日米中韓の高校生における正義感や思いやり行動の違いを探る(2015年)
2015/09/02 11:30
独立行政法人国立青少年教育振興機構は2015年8月28日、日本、アメリカ合衆国、中国、韓国の高校生における生活様式や意識に関する調査報告書「高校生の生活と意識に関する調査報告書-日本・米国・中国・韓国の比較-」を発表した。今回はその中から、道端でゴミを拾う行動や、弱い者いじめなどを制止するなどの正義感を体現化しているか否かについて、各国高校生の行動性向の差異を見ていくことにする(【発表リリース:高校生の生活と意識に関する調査報告書-日本・米国・中国・韓国の比較-】)。
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今調査は2014年9月から11月にかけて日本、アメリカ合衆国、中国、韓国の高校生に対して集団質問紙法によって行われたもので、サンプル数は各国で1560から2518。
今調査対象母集団に対し、日常生活において、「道路や公園などに捨てられているゴミを拾う」「弱い者いじめやケンカを止めさせたり注意する」「体の不自由な人やお年寄りなどの手助けをする」といった正義感、思いやりのある行動をしているか否かについて、「何度もある」「少しある」「ほとんどない」の選択肢の中から、自分に当てはまるものを選んでもらった結果が次のグラフ。
↑ 正義感や思いやりのある行動(2014年、高校生)
公共心が反映される行動ともいえる「道路や公園などに捨てられているゴミを拾う」では、中国の行動率が一番高く、次いで韓国、日本が続く。日本ではおよそ半数がそれなりにゴミを拾うと答えている。ただし高頻度では中国の次に日本が続き、1割を超えている。一番行動率が低いのはアメリカで、4割足らず。高頻度の行動率では5.6%しかない。
ところが年齢や属性の面で自分に近しい人に対するアクション「弱い者いじめやケンカを止めさせたり注意する」となると、アメリカが一番高く6割を超え、次いで中国、韓国の順となるが、日本はとびきり低い値を示し、3割にも届かない。「何度もある」の値では3.6%しかない。質問票で確認しても特段細かい解説がないため、「元々止めさせる対象となる弱い者いじめやケンカ事案に遭遇しにくいので、止める・注意する機会が無い」のか、「止めさせるような事案に遭遇しても放任する、見て見ぬふりをする」のか解釈が分かれるところ。回答者が全員どちらか一方のケースに限られることは無いだろうが、他の設問動向を見るに、後者「行為に遭遇しているが止めることはしない」方が多分であることは想像できる。
また、「体の不自由な人やお年寄りなどの手助けをする」においても、日本は他国と比べて低い傾向がある。行動派は5割を超えるくらいで、他国の6割から8割と比べると一段階低く、頻度の高い回答率も1割を切っている。アメリカの行動派8割・高頻度に限っても3割超えと比べると、その値の低さが改め認識できる。
公共心と他人に対する思いやりの体現化、表現を変えれば干渉は、本質的には似たようなものではあるが、第三者に影響を与える、さらにそこから波及する形で自分自身に影響が及びうるか否かの点で大きな違いがある。ゴミを拾っても第三者に直接その場で影響を与えることはまずないが、ケンカを制止したりお年寄りの手助けは、その行為自身が他人への影響につながる。宗教的な概念も理由の一つかもしれないが、日本(の高校生)は他国と比べ、他人への干渉を嫌い、恐れる傾向があるようだ。
今回調査の別項目でも明らかにされているが、日本の高校生は他国と比べ、自尊心が低く、内向きの傾向が強い。それが他人へのアクションを躊躇させる要因となっているのかもしれない。
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