ネットの書き込み、突然キレる、集団、低年齢化、そして明確な動機無し…昔と比べ増加したと思われている少年非行とは
2015/10/14 11:25
内閣府が2015年9月24日に発表した【少年非行に関する世論調査(平成27年7月調査)】を元にした記事【79%は「5年前と比べて少年重大事件は増えている」と思っている】にもある通り、少年による重大事件は減少しているにも関わらず、多くの人は逆に増加しているとの認識を示している。それでは実際に、どのような事案が増加していると考えられているのだろうか。その実情を確認していくことにする。
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「インターネット利用の少年非行が増えている」の認識が最多
今調査の調査要項は先行記事「79%は「5年前と比べて少年重大事件は増えている」と思っている」を参照のこと。
冒頭などでも言及した通り、実際には少年(14歳から19歳までの少年・少女)による重大事件は減少しているが、増加しているとの認識を持つ人は8割近くに達している。そこで少年非行(少年が行った犯罪と、喫煙や飲酒、深夜はいかいなどの不良行為を含めたもの)に関して、5年前と比べてどのようなタイプの事案が増加していると思っているか、当てはまるものについて複数回答で尋ねた結果が次のグラフ。
↑ おおむね5年前と比べて少年非行はどのようなものが増えていると思うか(複数回答、2015年7月)
もっとも多くの人が増加しているとの認識を示していたのは、掲示板に犯行予告や誹謗中傷の書込みなどをするなどをはじめとした、インターネットを利用したもの。これが6割を超えている。利用ツールは特定していないので、パソコン以外にスマートフォンも該当し、掲示板以外にソーシャルメディア、オンラインゲームなどまで含まれる。また今件が「重大事件」に限らないことも、回答率の高さを後押ししているものと考えられる。インターネット絡みの少年非行で、「重大事件」と認識できるものはあまり多くない。
次いで多いのは感情のアンコントロールによる衝動的な行動で52.7%。それに続く凶悪・粗暴化も場合によっては含まれることになるだろう。さらに明確な動機が無いものも該当する可能性がある。他の項目のように状況が理解確認できるケースと比べ、大人の対応はより難しい事案に違いない。
男女別では具体的項目すべてで女性が高い値を示している。危険、犯罪に関連する事柄では、概して女性の方が回答率が高く、子供が関与する場合はさらにその傾向が強くなることが、他の多数調査から確認されている。今回調査は子供が係わるリスク事案であることから、女性の本質的な反応がより強く出たものと考えられる。
いくつかの属性で仕切り分けをすると……
続いてこの結果をいくつかの属性で仕切り分けして確認する。まずは回答者の年齢階層別。
↑ おおむね5年前と比べて少年非行はどのようなものが増えていると思うか(複数回答、2015年7月)(回答者年齢階層別)
先行記事でも言及した「年上ほど子供の重大事件は増加していると考えている」の内容に一致するように、ほぼすべての項目で歳を経るほど少年非行が増えているとの認識が出ている。70歳以上は一様に減少するが、これは「分からない」の回答率が高くなっているのが要因。ただしインターネット関連の項目では60代でも大きな減少が確認できる。これは自分の子供が(スマートフォンを多用する)高校生から大学生に該当する保護者の年齢層が50代までがメインとなり、60代以降は減少するからだと考えれば道理は通る。
↑ おおむね5年前と比べて少年非行はどのようなものが増えていると思うか(複数回答、2015年7月)(居住地域別)
「重大事件」では地方ほど強い「増加派」認識を持つ結果が出ていたが、重大でない事案も含めた具体的少年非行内容となると、地域別の差はほとんど出ていない。それどころか一部では地方ほど低い値になる項目も確認できる。地方の「増加派」認識は高齢者の比率が高くなるからとの推測だが、それだけではこの動向は説明がつきにくい。地方では高齢者でも、具体的少年非行の事案に関しては、強い増加感を覚えないのかもしれない。都市部と地方における、少年非行に絡んだ情報伝達の内容の違いの結果の可能性はあるが、今調査では「なぜそのように思うのか」の設問は無いため、確認は不可能である。
↑ おおむね5年前と比べて少年非行はどのようなものが増えていると思うか(複数回答、2015年7月)(回答者の子供の有無別)
「重大事件」の増加認識率が高い高校生・大学生を持つ保護者は、具体的非行事案でも多くの項目で高い値を示している。実際に自分の子供が経験をし、さらには現在進行形の例も多分にあるのだろう。子供を持たない大人では多くの項目で、増加認識の値が低いのも特徴的。
前回調査となる2011年分では、具体的項目のトップ「掲示板に犯行予告や誹謗中傷の書き込みをするなどインターネットを利用したもの」は存在せず、今調査で初の調査対象だったが、それが最上位につく結果となっている。重大度はさておき、多くの大人が少年非行のリスクとして懸念を抱えていることがうかがえよう。
もっとも、詳しくは別の機会で見ていくが、実際に回答者の周辺で「掲示板に犯行予告や誹謗中傷の書き込みをするなどインターネットを利用した非行」が起きているとする人は、1割にも満たないとの結果も出ている。各種非行事案の報道などの情報への反応が、やや過剰ではないかとの感も否めまい。
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