世代で大きく異なる世界情勢問題への懸念
2015/10/04 12:41
先行記事【気候変動、国際経済の不安定化、そしてISIS…世界の人々の心配事の違い】において、アメリカ合衆国の民間調査会社Pew Research Centerが2015年7月14日に発表した調査報告書【Climate Change Seen as Top Global Threat】の公開データを元に、各国の国民が憂慮している国際問題の憂慮度合いの違いについて確認をした。今回はその補足版として、報告書に記載されている「イランの核開発プログラム」「中国と周辺諸国との緊張状態」の2問題に関し、いくつかの国を取り上げる形で世代間の懸念の強さの違いを見ていくことにする。
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今調査の調査要項は先行記事「気候変動、国際経済の不安定化、そしてISIS…世界の人々の心配事の違い」を参考のこと。その先行記事にある通り、国際的な懸念事項となりうる世界的な気候変動、世界的な経済の不安定化、ISIS、イランの核開発問題、サイバー攻撃、ロシアと周辺諸国の緊張、中国と周辺諸国の緊張、計7つの事案において、イランの核開発プログラムや中国と周辺諸国との緊張状態はさほど高い関心を持たれていない。
↑ 国際的な次の事案について大変心配しているか(2015年春)(一番の懸念事項)(再録)
それでは世代別に見て、あまり関心を持たれていないように見える両案件は、どのような状況にあるのだろうか。調査票からは世代別データを取得できず、報告書に記載されている一部結果を元に再構築したのが次のグラフ。動向が分かる国も比較的高い関心を集めそうな先進諸国のうちいくつかに限られている。
↑ イランの核開発プログラムに大きな懸念を有している(2015年春、年齢階層別)
↑ 中国と周辺諸国との緊張状態に大きな懸念を有している(2015年春、年齢階層別)
報告書によると多くの問題では世代間格差は見られないものの、先進諸国においてはISIS問題やイラン問題、中国問題、サイバー攻撃問題で、高齢者ほど強い懸念を持っていると説明している。公開されている値はイランと中国周りのもののみだが、説明の通り一様に、若年層ほど低く、歳を経るほど懸念の度合いは高くなる。
この傾向に関して報告書では特に説明はなされていない。若年層にとってISISやイラン、中国問題は自分自身とはあまり関係ない場所での出来事なのか、あるいは事案そのものの理解が不足しており、強い懸念を抱くまでに至っていないのかもしれない。
実際日本にスポットライトを当ててみると、イラン問題では30歳未満は21%のみなのに対し、50歳以上では47%と2倍以上、対中問題では30歳未満では30%でしかないのに対し(それでも列挙他国と比べれば高いが)、50歳以上では61%とずば抜けて高い値を示している。
これらの諸問題に関して国内論議を高める場合、特に若年層に注力を払うべきといえよう。
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