銃所有上のさまざまな規制、アメリカの人達の同意率を属性別で見てみると

2015/10/23 11:42

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先行記事【銃所有の規制と権利主張、そのはざまでゆれるアメリカの心境】の通り、アメリカ合衆国の民間調査会社Pew Reseach Centerは2015年8月13日、同国の一般民間人における銃所有と規制問題に関する調査結果【Continued Bipartisan Support for Expanded Background Checks on Gun Sales】を発表した。それによるとここ数年においては一般民間人における銃所有に関して、その権利を保護すべきであるとの意見と、所有は規制すべきであるとの意見が均衡する状況となっている。今回はその報告書を元に、銃に係わる4つの規制事案「精神的に問題がある人物の銃購入制限」「銃取引の際の身元確認」「銃の登録制」「自動小銃などの販売禁止(現状では解禁)」に関して、どれほどの賛意があるのかを属性別に確認していくことにする。



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今調査の調査要項は先行記事「銃所有の規制と権利主張、そのはざまでゆれるアメリカの心境」を参照のこと。その記事の通り、直近となる2015年7月時点の調査結果では、個人の銃所有に関して、肯定派・否定(規制強化希望)派がほぼ均衡する状態となっている。

↑ アメリカ合衆国の一般市民における銃所有に関する意見(アメリカ合衆国内)(2015年7月)(再録)
↑ アメリカ合衆国の一般市民における銃所有に関する意見(アメリカ合衆国内)(2015年7月)(再録)

それでは冒頭でも言及したように、銃規制に関する4つの詳細項目についてはどのような想いを抱いているのだろうか。賛成・反対・分からないの3択から一つを選んでもらい、そのうち賛成派の値を反映させたのが次のグラフ。4選択肢のうち「自動小銃などの販売禁止」のみ、現状では施行されておらず、その項目への賛意は現状から規制を強化することを意味するので要注意。

↑ アメリカ合衆国の一般市民における銃に係わる規制に関する意見(アメリカ合衆国内、賛成率)(2015年7月)(属性別その1)
↑ アメリカ合衆国の一般市民における銃に係わる規制に関する意見(アメリカ合衆国内、賛成率)(2015年7月)(属性別その1)

↑ アメリカ合衆国の一般市民における銃に係わる規制に関する意見(アメリカ合衆国内、賛成率)(2015年7月)(属性別その2)
↑ アメリカ合衆国の一般市民における銃に係わる規制に関する意見(アメリカ合衆国内、賛成率)(2015年7月)(属性別その2)

「自動小銃などの販売禁止」への賛意、つまり現状からの規制強化に関しては、全体では57%が賛成。ただし男性は5割に届かず、女性は2/3に達しており、男女で大きな差異が見られる。世代別では高齢層の方が規制に賛成、学歴別では高学歴の方が規制賛成派が多く、地域別では都市部の方が高い。さらに世帯内に銃があるか否かでは非所有世帯の方が高い。ここまできれいな形で賛否が分かれているのも珍しい。

銃の登録制では全体でも7割が賛成、若年層・高学歴・都市部・非所有世帯の方が高めで、規制の維持の観点では自動小銃と同じ。規制に賛成「ではない」、つまり規制緩和の方が多い属性も見受けられるが、ごく少数でしかない。

「精神的に問題がある人物の銃購入制限」「銃取引の際の身元確認」に至っては、賛成派の回答率が全体、さらにどの属性でも7割から8割に達している。特に高学歴では9割に届いており、現状のシステムの継続を求める声が圧倒的であることが分かる。

先行記事、そして冒頭の通りアメリカ全体では、銃そのものの所有において、これまで規制の強化を求める声が大きかったものの、ここ数年では規制強化と権利維持の意見が均衡する状況が続いている。しかしながら少なくとも現状の管理システムに関しては、自動小銃の所有ではややゆらぎがあるものの、その他の主要な要目は、現状維持を求める声が多数を占めている。何か大きな状況の動きが無い限り、大きな変化が生じることはなさそうだ。


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