子供同士の付き合いで新しい友達との連絡手段、手渡す情報は? アメリカ事情を探る

2015/09/28 08:13

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新しい学校への入学やクラス編成替え、あるいは引越しやスポーツクラブへの加入。新しい友達を創る機会が生じる場面は多々存在する。今後もこの人と連絡を取りたいと思った時、どのような情報を相手に手渡すだろうか。今回はアメリカ合衆国の民間調査会社Pew Research Centerが2015年8月6日に発表した報告書【Teens, Technology and Friendships】を元に、同国の子供達における友達同士の意志交換のための情報ツール事情を見ていくことにする。



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今調査の調査要項は先行記事の【アメリカの「ネットで友達できるかな」事情】を参照のこと。

冒頭で触れている通り、子供達(に限らず大人もだが)が他人と知り合い、今後も意思疎通を図りたい場合、何らかの形でそれが可能な情報ツールによる個人の特定を行うための情報を提供し、相手にも同じ情報を求めようとする。大人ならば名刺交換が好例だが、さすがに子供は自分の名刺を用意する事は無い。

次に示すのは自分を特定できる情報を列挙し、新規の友達にどのような情報を優先して渡すか、あるいは渡しているかを上位3つ、順序立てて挙げてもらったもの。見方を変えれば、今のアメリカ合衆国の子供達において、どのような手段が意志疎通のツールとしてよく利用されているかが分かる内容でもある。

↑ 新しく友達になった人と連絡を取り合うために、最初・二番目・三番目にどのような自分の情報を提供するか(2015年2月、米国、13-17歳)
↑ 新しく友達になった人と連絡を取り合うために、最初・二番目・三番目にどのような自分の情報を提供するか(2015年2月、米国、13-17歳)

もっとも多くの人が挙げているのはSMS(ショートメッセージサービス)をやりとりするための電話番号。これをトップに挙げている人が54%、2番目が18%、3番目が8%で、上位3位までで8割を占めている。相手がスマートフォンを持っていなくとも従来型携帯電話であれば送受信が可能でやりとりができ、さらに直接の通話よりも面倒が無くて良い。要は一番普及率が高く、容易に直接やり取りできるツールとの認識がなされている。

相手が使える可能性が高いとの観点で、SMSに続くのはソーシャルメディアのアカウント名。これが18%・26%・17%で、合わせて61%。さらに通話用の電話番号が合わせて52%で続く。

電子メールアドレスはトップで6%、全部合わせても39%でしかない。今や電子メールアドレスを持っていない人、それどころか存在をぼんやりとしか認識していない人もいるとの話は、アメリカを問わずネタ的な話として良く伝えられているが、SMSやソーシャルメディアのアカウントより下にあるところを見ると、あながち冗談とも言い切れなさそうだ。

これを男女・年齢階層別に見たのが次のグラフ。

↑ 新しく友達になった人と連絡を取り合うために、最初から三番目までの間にどのような自分の情報を提供するか(2015年2月、米国、13-17歳、性別・年齢階層別))
↑ 新しく友達になった人と連絡を取り合うために、最初から三番目までの間にどのような自分の情報を提供するか(2015年2月、米国、13-17歳、性別・年齢階層別)

SMSや通話番号は男女共にほぼ変わりはないが、ソーシャルディアのアカウントは年上の方が、そして女子の方が手渡す率は高め。さらにメッセンジャーのユーザーネームも女子の方が高い。一方でゲーム内のハンドル名は圧倒的に男子の方が上となっている。

これは先行記事「アメリカの「ネットで友達できるかな」事情」でも多少触れているが、そもそも論としてアメリカの子供におけるコミュニケーションスタイルでは、男子はオンラインゲーム、女子はソーシャルメディアをはじめとした「文章によるおしゃべりツール」を多用する傾向があるからに他ならない。そして多分に「友達」となるのは同性である以上、相手も自分と同じ利用性向を有すると考えるのは当然の話である。

一方、男女、年齢を問わず、電子メールアドレスはソーシャルメディアやSMSと比べて低い値に留まっている。電子メールがアメリカの子供達の間で廃れつつある状況は、男女を問わず、年齢を問わず、であるようだ。



ちなみに先行記事でも触れているが、オンライン上で初めて知り合った友達と、後に実対面によるやり取りを交わした経験がある人は、全体のうち2割。

↑ オンラインで初めて知り合った人と直に対面したことはあるか(2015年2月、米国、13-17歳)
↑ オンラインで初めて知り合った人と直に対面したことはあるか(2015年2月、米国、13-17歳)

年齢が上になるほど対面の経験ありの値が多いが、男女の差異はほとんど無い。男子が少ないと見るべきか、女子が多いと見るべきか。あるいは未成年者ならば性別を問わずリスクは変わらないと判断すべきか。いずれにせよ、アメリカにおいても、保護者は多分に心配なのに違いない。


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