手書き文字 どれだけ使うか 大切か

2015/09/22 15:41

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例えば年賀状の作成のような、数少ない文字を手書きする場面でも、各家庭にプリンターが普及し、またコンビニなどでも印刷サービスが気軽に使えるようになるに連れ、確実にその機会は減っている。日常生活上のやり取りでも、手紙を出すことは滅多になく、メールやソーシャルメディアによる意志疎通で十分な状況が多々あり、ペンなり鉛筆なりで手書きする機会は、就学時における学校、あるいは就業時で必要不可欠な場合に限られる人も増えている。手帳ですら、電子手帳、さらにはスマートフォンで代替する人も多い。それでは文字を手書きすることに関して、現在ではどのような認識がなされているのだろうか。今回は文化庁が2015年9月17日に発表した「平成26年度 国語に関する世論調査」の概要から、その実情を見ていくことにする(【発表リリース:平成26年度「国語に関する世論調査」の結果について】)。



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今調査は2015年1月から2月にかけて全国の16歳以上の男女に対して個別面接調査方式によって行われたもので、有効回答数は1942人。男女比・世代構成比などは今概要書では非公開。

まずは冒頭でも触れた「文字を手書きする機会」があるか無いか。結果としてはある派が7割強、無い派が1/4強との形となった。

↑ 日常生活において、文字を手書きする機会があるか(2014年度)
↑ 日常生活において、文字を手書きする機会があるか(2014年度)

属性別の回答内容が未公開なので詳細は不明だが、「あまり無い」はともかく「無い」との回答が6.4%も居ることには驚く人も多いはず。文字の手書きをしない状況は想定しがたいのだが。あるいはスマートフォンやパソコン周りの文字入力で、意思疎通などは完璧にこなしているのだろうか。上記の例なら年賀状のプリントをコンビニに頼む場合でも、昨今ではインターネット経由で文字の手書きをせずに注文できるぐらいだから、あるいは結構ありえるのかもしれない。

他方、よくある人は4割近く、時々ある人は1/3程度。その内容はともあれ、文字の手書きをする機会がある人は相応に存在している。

文字を手書きする機会としてもっともよく挙げられるのが、上記でも触れた年賀状。その他にも暑中お見舞いなどで文面を他人に贈る機会はそれなりに存在する。そのような書面・ハガキに関して、すべて印刷した方が良いのか、それとも手書きが加わった・手書きの方が良いのかを尋ねた結果が次のグラフ。「手書きが加えられた」と「すべて手書き」が同一項目でまとめられていたり、書くサイドと受け取るサイドのどちらの心境なのかが明確化されていないなど、設問そのものにやや首を傾げる部分もあるが、結果としては大よそ9割が「手書き(が加わったもの)が良い」との回答に落ち着いた。

↑ 年賀状などにおいて、印刷されたものと手書きが加えられたものとでは、どちらがよいと思うか(2014年度)
↑ 年賀状などにおいて、印刷されたものと手書きが加えられたものとでは、どちらがよいと思うか(2014年度)

業務的・事務的ならばすべて印刷でも問題は無いはずなのだが、それでもなお、差出人が直に関与した部分が明らかに分かる、個性が確認できるのは、それだけでも気持ちの伝わり方が違うように思えてくる。プリントされた有名人のサインと、手書きされたサインとでは後者の方が嬉しさもひとしおになるのと同じ感覚かもしれない。

最後は文字を手書きする習慣を今後も大切にすべきか否か。

↑ 文字を手書きする習慣をこれからの時代も大切にすべきであると思うか(2014年度)
↑ 文字を手書きする習慣をこれからの時代も大切にすべきであると思うか(2014年度)

あくまでも「大切」であり、「重要」「多用」では無いことに注意。書き手の負担や効率性を考えれば、手書きですべての文面の製作を行うのは事実上不可能。ここぞといった場面で、あるいは印刷では相手に誤解を与えかねない事案の時に、手書きは活用されるべきだろう。今件の「大切」も、保全し記録し残しているとの意味合いが強いように読める。また手軽さの観点でも、それこそスマートフォンなどに入力するよりも、手書きの方が手軽な場面も多いはずである。


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