全体では86.4%、高齢層の方が高普及率…エアコンの普及状況(2015年)(最新)

2015/08/18 08:10

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都市化の進行や人間の社会活動の高エネルギー化、ヒートアイランド現象の顕著化などで、平均気温の上昇や真夏日・猛暑日の日数が増加し、さらに高齢化に伴い健康上のハイリスク者の人口比率・絶対数が増加するのに伴い、エアコンはぜいたく品から生活必需品、さらには生命維持装置的な立ち位置にそのポジションを変化させつつある。今回は総務省統計局による全国消費実態調査の、最新版2014年分における主要耐久消費財に関する調査結果を元に、資料としての価値を見出す意味も込めて、いくつかの切り口からエアコンの普及状況を確認していくことにする(【発表ページ:平成26年全国消費実態調査】)。



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全体では86.4%、所有世帯は2.75台


今調査に関する調査要目は先行記事【普通乗用車より軽自動車が所有される時代…自動車の車種・世帯種類別普及率(2015年)(最新)】を参照のこと。

まず最初は総世帯のエアコン(ルームエアコン)の世帯普及状況。

↑ エアコンの世帯普及率・所有世帯の平均所有台数(2014年、総世帯)
↑ エアコンの世帯普及率・所有世帯の平均所有台数(2014年、総世帯)

単身世帯や高齢者世帯まで全部合わせ、世帯普及率は86.4%。大よそ8世帯のうち7世帯がエアコンを実装している。そして所有世帯の平均台数は2.75台。複数の部屋にエアコンが置かれている事例が多数に及んでいる次第。

これを世帯種類別に見たのが次のグラフ。先行するいくつかの記事でも軽く触れているが、単身世帯より二人以上世帯、単身世帯では男性よりも女性の方が、エアコンの普及率は高い。

↑ エアコンの世帯普及率・所有世帯の平均所有台数(2014年、世帯種類別)
↑ エアコンの世帯普及率・所有世帯の平均所有台数(2014年、世帯種類別)

興味深いのは単身世帯でも大よそ1世帯につき2台のエアコンを実装していること。常に2台をフル活動しているわけではなく、必要に応じて使う場所を変えているということだろう。さすがに部屋の数までは調査対象には無いが、例えば単身男性世帯では平均で現居住場所の延べ床面積は78.9平方メートルとあり、複数部屋であることは容易に想像はできる。

これを世帯主の世代区分で区切ったのが次のグラフ。

↑ エアコンの世帯普及率(2014年、世帯種類別)(年齢階層別)
↑ エアコンの世帯普及率(2014年、世帯種類別)(年齢階層別)

単身世帯・二人以上世帯共に、若年層の方が普及率は低い。特に女性は30代まで6割前後に留まっている。男性でも30台で2/3程度。単身世帯が低めなのは「自分一人で我慢すれば何とかなる」との心境があり、二人以上世帯の場合は子供の健康リスクを多分に配慮した上での所有だと考えられる。また単身世帯・若年層では金銭的な問題から購入できない人も多分にいるのだろう(健康リスクを考えれば、むしろ導入・利用した方が安上がりにつく場合が多いのだが)。

金銭面でのハードルは?


「金銭的な問題」と表現したが、エアコンの実装や利用に関しては、しばしば金銭問題にスポットライトが当てられる。お財布事情でエアコンを所有できないのではないか、という話である。そこで世帯年収別に普及率を確認したのが次のグラフ。

↑ エアコンの世帯普及率(2014年、男女、世帯年収別、単身世帯)
↑ エアコンの世帯普及率(2014年、男女、世帯年収別、単身世帯)

↑ エアコンの世帯普及率(2014年、世帯年収別、二人以上世帯)
↑ エアコンの世帯普及率(2014年、世帯年収別、二人以上世帯)

全国消費実態調査はあくまでも所有動向の調査で、稼働率・利用状況までは確認できないため、ランニングコストの観点での精査は不可能。しかし少なくとも普及率の点では、単身世帯は所得とは関連性が無い、二人以上世帯ではある程度の相関関係がみられるものの、差は微少(最大幅で10%ポイント)でしかなく、年収とエアコンのあるなしとの間には、問題視するほどの関係は見られないことが分かる。



先行別途記事でも触れているが、エアコンは今や生活必需品であり、単に設置しているだけでなく状況に応じて使いこなす必要がある。お守りのように置いてあれば良いといった類のものではない。【エアコンがあるのに「嫌い」だからとつけずに熱中症か、高齢三姉妹が揃って死亡という話】などでも触れているが高齢者は特に、人工的な冷気を好まなかったり、気温の変化に鈍感などの理由で、作動させるべき状況下でも使わないがために、健康リスクを体現化させてしまう可能性は高い。

エアコンに限らずだが単に普及率を高めるだけでなく、有益に使いこなす術も啓蒙浸透させていくべきなのかもしれない。


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