他人が気になるネット経由でのお買いもの内容(実商品・サービス編)(2016年)(最新)
2016/10/30 11:21
インターネットが社会生活において必要不可欠なインフラと認識される状況になるまで浸透するに連れて、そのインフラを用いたさまざまなサービスも普及し始める。その中でも、ネットを介して注文を受け付け、商品の売買を行うインターネット通販(ネット通販、ネットショッピング)の成長ぶりが著しい。今回は総務省が2016年8月18日に詳細値を発表した「通信利用動向調査」の最新版となる2015年版の公開値を基に、その「ネット経由でのお買い物内容」のうち、対象が物理的な実商品、あるいはサービスについて現状を確認していくことにする(【発表ページ:通信利用動向調査】)。
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食品や衣料品などの日用雑貨がもっとも多いネット通販
今調査の調査要項は先行する解説記事【自宅パソコンのネット接続回線の種類】で解説済み。必要な場合はそちらを参考のこと。
今調査によると2015年の1年間で商品・サービスの購入や取引を行った人(金融商取引は除く)の割合は48.9%、自分の意志で決済を行ったと考えられる15歳以上(大よそ高校生以上)に限定すれば52.2%となる。それらの人において、具体的に購入した物品やサービス(デジタルコンテンツ含む)を聞いた結果が次のグラフ。もっとも多く買われていたのは、食品や衣料品、化粧品、文房具などの日用雑貨だった。購入経験者の6割強が該当する。
↑ 過去1年間にインターネットで購入した物品・サービス(15歳以上、インターネットでの購入経験者限定、複数回答、2015年末、一部)
次いで多いのは玩具やアクセサリー、楽器、スポーツ用品、自動車用品などの趣味関連費で46.0%。ほぼ同率で書籍やCD、DVD、ブルーレイディスクなどの43.1%が続く。さらに各種チケットや金券などが続き、ここまではすべて物理的な実商品やサービス。
デジタルコンテンツとしてはそれらの後を追う形で、ようやく着メロなども含めた音楽が続く。そしてまた家電などの耐久消費財、パソコン関連(本体や周辺機器、物理媒体提供によるソフトウェア)のような実商品が並び、その後にソフトウェア(ダウンロード版)や地図・交通情報などが並ぶ。ネット通販による購入経験者が多いのは、概して実商品・サービスのようだ。音楽はiTunesの普及に伴い大きく浸透しているが、それでもまだ3割にも届かない。
実商品・サービスを男女、世代別に見てみると……
続いていくつかの属性別に、購入性向を見ていくことにする。今回は実商品・サービスに的を絞る。
まずは男女別。
↑ 過去1年間にインターネットで購入した商品・サービス(15歳以上、インターネットでの購入経験者限定、複数回答、2015年末、一部)(男女別)
玩具などの趣味関連品、家電、パソコン関連は男性の方が購入性向が高い。また、書籍やDVDなども男性がわずかに高い値を示している。一方、衣料品や食品、化粧品などが含まれる日用雑貨は女性の利用率がきわめて高く、男性を20%ポイント以上も上回っている。また各種チケット・金券(交通機関、ホテル・旅館、コンサートなどのチケット予約及び購入)も女性の方が高めで、それぞれの性別の趣味趣向の傾向が良く出る結果となっている。
続いて年齢階層別。これもはっきりとした属性別の動きが確認できる。
↑ 過去1年間にインターネットで購入した商品・サービス(15歳以上、インターネットでの購入経験者限定、複数回答、2015年末、一部)(年齢階層別)
未成年者はさすがに値は低いが、20代以降は大よその項目で高めな結果が出ている。日用雑貨や趣味関連費では20代から30代にかけてがピークで、それ以降は漸減する。ただし60代以降は下げることなく一定率を維持する、あるいはさらに反転上昇するケースもある。
パソコン関連は20代以降漸増を継続、耐久消費財は30代で頭打ちとなるが70代後半で再び上昇の気配もある。ネット通販経験者を対象としているため、相応のインターネットやパソコンに係わる技能を持つことから、歳を経ていても需要は高いままで維持するのだろう。また、ネット通販の場合は自宅まで実商品を持ち運んでくれるのが原則となるため(最近ではコンビニ受け取りも選択できるようになったが)、持ち運びに苦労するであろう耐久消費財は世代を問わず高い値が維持されている。高齢者の受けが良いのもこれが一因と考えられる。
日用雑貨が高年齢でも高値で維持されていること、パソコン関連や耐久消費財では高齢者の方が高い値を維持している点は、昨今のスーパーやデパートなどにおける、購入商品の自宅までの配送サービスを想起させる。持ち運びに難儀するため、そのようなサービスの需要が高まっているのだが、さらに一歩突き進んだ形となるのが、購入そのものも店に出かけることなく行えるネット通販であると推測すれば、道理は通る。
もちろん実商品を手に取り目で見る方が良いことも多いため、すべての商品をネット通販で購入するのも無理な話。しかし、いわゆる「買い物困難者問題」に関しても、ネット通販が一つの鍵となるのではないかと思わせる結果には違いない。「実物を手に取り見定める利点」と「実店舗まで足を伸ばしてすぐに商品を持ち帰る利点」を天秤にかけ、どちらにより大きなメリットを覚えるかは、歳と共に変化をしていくのだろう。
やや余談になるが、最初のグラフに関して、通販利用者に占める割合では無く、15歳以上全体として算出しなおしたのが次のグラフ。
↑ 過去1年間にインターネットで購入した物品・サービス(15歳以上全体比、複数回答、2015年末、一部)
例えば日用雑貨は22.7%とあるので、インターネットを利用した人もしていない人もすべて合わせた15歳以上全体のうち、2割強は2015年においてネット通販で食品などを購入した計算になる。インターネットそのものはインフラとして随分と普及が進んでいるが、それを用いたネット通販はまだまだ浸透し始めたばかりで、利用率はさほど高くない実情がうかがいしれよう。
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