他人が気になるネット経由でのお買いもの内容(デジタルコンテンツ編)(2016年)(最新)

2016/10/31 05:12

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先行記事【他人が気になるネット経由でのお買いもの内容(実商品・サービス編)】において、総務省が2016年8月18日に詳細値を発表した「通信利用動向調査」の最新版となる2015年版の公開値を基に、インターネット通販(ネットショッピング)の利用状況について、対象商品が物理的商品、あるいはサービスに関しての精査を行った。今回はネット通販の主要商品として実物品同様に購入されることが多い、デジタルコンテンツについて確認をしていくことにする。



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今調査の調査要項は先行する解説記事【自宅パソコンのネット接続回線の種類】で解説済み。必要な場合はそちらを参考のこと。

今調査によると2015年の1年間で商品・サービスの購入や取引を行った人(証券売買や銀行取引のような金融商取引は除く)の割合は48.9%、自分の意志で決済を行ったと考えられる15歳以上(大よそ高校生以上)に限定すれば52.2%。それらの人で、具体的に購入した物品やサービス(デジタルコンテンツ含む)を聞いた結果が次のグラフ。もっとも多く買われていたのは、食品や衣料品、化粧品、文房具などの日用雑貨だった。購入経験者の6割が該当する。

↑ 過去1年間にインターネットで購入した物品・サービス(15歳以上、インターネットでの購入経験者限定、複数回答、2015年末、一部)(再録)
↑ 過去1年間にインターネットで購入した物品・サービス(15歳以上、インターネットでの購入経験者限定、複数回答、2015年末、一部)(再録)

デジタルコンテンツに限ればもっとも購入されたのは着メロなども含めた音楽で26.7%。iTunesやアマゾンによる音源販売は相当浸透しているが、まだ3割には届いていない。次いでゲームなども含めたダウンロードコンテンツとしてのソフトウェア、地図や交通情報、そしてゲームの利用料金(課金アイテムなども含む)が続いている。

ニュースや雑誌記事は8.5%、電子書籍は8.4%、メルマガは7.2%。紙媒体の勢力縮小に伴い、期待のかかる分野ではあるが、課金などによって有料コンテンツとして購入される割合はいずれもごく少数でしかない。インターネットによるテキストの情報配信に伴うビジネスの難しさが改めて把握できる。

これをいくつかの属性に仕切り分けして状況を確認する。まずは男女別。

↑ 過去1年間にインターネットで購入したデジタルコンテンツ(15歳以上、インターネットでの購入経験者限定、複数回答、2015年末、一部)(男女別)
↑ 過去1年間にインターネットで購入したデジタルコンテンツ(15歳以上、インターネットでの購入経験者限定、複数回答、2015年末、一部)(男女別)

女性の方が利用率が高いのは音楽と画像のみ。それ以外はいずれも男性の方が高利用率。特にソフトウェアやゲーム料金などで利用率が高い。とりわけソフトウェアではほぼ2倍もの差が出ている。ダウンロードタイプのゲーム購入を、男性は大いに好んでいるようだ。

続いて年齢階層別。これも属性別の差異が大きい。

↑ 過去1年間にインターネットで購入したデジタルコンテンツ(15歳以上、インターネットでの購入経験者限定、複数回答、2015年末、一部)(年齢階層別)
↑ 過去1年間にインターネットで購入したデジタルコンテンツ(15歳以上、インターネットでの購入経験者限定、複数回答、2015年末、一部)(年齢階層別)

音楽やソフトウェア、ゲーム料金や画像、ゲーム以外の利用料金は押し並べて若年層の利用率が高い。しかもよく見ると、ゲーム料金は20代がピーク、音楽や画像、ソフトウェアは10代がピークとなっており、エンタメ系のデジタルコンテンツの利用性向の微妙な違いも見えてきて興味深い。映像も際立った動きこそないが、若年層の方がよく購入している。また音楽やソフトウェアなど一部では、60代後半以降で再び利用率の増加の動きが生じているのも興味深い。絶対数は少数だが、「インターネットでの購入経験」がある、つまり一定レベル以上のITスキルを持つ人においては、高齢者でもデジタルコンテンツへの購入意欲が旺盛であると見るべきだろう。

一方で実用面で使われることが多い地図・交通情報やニュース・雑誌記事は歳を経るほど購入率が高くなる。大よそ60代から70代、場合によっては80歳以上でも購入率が高い値を示すのは注目に値する。



先行する記事や本文最初のグラフにある通り、インターネット通販では実商品・サービスの購入・利用が多く、デジタルコンテンツの購入経験者はまだ少数派。購入しなければならない場面が少ないのと、無料で使えるサービスが多いことで、購入の必要性を覚える人があまりいないからだろう。

いわゆる「フリーミアム」的な概念も、ややゆがんだ形で浸透を見せ始めており、今後有料でデジタルコンテンツを購入するスタイルがさらに浸透するか否かは不透明。もっとも音楽や電子書籍などは順調な成長を見せているので、まずはこの分野から「デジタルでも良いコンテンツには相応の対価を支払う」概念が普及していくことにより、デジタルコンテンツ市場も拡大をしていくことを期待したい。


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