近所付き合いどうしたい? 意外とドライな若年層
2015/12/09 11:03
山奥の一軒家や無人島などで無い限り、定住をすればその周辺には同じく住居を構える「お隣さん」的な存在があり、何らかの形で意志疎通・付き合いが必要となる。アパート・マンションの類ならその密度は高いものになるのは必至。さらに行政区部単位などでの寄り集まりや商工会をはじめ、地域単位での交流・つながりの機会を得られることもある。そのような居住地における距離上の近しさから生じる交流やつながりについて、人々はどのような想いを抱いているだろうか。肯定的か、それとも否定的か。その実態に関して、今回は内閣府が2015年11月30日に発表した住生活に関する世論調査から、確認していくことにする(【発表リリース:住生活に関する世論調査】)。
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今調査の調査要項は先行記事【3/4は「自分の家、やっぱり欲しいね」、要らない人は「住み替え希望」「ローンが怖い」】を確認のこと。
冒頭にある通り特殊環境下に無い限り、一定地点に定住をすれば近隣住民や地域との交流・つながりを得る機会は多様な場面で生じることになる。特に先の震災の際には、近隣とのつながりの大切さを改めて認識した人も多いだろう。そこでそのような周辺住民との交流やつながりを持ちたいと思うか否かを確認した結果が次のグラフ。「近隣」や「地域」、「交流・つながり」に関する具体的例示は無く、言い回しから想起できる内容で答えてもらっている。
↑ 近隣住民や地域との交流・つながりを持ちたいと思うか(2015年10月)
全体では9割近くが交流を持ちたいと肯定的な意見を持ち、否定派は1割強。防犯や災害の際の有事における安心感の有無はあるが、交流の必要性は強要されるものではないため、否定派がとがめられることは無い。とはいえ、圧倒的多数が交流を希望しているのもまた事実ではある。
他方、肯定派のうち強度の強い肯定の動きを見ると、男女とも若年層が弱めで歳を経るほど強いものとなる。世代による他人との付き合いの考え方の変化なのか、それとも年齢階層別による心境の変わり方の結果なのか、残念ながら過去に類似調査は行われていないため、確認は不可能。現時点で分かるのは、歳上ほど地域・近隣住民との交流を強く望む現状である。また男女別では女性の方が、交流を求める声が大きい。
世帯構成別では自分だけ=単身世帯でいくぶん否定派の値が大きい。わずらわしさに対する負担を考慮してか、あるいは高齢単身者で特に見られる他人との付き合いを好まない人による回答が大きく影響しているのだろう。
これを回答者の居住地域属性別に仕切り分けしなおしたのが次のグラフ。
↑ 近隣住民や地域との交流・つながりを持ちたいと思うか(2015年10月)(居住者位置別)
都市規模別では実のところ、政令都市圏から町村部にいたるまで、心境上の変化はさほどない。大きな違いが生じているのは東京都区部で、否定派が1/4を超え、肯定派も強度の強い回答が他属性の半分程度しかない。東京都区部ではわずらわしさを嫌う人が多い実情がうかがえる。
地域別では大きな差異は見出しにくいが、あえて区分すると関東以北ではやや交流を望む声が弱い感はある。
地域社会の維持や活性化、介護や孤独死問題などと合わせ、今後地域社会とのつながり・交流はこれまで以上にスポットライトを浴び、論じられる話題となる。「住生活(住宅)に関する世論調査」では今回はじめて調査対象項目となったこともあり、問題意識そのものがこれまではあまり無かったことがうかがえる。
本文中の通り最終的には個人の意思によるものである以上、強要はできないものの、さまざまな施策、対応が求められる話には違いあるまい。
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