日本在住の海外の人に、日本人はどの程度の日本語能力を求めているのだろうか

2015/09/22 11:56

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景況感の回復やオリンピックにまつわる話もあり、ここ数年はこれまで以上に海外から日本に足を運ぶ人たちへの注目が集まっている。旅行による一時的な訪日では無く、自らの意志で、あるいは仕事などの都合により、日本に在住する人も少なくない。それらの人達に対して日本に住む日本人達は、どの程度の日本語能力を求めているのだろうか。今回は文化庁が2015年9月17日に発表した「平成26年度 国語に関する世論調査」の概要から、その実情を確認していくことにする(【発表リリース:平成26年度「国語に関する世論調査」の結果について】)。



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日本在住の際にも求められる日本語能力は!?


今調査は2015年1月から2月にかけて全国の16歳以上の男女に対して個別面接調査方式によって行われたもので、有効回答数は1942人。男女比・世代構成比などは今概要書では非公開。

次に示すのは冒頭で触れた通り、日本に在住している・することになる外国の人が、どの程度の日本語の能力を有していることが望ましいかについて、回答者自身の意見を求めたもの。会話能力と読み書き能力それぞれについて択一で尋ねている。実際にはケースバイケースで、さまざまな状況によって必要な能力は異なるのだが、今件はあくまでも一般論としての質問になる。

↑ 日本在住の外国の人は、どの程度の日本語の会話/読み書きができると良いと思うか(2014年度)
↑ 日本在住の外国の人は、どの程度の日本語の会話/読み書きができると良いと思うか(2014年度)

会話・読み書き共に「日常生活に困らない程度が求められる」とする意見がもっとも多く、前者は2/3、後者も5割強を示している。要は普通に暮らしていく範囲で支障が生じない程度。買い物をしたり、公共交通機関を利用する際に案内板を読むことができたり、家電商品の操作のための説明を確認できるか否かなどが良い例。

もう少し高度な技能の習得状態となる「仕事・学校生活が円滑に行える程度」は会話・読み書き共に1割程度で、「日本人と同程度」は1%台でしかない。逆に、簡単なあいさつ程度で構わないとする意見は、会話の場合1割強、読み書きは多少難しいこともあり、2割近くに達している。「日常生活に困らない程度」で会話よりも少ない分が、読み書きにおいて大よそ「簡単なあいさつ」と「会話ができなくても良い」にシフトした形だ。

逆の立場、つまり日本人で日本語を熟知している自分自身が、例えばアメリカやロシア、中国のような他国に何らかの形で居住(在泊では無い)する形になった場合、どの程度の語学力が必要になるのかを想起すれば、この回答の分布がどこまで無難なものなのか、それとも無理な話を求めているのかが理解できるだろう。

日本語習得のためにどのような環境整備が必要か


それでは海外の人が日本に在住するために必要となる日本語に関して、どのような取り組みが日本では必要になると「日本人としての立場からは」考えられているか。複数回答で聞いたところ、「無料の日本語学習機会の充実」との意見がもっとも多く、5割近くを占める形となった。

↑ 日本在住の海外の人達が日本語能力を身に付けるためにどのような取り組みが必要か(2014年度、複数回答)
↑ 日本在住の海外の人達が日本語能力を身に付けるためにどのような取り組みが必要か(2014年度、複数回答)

次いで多いのは「(居住済みの海外の人達に対し)周辺の人が日本語を教える」とするもので4割。公的機関による学習機能提供が4割近く、さらに受け入れプログラムを遂行している企業などがその一環として学習機能を提供するとの意見が1/4強、そして当事者のさらなる努力が2割強と続いている。

この点も実のところ、求められる日本語能力の事例と同じく、立場を逆にして考えると理解、そして求められる取り組みが透けて見えてくる。例えば他国の人に対する英語学習を積極的に推奨しているアメリカ合衆国が、日本において英語を学ぶためにどのような手を講じているか思い返せば、色々と理解はできるはずだ。【ほぼ無料で世界情勢とリスニングの勉強ができる方法】で紹介した「Voice of America - Learn American English with VOA Learning English」が好例である。

また昨今ではインターネットの利用が国を問わず前提となりつつある。インターネットによるサービス提供ならば(上記のVOAのように)、他国からも修学が可能となる。その点を鑑み、日本語の学習と共に日本国内の正しい情勢を事細かに、逐次伝えていく、公的・準公的な機関が必要なのかもしれない。


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