アメリカの子供達もやはりソーシャルメディア上のもめごとを多数が経験している
2015/09/30 15:15
ソーシャルメディアは意志疎通の上では非常に便利なツールに違いないが、その便利さが時として他人との間の対立構造を生み出し、激化させることもある。頻度の高い、十分に注意を払わないキャッチボールでは、よくあさっての方向へ投げてしまったり、相手に痛手を負わせてしまうトラブルを生じるようなものだ。ましてや自制心の修練が未熟な子供達の間では、対立構造は容易に激化するものとなる。今回はアメリカ合衆国の民間調査会社Pew Research Centerが2015年8月6日に発表した報告書【Teens, Technology and Friendships】を元に、同国の子供達における、ソーシャルメディアなどのデジタルコミュニケーションツールによる、トラブル事情を確認していくことにする。
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今調査の調査要項は先行記事の【アメリカの「ネットで友達できるかな」事情】を参照のこと。
報告書によるとアメリカ合衆国の子供達の間におけるネット上でのもめごと、炎上騒ぎ、仲間同士の対立は「drama」と表現されるとのこと。直の口論や拳のやり取りでは無く、あくまでも情報のやり取りにおける対立で、場合によっては相手の実情を知らない上でのものとなり、多分に演劇のような感を覚えるところがあるからなのだろう。
その「drama」を体験したことがあるか否かを尋ねた結果が次のグラフ。ソーシャルメディア別の値では、報告書から直に抽出したこともあり、肝心のFacebookにおける値が入っていない。
↑ オンライン上のやりとり(SMS含む)がきっかけで友達とケンカをしたことがあるか(2015年2月、米国、13-17歳)
ソーシャルメディア利用者全体ではおよそ7割が経験あり。男女別では女子の方が、年齢階層別では年上の方が経験率は高い。また、ソーシャルメディアの種類別ではSnapchatがもっとも高く8割近く、次いでTwitter、Instagramの順となっている。あくまでも概算だが、全体平均が68%で、これら列挙されたソーシャルメディアの値が7割を超えている状況から見るに、Facebookの利用者の「drama」体験率は案外低いものと考えられる。やはり実名主義が反映されているのだろうか。
ソーシャルメディアに限定せず、SMSも含めたオンライン上のやりとりをきっかけとして、友達とケンカ(原文では「fight」)をしたことがあるかを聞いたところ、1/4強が経験ありと回答している。
↑ オンライン上のやりとり(SMS含む)がきっかけで友達とケンカをしたことがあるか(2015年2月、米国、13-17歳)
男女別では圧倒的に女子の方が上、携帯電話所有状況別ではスマートフォン所有者の方が、ケンカ発動率は高い。携帯電話はSMSのみの利用の場合はいくぶんリスクを押し下げるように見えるが、インターネットを使う状況では格段に値が跳ね上がる(従来型携帯電話の保有≒SMSのみの利用)。冒頭でも触れているが、意思疎通の加速化が、対立の増長の一因となっていると見ても良さそうだ。
やや余談話になるが、友達関係を何らかの理由で断ち切った後、インターネット上の関係に関しては、どのような措置を取るだろうか。ソーシャルメディア上での行動で、起こり得る3つのパターンを例示し、確認した結果が次のグラフ。
↑ 友達関係を(もめごとの上で)断ち切った後、次のような行動をしたか(2015年2月、米国、13-17歳、ソーシャルメディアか携帯電話利用者)(男女別)
元々ソーシャルメディア利用率は女子の方が上だが、今件は利用者限定で尋ねており、利用率の高低は影響しない。男子よりも女子の方が、すっぱりとソーシャルメディア上の関係も断ち切る様子が一目瞭然で把握できる。無論、対立構造の内容にもよる所は大きいのだが、女性のドライな人間関係の認識が現れているようでもある。
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