貯蓄は50代を過ぎると大幅に増加する状況などが把握できる。また上記でも指摘しているが、高齢層ほど定期性預貯金にこだわりを持つ一方、有価証券も相当額を所有している様子がうかがえる。

今件はあくまでも二人以上のうち勤労者による平均値で、年金生活者をはじめとした無職世帯や世帯主が自由・自営業、役員の人までは含まれていない。とはいえ、二人以上世帯の貯蓄動向、とりわけ若年層や高齢層の二人以上世帯における懐事情の一端を知る上では大いに役立つに違いない。



主旨が異なるため本文では組み入れなかったが、各種類の貯蓄保有者・非保有者も合わせた平均額を元に、世帯主の年齢階層別の貯蓄に関するポートフォリオを算出した結果が次のグラフ。

↑ 現在貯蓄のポートフォリオ(平均値)(2014年、二人以上・勤労者世帯)(世帯主年齢階級別)
↑ 現在貯蓄のポートフォリオ(平均値)(2014年、二人以上・勤労者世帯)(世帯主年齢階級別)

歳と共に普通預金の比率が減り、定期預金や有価証券が増えていく。それだけ資金繰りに余裕ができ、流動性は低いが利回りの高い貯蓄やリスク性資産への投資が可能となった状況がよく把握できる。また50代まではむしろ生命保険などを投資先として重要視している動きも確認できよう。


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