中国を好き? 嫌い!? 世界各国の印象を尋ねてみた
2015/07/03 14:50
先行する記事【アメリカ合衆国と中国、世界のかじ取りはどちらの国がしていると思われているか】などで解説の通り、現状世界においては、いわゆる超大国・スーパーパワーたる国と呼べるのはアメリカ合衆国と中国とする意見が多い。そこで今回は、その一方の国、中国に対して諸外国がどのような印象を持っているかなどにつき、アメリカ合衆国の民間調査機関Pew Research Centerが2015年6月23日付で発表した世界規模の調査結果【Global Publics Back U.S. on Fighting ISIS, but Are Critical of Post-9/11 Torture】を元に、確認していくことにする。
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全体中央値は好意派が55%、嫌悪派は34%
調査要項については同調査の先行記事【アメリカ合衆国は諸外国からどれだけ好かれている・嫌われているのだろうか】を参考のこと。
次に示すのは中国に対しどのような印象を持っているかを尋ねたもの。とても好き・そこそこ好き・それなりに嫌い・とても嫌い・分からない、回答拒否の5選択肢から1つを選んでもらい、そのうち好き系統2つを「好き派」、嫌い系統2つを「嫌い派」で単純加算して集計した結果。全体の中央値は55%が好き派、34%が嫌い派となった。
↑ 中国をどう思うか(2015年春)
北米では嫌い派が好き派をやや上回っているが、西欧ではフランス、イギリスが好き派上位となっている。とはいえ大きな違いは無い。東欧ではロシアもウクライナも中国には好意的で、欧米とは対照的。中東ではイスラエルの好意派の多さがやや違和感を覚えるが、好意を持つ国は多く、ヨルダンやトルコなどの嫌悪派の多さが逆に目立つ。
アジア地域では各国の普段からの中国との関係が大きく反映される形となっている。パキスタンやマレーシア、インドネシアでは圧倒的に中国への好意が強く、韓国やオーストラリアもそれなり。フィリピンやインドは均衡かそれに近いが、ベトナムや日本では嫌悪派が圧倒的多数を占めている。
南米では大よそ好意派が多く、アフリカでは他地域に見られないほどの圧倒的な好意的印象が目に留まる。経済面での投資効果が多分に効いている様子がうかがえる。
個人の自由の尊重の観点では!?
中国に係わる話が持ち上がった時に、必ず注目されるポイントの一つが、同国における人権問題。元々同国は数少ない独裁国家を自称する国であり、同国民における自由の権利も他国と比べることは難しい(この基本的な点を忘れている、目をつむっている人が多いのも事実)。そこで、中国は同国における国民の個人的な自由を尊重しているか否かを聞いたところ、全体では守っているとした人は34%に留まり、そうでないとの意見は45%に達する結果となった。
↑ 中国は自国民の個人の自由を尊重していると思うか(2015年春)
中国そのものへの印象同様、数量的な基準が無く、多分に回答者自身の国との比較で判断していると考えられるが、北米・西欧は大よそ否定派、ウクライナは否定派でロシアは肯定派。中東ではイスラエルとトルコが否定派でそれ以外は肯定派、アジアでは対中親和度が低い国ほど否定率が高い結果が出ている。
この傾向は南米やアフリカでも変わらず、親和度の高い国ほど中国は自国民の自由を尊重しているとの意見が強いものとなっている。ただアフリカではほぼ一様だが、南米ではチリやベネズエラで肯定派が多く、ブラジルやアルゼンチンでは低い。人権、国民の自由に係わる考え方の違いも反映されているのかもしれない。
ちなみに日本は否定派93%。好き嫌いの項目でも嫌い派は89%で、今回調査した40か国の中では一番となっている。また中国自身は今件項目では質問自身が設定できなかったようで、回答データは無い。これは以前新聞通信調査会が実施した「諸外国における対日メディア世論調査」と同じ状況で、ある意味中国の実態を知る結果といえよう。
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