子守から学習教材へ…小学生以下の子供に情報通信端末を利用させる理由とは(2015年)

2015/08/26 11:18

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大人同様子供を取り巻く環境について考えた場合、この10年位の間に大きく変化したのが、情報通信端末との関わり合い。大人が用いても非常に便利で役立つ道具だが、子供にとっても画期的なアイテムに違いは無い。しかし同時に前例の無い道具なだけに、どのような対処をすれば良いのか、いかなる思惑で子供に利用させているのか、保護者により多種多様であり、他人の状況が大いに気になるところ。今回は総務省が2015年7月28日に発表した最新版の【情報通信白書】(【発表リリース:平成27年「情報通信に関する現状報告」(平成27年版情報通信白書)の公表】)を元に、小学生以下の子供に情報通信端末を利用させている保護者が、どのような目的・意図で使わせているのかを確認していくことにする。



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今件項目は情報通信白書からのものだが、直接のデータを提供する調査結果は、情報通信政策研究所の【未就学児等のICT利活用に係る保護者の意識に関する調査報告書】。2015年7月末に報告書が公開されている。未就学児や小学生の子供を持つ保護者を対象とするウェブアンケートによって2015年3月上旬に実施されたもので、今件における「子供の利用」とは子供が自発的に利用しているのみならず、保護者が子供に見せたり使わせている場合も含めている。なお今回の値は何らかの情報通信端末(スマートフォンやタブレット型端末、ノート・デスクトップパソコン、従来型携帯電話、PHS、通信機能のある家庭用ゲーム機、通信機能のある音楽プレイヤー)を子供が利用している人を該当母集団としている。該当年齢層の子供を持つ保護者(世帯)全体が調査対象母集団では無いので注意が必要。

↑ 子供が情報通信端末を利用しているか(保護者が使わせている場合も含む)(2015年)(再録)
↑ 子供が情報通信端末を利用しているか(保護者が使わせている場合も含む)(2015年)(再録)。今回の項目ではこの回答者に限った状況確認となる

まず最初は保護者がどのような時に、情報通信端末を子供に使わせているかを複数回答で尋ねたもの。

↑ 子供にはどのような時に情報通信端末を使わせているか(2015年、複数回答、情報通信端末を子供に使わせている人限定)
↑ 子供にはどのような時に情報通信端末を使わせているか(2015年、複数回答、情報通信端末を子供に使わせている人限定)

未就学児、今件ではゼロ歳児から6歳児の子供に対しては、保護者の手が離せない時に与える事例が多く6割近く。具体的には保護者が食事中などの場合を意味する。次いで遊ぶときだが、これは一人遊びの他に、保護者と一緒に、あるいは兄弟姉妹や友達と遊ぶ時を意味する。要は遊具としての利用。続いて外出中、最後に学習してほしい時の順となる。

これが小学生となると遊ぶ時の場合が7割強となりもっとも高い値を示し、次いで外出中、保護者の手が離せない時となる。未就学児では子守アイテム的な意味合いが強かった、つまり保護者都合によるところが大きかった情報通信端末も、子供の成長と共に自発的な遊びのツールへと立ち位置がシフトしていくようすがうかがえる。

なおこの類の道具で大義名分として使われることが多い学習ツールとしての利用だが、保護者の観点でも未就学児は13.6%、小学生でも22.3%でしかない。学習は二の次、三の次的な扱いとなっている。

それでは場面で無く、どのような理由で使わせているのか。

↑ 子供に情報通信端末を使わせている理由(2015年、複数回答、情報通信端末を子供に使わせている人限定)
↑ 子供に情報通信端末を使わせている理由(2015年、複数回答、情報通信端末を子供に使わせている人限定)

場面の回答動向で大よそ保護者の思惑がつかめるが、それを裏付ける結果が出ている。「保護者の手を離れる時間ができる」「子供の機嫌がよくなる」「端末に子供が触りたがる」は子供が幼い頃ほど高い値を示しているが、「利用をきっかけにしたコミュニケーション」「端末操作を覚えられる」「友達が持っている」などは年上の方が値が高い。

興味深いのは「学習ができる」は子供の歳に関わらず相応の値を示していること。白書に記述は無いが一次ソース側で確認すると、端末に触れさせることで子供の好奇心が底上げされたり、自ら情報を検索する技術を有するようになったり、学習そのものができたとの効果を認める声が、少なからず出ている。それら学習方面でポジティブな結果も、子供の歳と共に増える傾向があることから、それなりの効果は出ているようだ。

もっとも今件はあくまでも保護者の感想でしかなく、「平均点が何点違う」といった類の数量的な変化では無い。また、最初のグラフにある通り、情報通信端末の子供における利用率はまだ低めで、各年齢階層における全体としての利用・期待率は、実際にはもっと低いものとなる。

今後さらにスマートフォンやタブレット型端末が普及し、子供にさまざまな思惑で利用させることが浸透し、当たり前のような状況となった時、保護者はいかなる思惑を持ち、そして保護者と子供自身のライフスタイルはいかなる変化を遂げるのだろうか。


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