日本の大学進学率は他国と比べて…大学への進学率の国際比較(最新)
2024/10/25 02:34


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精査にあたり参考にしたのは【労働政策研究・研修機構のデータブック国際労働比較】。現在取得可能な最新のデータブックは2024(2024年4月17日全文公開開始)で、その資料によると一次ソースはOECDの「Education at a Glance」。
なお学校基本調査の進学率算出方法とはいくぶん違い、今件では 各年齢人口のうち高等教育機関に進学する者の割合(年齢別の純進学率)をすべての年齢にわたって合計した値。そして「年齢別の純進学率」とは、 各年齢人口のうち、当該年齢で高等教育機関に初めて進学した者の割合を指す。また「大学型高等教育」とあるのは、各国によって教育制度が異なるため。一応一次ソースの定義では「主として理論中心・研究準備型プログラムで、上級研究学位プログラムへ進学したり、医学や歯学、建築学といった高い技能を要求される専門的職業に従事するのに十分な資格・技能を習得できる」「大学型高等教育プログラムの通算教育年数は、高等教育段階の理論上の期間では、フルタイム換算で3年間となっているが一般的には4年以上であることが多い」とあるが、実際には国によって大学教育と認められているプログラムが当てはまるとは限らない。日本の場合は冒頭の通り、一般大学(学部)が該当する。短期大学や高等専門学校、専修学校専門課程は該当しない。
次に示すのは主要国の進学率推移。国によっては最近のデータしか公開していないこともあり、多分に間延びした形となっている。

↑ 大学型高等教育への進学率
多くの国で大学(高等教育)への進学率は右肩上がりとなっており、経済の堅調化や社会文化の成熟化に伴い、高等教育の浸透が進んでいるのが分かる。他方、意外にもアメリカ合衆国は少なくともグラフの期間内では、進学率がおおよそ漸減している傾向にあることが確認できる。
今件はあくまでも進学率、つまり入学率であり、卒業率ではないことに注意する必要もある。日本の大学は「入りにくく出やすい」、他国は「入りやすく出にくい」との言い回しが多々使われることからも分かる通り、全般的に日本以外の国では高等教育機関は入学し易いものの、修業を終えて無事卒業するのは難しい、途中で退学してしまう割合が多い。進学率は教育浸透の指標の一つではあるが、それがすべてではないことにも注意する必要はある。
上記グラフは経年変化だが、一次データにおける最新値となる2020年分に関して、抽出可能な国すべての値を並べたのが次のグラフ。さらにISCED2011のLevel 6-7に相当する「Bachelor's or equivalent level」「Master's or equivalent level」(学士課程・大学学部)の進学率を示したものも併記する。日本ならば一般大学・大学院修士課程が該当する(短期大学や高専などはLevel 5「Short-cycle tertiary education(短期高等教育)」のため含まれない。一部の国ではLevle 5以上の値しか示されていないため、それを用いている)。

↑ 大学型高等教育への進学率(2020年)

↑ 高等教育(学士課程・大学学部)への進学率(2020年)
少なくとも値が公開された範囲ではあるが、日本の進学率は非常に高いことが分かる。ただし学士課程・大学学部の区分で見ると、日本は中庸程度のポジションに収まってしまう。
繰り返しになるが、高等教育制度は国によってまちまちなため、他国との一律の比較は難しい。また高等教育の社会的意味合い、就業との関係も異なる(日本ですら景況感の後退に伴い、大学進学の「プレミアム」が一時的に薄れ、進学率が落ちる時期があったばかり)。今件はあくまでも参考値の一つ程度としてとらえてほしい。
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