「自分の周りで人が減っていたり高齢化が進んでいる」85%が実感、最大理由は「周囲にお年寄りが増えた」
2015/10/24 11:47
内閣府は2015年10月19日、国土形成計画の推進に関する世論調査の結果を発表した。それによると調査対象母集団においては、回答者の居住地域で人口が減少していたり高齢化が進んでいると実感している人は85%に達していることが分かった。若年層・地方居住者ほど実感者率は高い。また具体的な実感要素としては、周囲でお年寄りを見かける機会が増えたとの意見が最大多数を占めている(【発表リリース:国土形成計画の推進に関する世論調査】)。
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高齢者、地方居住者ほど強く感じる人口減少・高齢化
今調査は2015年8月20日から30日にかけて、日本国内に住む20歳以上の日本国籍を有する者(層化2段無作為抽出法)に対して調査員による個別面接聴取法によって行われたもので、有効回答数は1758人。男女比は840対918、世代構成比は20代134人・30代219人・40代300人・50代304人・60代400人、70歳以上401人。
今調査対象母集団に対し昨今の日本における総人口の状況や高齢化社会の到来、今後における国土の形成に係わる計画を策定したことなどを説明した上で、回答者自身が日常生活を営む中で、居住地域で人口減少や高齢化が進んだと実感しているか否かを尋ねたところ、84.6%の人が実感していると回答した。
↑ 居住地における人口減少・高齢化の実感(2015年8月)
「何年前と比べて」といった比較対象となる年は具体的に挙げてはいないが、多数の人が高齢化、人口減少のいずれか、あるいは双方を日常生活の中で実感していることになる。今件に関して男女差はほとんど無い。
これを回答者の世代、具体的居住地域別で仕切り分けした結果が次のグラフ。
↑ 居住地における人口減少・高齢化の実感(2015年8月)(属性別)
一部イレギュラーがあるが、大よそ高齢層・地方居住者ほど、より多くの人が、より強く人口減少や高齢化を実感している。普段の付き合いは同世代の人との間で行われることが多い、地方ほど過疎化が進んでいるなど、納得がいく理由はいくつか考えられる。
しかし同時に地方ほど高齢者の比率が高いのも、年齢階層と居住地域の間に似たような動きが出る理由でもある。実際、今調査における各居住地域別の回答者年齢階層を確認すると、ほぼ地方ほど高齢者の割合が高い結果が出ている。
↑ 調査調査対象母集団における居住地別年齢階層人口構成比
地方ほど過疎化が進んでいるのならば、そこに住む人は高齢者が多いのだから、高齢者ほど多くの割合で人口減少や高齢化を実感しうることになる。
人口減少・高齢化の実感は「周囲にお年寄りが増えた」「若者が減った」
それでは具体的に、どのような状況に遭遇して、見聞きして、居住地域の人口減少や高齢化を実感したのだろうか。実感した人を対象に複数回答で聞いたところ、最大の同意率を示したのは「街中でお年寄りの割合が増えた」とするもので、7割を超えていた。
↑ 具体的にどのようなことを通じて人口減少・高齢化を実感するか(実感した人限定、2015年8月)(複数回答)
何年前との比較、具体的にどの程度増えたのかまでは明記されていないものの、体感として「昔と比べて何となく増えたな」との印象を持つ人が7割を超えている。相対的な話として次点の「街中で子供や若い人の数が少なくなった」との回答もほぼ同意との解釈も可能で、今件の同意者が多分に人口減少よりも高齢化の実感で同意を示していることが分かる。
他方、商店街における閉店を多く見かけるようになった、空き家・空き地が増えたとの意見も多い。もっとも空き家や空き地はともかく、店舗閉店に関しては、個人営業者の不採算化や高齢化に伴う廃業も少なからずあるため、単なる人口減少よりは高齢化の要素も多分に含まれていると考えられる。
一方、回答率は2割前後と低めになるが、帰省の際に実感する、見聞きする人が多いであろう事案として(今件はあくまでも「居住地における」実感なので、帰省時の想いは該当しない)「担い手不足で祭りなどの伝統行事ができなくなった」「バスや鉄道運行本数が減った」などが挙げられる。
これを居住地域別に仕切り直したのが次のグラフ。
↑ 具体的にどのようなことを通じて人口減少・高齢化を実感するか(実感した人限定、2015年8月)(複数回答)(居住地域別)
地方ほど大きな値が出ているのは「若年層の減少」「空き家・空き地の増加」「バスや鉄道運行本数の減少」「職場の減少」など。逆に都市部ほど大きいのは「街中での高齢者の増加」「閉店店舗の増加」「近所づきあいの減少」。都市部と地方における人口減少・高齢化の状況の違い、少なくとも住民が実感している雰囲気の特性が異なる実態が透けて見えて興味深い。
もちろん具体的、数量的な人口減少や高齢化はまた別の話ではあるが、それぞれの地域に住まう人達の認識も重要である以上、留意に値する動きに違いない。
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