大人が考える「どのような少年が非行に走るか」の実態

2015/10/14 14:52

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先行記事【79%は「5年前と比べて少年重大事件は増えている」と思っている】などで内閣府が2015年9月24日に発表した世論調査を元に、実態としては少年(14歳から19歳までの少年・少女)による犯罪行為は軽微なもの、重大なものも合わせ、絶対数や対該当年齢人口比で減少しているものの、多くの人は「少年による重大な事件は増えている」との認識を持っていることが明らかにされた。それでは大人達はどのような少年が非行行為を手掛けると考えているのだろうか。その実情を探っていく(【少年非行に関する世論調査(平成27年7月調査)】)。



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今調査の調査要項は先行記事「79%は「5年前と比べて少年重大事件は増えている」と思っている」を参照のこと。

次に示すのは回答者が「このような状態、状況に置かれた少年が非行(犯罪以外に喫煙や飲酒、深夜はいかいなどの不良行為)をしている」と考えているかを示したもの。科学的裏付け、因果関係のあるなしは問わず、回答者が目撃したり、近親者による類似事案を経験しているだけでなく、各種報道などで見聞きした内容も判断材料に含まれる。要は事実か否かではなく、世間一般の認識である。

↑ 最近の少年非行はどのような少年が起こしていると思うか(複数回答、2015年7月)
↑ 最近の少年非行はどのような少年が起こしていると思うか(複数回答、2015年7月)

もっとも多い回答は、保護者が子供の教育に無関心である状態の少年で、51.5%。次いでスマートフォンやインターネットなどへ過度に傾注している少年とするもので45.3%。ほぼ同率で居場所が無くて孤立している少年が続く。これらの少年に係わる状況は、昨今の少年非行事案に関する報道でも、その大きな要因であると説明されていることもあり、高い同意率が示されている。一方で特に理由・問題があるわけでもない、少なくとも周囲からはそのように見られている少年が非行に走る場合もあるとの認識も、39.6%と4割近くに及んでいる。

「保護者が無関心」は以前から良く少年非行の理由として挙げられているが、それ以外の昔ながらの理由、例えば「友人関係に問題」「保護者などから虐待経験」「学校生活になじめない」「保護者がしつけに厳しい」などは相対的に順位が低くなっている。

回答者の男女別では「保護者が無関心」「友人関係に問題」ではわずかに男性の方が高値だが、それ以外は女性の方が高い値を示している。特に「居場所が無くて孤立」「教育やしつけに厳しすぎる」は男女差が大きく出ている。また「スマートフォンやインターネットなどに依存」も女性の値が高め。これらの少年に対する女性の危機感、非行に走りやすい状況ではないかとする認識の高さがうかがえる。多分に伝聞だけでなく、何らかの形(例えば自分の子供が過度なスマートフォンへの注力を示し、心配している状態にある)で実態として感じ取っている部分もあるのだろう。

中堅層で高い危機意識


回答状況をいくつかの回答者の属性別に振り分けて集計しなおした結果が次以降のグラフ。まずは回答者の年齢階層別。

↑ 最近の少年非行はどのような少年が起こしていると思うか(複数回答、2015年7月)(回答者年齢階層別)
↑ 最近の少年非行はどのような少年が起こしていると思うか(複数回答、2015年7月)(回答者年齢階層別)

「以前に不良行為・犯罪行為のあった少年」は年齢階層別の差はほとんどないが、それ以外では大よそ中堅層が高い値を示し、多様な状況下で少年が非行に走りやすいと認識していることが分かる。特に50代から60代において懸念する声が大きい。他方20代、そして70歳以上は非行リスクとなり得るような状況への懸念は、比較論ではあるが低め。

↑ 最近の少年非行はどのような少年が起こしていると思うか(複数回答、2015年7月)(回答者の子供の有無別)
↑ 最近の少年非行はどのような少年が起こしていると思うか(複数回答、2015年7月)(回答者の子供の有無別)

今調査に係わる先行記事で、高校生や大学生を持つ保護者ほど、少年非行は悪化している、増えているとの認識を示していることが明らかになっているが、それと連動する形で複数の項目で、高校生・大学生の子供を持つ保護者の値が高い。他方、しつけに無関心、あるいは厳しすぎるといった、しつけをキーワードに含む項目、さらに何ら問題が無いと思われている少年の項目では、小学生の保護者で突出した値が示されているのが特徴的。自身の子供に対する教育、しつけの方針への不安の表れかもしれない。



冒頭でも言及しているが、これらはあくまでも回答者の認識でしかなく、実際の少年による非行との因果関係とは別のもの。他方、世間一般の認識としては、これらの要件で高い値を示している状況ほど、少年非行に結びつきやすいことになる。日々流れ来る少年非行に係わる事案と、それらに対する反応とを見比べると、色々と考えさせられるものがあるに違いない。


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